65話.スライムの怖さ、一花の異変
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65話.スライムの怖さ、一花の異変
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『夢ならばどれほど良かった』と思うような「うぇっ?」を叩き出してしまった俺が見上げると同時に、浮遊感を覚えながら何者かに体当たりをされた。
この感覚は最近どこかであった……。そうだ、一花と地下迷宮を脱出している時に、ゴブリンの突進を受けた時だ!
だがあの時のような痛みは無く、なんなら包み込まれてるような、ふんわりとした柔らかさがあって困惑する。
あの時と同じように、通路の横に伸びている脇道の穴の中へと押し込まれる。時間感覚が間延びしたように景色がゆっくりと流れていた。
(アレは、スライムか)
浮遊感の中で、遠目には地下迷宮の天井から落下していくスライムを目視出来た。そこはさっきまで俺がボーッと突っ立っていた位置だろうか。
そうか、あのままだったら俺は……。
「グェッ!!」
思い出したかのように時間はその速さを取り戻し、俺はガチで『夢ならばどれほど良かった』かと思うような、なんとも聞き苦しい「グェッ!!」を吐き出していた。
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打ち付けた背中の痛み、それにより吐き出された息の苦しさで咳き込む。なんとか『息』を発動して息を整える事に専念する。
(この状況って、多分アレだよな)
俺が一花の戦闘シーンを思い出しながら考え込んでいたところに、天井に居たんだか発生したんだか、スライムが貼り付いていて。それが俺の頭に落下して来たんだろうな。
そのスライムはこの体勢からだと確認するのは難しいが、脇道の入り口からはだいぶ距離があるように感じるし、多分大丈夫だろう。
バットと同じく、天井に貼り付けるスライムは天井からも発生し得る。だが非生命体のような生態のスライムは、近くに動く物が居ない時は積極的には動かない。普段の動きはとてもスロウリィだ。唐突なルー語!!
「おい、一花」
俺をスライムから助けてくれた一花に声を掛ける。だが聞こえていないのか、一花は俺にギュッとしがみ付いたまま動こうとしない。
可愛い耳だなぁとか考える余裕がある俺とは違い、一花がどれほど必死に助けてくれたのかを改めて理解する。
スライムで一番怖いのが“顔に貼り付かれる”ことだ。これをされると息はもちろん出来なくなるし、顔は酸性だかの体液で焼きただれて、失明などの大きな事故を引き起こしかねない。
その怖さを一花は知っているからだろう。無我夢中で俺を助けてくれたわけだ。前回は俺が一花を助け、今回は俺が一花に助けられ、か。
持ちつ持たれつと言うか、こう言う関係好きだな。上か下かとかも無く、仲間として支え合う。これも探索者の喜びの一つなのかも知れない。俺は一花となら、一緒に楽しくやれそうな気がした。
「一花、もう大丈夫だ。助かった」
再び声をかけながら背中をポンポンと叩く。それにより思考がクリアになったのか、一花はガバッと顔を上げると、
「知春!大丈夫か!スライムは!?付いてないよな!?」
と叫びながらペタペタと俺の顔を触ってくる。あの、近いよ、近いです一花さん。あといい匂い、じゃなくてもう少し離れて!
それとスライムは付いてないけど、あなたの唾が飛んできてます!別に不快ではないけど、後で恥ずかしくなるのあなたですよ!
「おちちゅけ!手をはなしぇ!」
「口の中は!?アレが入って粘膜焼かれた人も居るって!大丈夫だよな!?」
「ひょひょをおひゃ〜!」
ちなみに今のは『頬を押すな!』って言おうとしました。両手で頬を押して口を開けて覗き込んでくるんだもん。まともに喋れないし!
俺は一花の手に自分のを重ねて、『気』のスキルで落ち着かせるように意識する。気を送り込むような、あるいは一花の気を和ませるような。
そのおかげか、一花の力が緩み、ようやくまともに話せるようになった。
「どこも痛いところとか無いから大丈夫だよ。スライムから助けてくれたんだよな、ありがとう」
一花の左右の手をそれぞれ掴み、感謝の気持ちが伝わるように、ゆっくりと話す。触れる手が暖かい。重なり合う身体は熱いぐらいで、一花の必死さがその体温に表れているかのようだった。
「あっ……うげっ!?」
流石の身のこなしと言うべきか、俺の手を振り払うと即座に立ち上がり壁に寄る。
そのリアクションは傷付くぞ!ばっちぃもん触ったみたいなリアクションやめろ!!
「クソッ、こんな時にまた熱く……」
「……?おい、大丈夫か?」
胸とお腹を両腕でギュッと抱え込むように、抑え込むようにして一花は身体を硬くしている。様子が変だ。この前の後遺症が実は残っているとか?
「大丈夫なのか?一花?熱でも出てるとか」
「はっ、はぁ!?なんでもねーし!お前こそ大丈夫なんだよな!?」
「あ、ああ。俺はこの通りピンピンと」
「そそそそうか!うん!アタシはさっきの戦闘が消化不良でさ!もっと手応えのある奴と戦いたいから下に潜ってくるな!!」
「はぁ?何言って……」
「今日はここまで!お前は気を付けて帰れよ!考え込んで危ない目に合わないようにな!!」
なんだかよくわからないまま捲し立て、一花は俺を置いて去ってしまった。取り残された俺はただ、
「一花〜?」
悲しく一花の名前を呼ぶことしか出来なかった。
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◆菅田 知春
◆シンタイキヨウカ
・新躰強化 Lv.9
・身体器用 Lv.7
・進退強化 Lv.7
・待機妖化 Lv.5
・大気妖化 Lv.3
・気妖 Lv.0
・息 Lv.6
・気 Lv.5
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◆津賀 一花
◆ラビットラピッド Lv.22




