69話.みんなでダーツバー、スキルについて話し合おう
69話.みんなでダーツバー、スキルについて話し合おう
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「『SEEK BAR』……ですか。動画の再生時間を操作したい時に動かすやつですよね?」
「ええ。それを文字ってるそうですよ。BARの語源も元は同じ“横棒”だったそうです」
聞いたことあるな。確か……。
「樽から勝手に酒を拝借する人から守るために、周りを囲んでいた棒……でしたっけ」
「その通りです。そしてそれは形を変えて板になり、今のカウンターになったと」
「バーテンダーさんがカウンターの中にいるのも、酒を守ってる意味合いもあるんてすかね?」
「そうかも知れませんね」
なんて話をしつつエレベーターに乗り、ビルの4階へ。なんで4階?と思ってると、受付は4階なんだって。そして受付で顔だけ見せると、そのまま階段を使って5階に訪れる。
4階は広い場所にカウンター席と数台のダーツマシーン?ダーツを射る的と採点する機械が一緒になった物が並んでいた。そちらはワンドリンク料金と利用料を払うと遊べるところだそう。
「5階に個室があり、そこの一室に皆さんが居られます」
「個室のダーツバーがあるのか……」
元は4階には居酒屋、5階にはカラオケボックスがあったんだって。それをダーツバーのオーナーが借り受けたらしい。
なるほど、いくつかの部屋が並んでいて、そこからはカラオケの声も漏れ聞こえているから、カラオケのサービスも提供してるんだろうな。非常にラグジュアリーな内装である。ラグジュアリーってなんだろうね?下着的なアレじゃないのは分かってる。
「こちらです」
「案内して頂いてありがとうございます。色々と助かりました」
「イッツマイプレジャー」
確か『私の喜びです』=どういたしまして、のやや硬い言い方だよな。おどけたような笑顔を見せているから、大袈裟に言っているのだろう。なかなかチャーミングな人であった。
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扉の向こうは大きめの部屋で、カラオケだと大人数用の部屋だったんだろうと言った感じ。ただ内装はとても凝っている。深い青色で統一された落ち着いた中を、暖色系の間接照明が淡く照らし出している。
海の底を揺蕩うような、そんな幻想的な印象を抱かせる。皮張りのソファーとテーブルが手前に置かれていて、奥にはダーツの筐体が二台置かれている。分かれてプレイする事も出来ると。大人数用の部屋だからか。
プレイしているのは白百合と、フェイも居るのか。そう言えば白百合に誘われただけで誰が来るかとは聞いていなかったな。まさか二人きりでデートだとは思っていませんよ?ええ、本当ですとも。一花かアイモ、またはどちらも居るとは思っていたし!
ただフェイも居るのはビックリだった。まあ夜だからね。仕事上がりなのかも?
そして一花は何故かソファーに一人で座っている。どうしたんだろ?アイモとプレイしてる途中だったのかな?だとしたら邪魔してしまったか。
「悪い、待たせた」
「大丈夫、時間前に着いてる」
「そうだよー、ちはるん!私とダーツで勝負だー!」
「俺初めてだからな?お手柔らかに」
なんて話していると……。
「ち、知春!」
「うわぁ!な、なんだよ一花、ビックリしただろ」
「あのな、その……えーと……」
周りを見渡すが、みんな笑顔で黙って見ているだけだ。なんだ?
「その!今日のことで!勝手に居なくなってごめん!!」
「……え?そんな事?」
「それもだけどさ、アタシの、スキルの事で……」
あー。……これは、先に俺から話しておくべきだよな。
俺はスキルの“管理”について、キチンと話しておくべきだと思った。
◆
「一花の話の前に、俺も話しておきたいことがある」
そう一呼吸置いてから、俺のスキルの共同管理者でもあるフェイを見た。フェイは俺が何も言わなくても悟ってくれたようで、小さく頷いてくれた。
「実はな、俺も自分のスキルに関して、全部は言えてないんだ」
「え、そうなのか?」
「ああ。それには理由と言うか、俺なりの考えがあってな……」
それから俺は、
・派生したスキルが他に複数あり、それはまだ検証の段階でよく分かっていない事
・それ故に戦闘能力としてまだ含められず、その情報が戦闘の邪魔にならないように共有せずにいる事
と言う戦闘面での理由に加え、
・それからユニークスキルは特殊なもので、俺のはその中でも特に珍しいものだから、それについて知れば知るほどリスクが伴う事
・そしてそれは一花や白百合のユニークスキルにも言えて、情報は金より重いと言うフェイの言もあって、言える範囲を限定している事
これらの俺の考えを、一花を含めたみんなに聞いてもらった。一花は最初は驚いていたけどだんだんと頷くだけになり。
白百合やアイモは、俺とフェイの顔を見ながら肯定的な表情で頷いてくれていた。
「なるほど。責任と自由。自分の責任については考えていたけど、相手に与えてしまう責任については考えていなかった。知春の考えは間違っていない」
「そうですね。もちろん白百合様のように、ある程度話されておく事も間違ってはいないと思います。人を見ての判断でしょうし」
「もちろん」
「これはどちらが正しいかではなく、どちらも間違っていないものです。それぞれに考え方があって良い。それが当然の事ですから」
そう白百合とアイモが言ってくれた。白百合の場合は情報を管理して守る能力と自信があるのも理由だろう。それを知ってるだろうアイモはお互いの考え方を理解してくれた。
俺は再度一花を見る。一花は自分のスキルについて、どれだけ話すべきかを考えているのかもしれない。
「一花のスキルも、何か事情があって話せない事があるのはなんとなく察していた。俺も話していない部分があるし」
「だけど、アタシが話していないのは……」
「良いんだよ一花」
一呼吸置いて、俺の気持ちを一花に伝える。
「どんな理由で言えないとか、そう言った事で罪悪感を持たなくても良いんだ。ただ自分や周りに影響を与えてしまうようなものがあるなら、そう言った部分だけ言っておいてくれたら良い」
「そんな……甘えちまって良いのか?」
「甘えなんかじゃないよ。なんでも話さなきゃいけないって方がおかしいんだよ。世の中さ、個人情報やプライバシーなんか言ってるくせに、それを曝け出せって圧力が無駄に高いからな」
SNSとかチャットアプリとかも、簡単に流出してしまう世の中だもんな。だからフェイはオリジナルのアプリをわざわざ作ってるわけだしさ。
「そうだよ一花。一花は極端過ぎ。0か100かじゃない。話せる部分を伝えたい表現で相手に伝える。それで十分」
「そうだよー。そんな風に考えちゃうと、自分が壊れちゃうからね。自分の柔らかい部分はキチンと守らなきゃ」
「ええ。それが知春の言う『責任と自由』だと思います。自分を大事に扱う責任と自由。そして何をどんな風に伝えるかと言う責任と自由」
「そうか……。そうなんだな。なんか気持ちが楽になった感じがするよ」
子供の時の事をずっと抱えていたような一花だからな。きっとそう言う性分なんだろう。ちょっと体育会系の悪い部分もある気がする?
俺の偏見が強いだけかもだが、秘密を抱える事に対して罪悪感を抱き過ぎてしまうような。そんな人が多いイメージなんだよな、体育会系って。今はそうでも無いのかもな?
「分かった。白百合は既に知ってる事なんだけど、知春やみんなにも、今話せる範囲で話したい。聞いて、くれるか?」
そして一花のスキルについてと、その悩みについてを聞く事になった。
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◆菅田 知春
◆シンタイキヨウカ
・新躰強化 Lv.9
・身体器用 Lv.7
・進退強化 Lv.7
・待機妖化 Lv.5
・大気妖化 Lv.4
・気妖 Lv.1
・息 Lv.6
・気 Lv.5
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◆津賀 一花
◆ラビットラピッド Lv.22
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◆陽乃下 白百合
◆ディープフォレスト Lv.27
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◆潤目 フェイ
◆知性 Lv.12 投擲 Lv.4 観察 Lv.10
鑑定 Lv.2
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◆シモナ・アンダーソン
◆魔操 Lv.11 体術 Lv.9 回復 Lv.7




