表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【40000PV感謝!】シンタイキヨウカってなに?  作者: taso
第二章 新たなる躰
59/99

58話.望む変化、望まざる変化

 今日は個人的な記念日という事もあり、昨日に引き続き投稿致します。見つけたあなたは少し良いことがあるかも?

 私にとっての良いことは、多くの人に自分の小説を読んで頂けている事ですかね(←ドヤ顔)



58話.望む変化、望まざる変化



 一花と白百合、二人のスキルについて話を聞いていた時、二人の意見がぶつかった。それは喧嘩というほど激しいものでは無かったが、それ故に根の深い静かな問題である事も示していた。


「私のスキルは最初に話した通りに“ダークエルフになる”能力。それは能力だけじゃない。見た目もダークエルフになれる」

「うん?ああ、肌の色が少し変化するって言ってたな」

「うん。私は……地下迷宮だけじゃなく、地上でもダークエルフになりたい」


 幼い女の子のような変身願望、だが地下迷宮が出来てステータスやスキルが生えるようになったこの世界では、それはただの夢物語では無かった。


「それは変身と言うより……」

「そう。知春が体質を変えられたように、私も自分の体質を、肌を変えたい。それが、私が地下迷宮に潜る目的だから」


 スキルとは本来、可逆的なものだ。一般的なスキルを使っても身体が変質する事は無い。スキルの効果自体も地下迷宮の外では極端に低くなる。だからステータスやスキルは外への影響力も低いし、能力による犯罪など、社会的な問題も少ない。


 だが白百合のディープフォレストは、スキルを使えば使うほど、レベルを上げれば上げるほど、身体がダークエルフに近付いていくと言う。


 スキルの発動を切れば戻っていた変化も、レベルが上がるにつれてだんだんと残るようになっていく。このまま進むと、肌の色や耳の形と言った見た目が変わっていってしまう。


 そう、深い森(ディープフォレスト)に踏み込んでいくみたいに。少しずつ後戻りが出来なくなっていく。


 そんな変化を危惧する一花と、それでも森の奥へと進もうとする白百合。二人の意見は反発していた。


「白百合の気持ちは分かるんだ。身体が変化すれば、日差しに対しても強くなれっからな」

「うん。既に効果は出ている。前よりも昼間に動けるようになってきた。今の医学では実現不可能な事を、このスキルは叶えてくれる」

「だけどなぁ……」


 一花は助けを求めるようにフェイを見る。その視線に応えるように、フェイは小さく頷く。


「私としてもねー。科学者としては、不可逆的な事はあまりしないで欲しいな。どんな副作用があるか見当も付かないから」


 一花とフェイの考えもよく分かる。大事な人が未知の力で自分を変えたいと望んだら。

 あるいは現代の科学力では手に負えない不思議な力で、自分を変えたいと言う人が居たら。


 誰でも不安に思うだろう。それは俺だって他人事じゃない。今はたまたま上手くいっているが、これからどうなるかは分からない。これ以上は何が起きるか分からない。それが地下迷宮から与えられる、ステータスやスキルと言う未知の力だから。


「体質で悩んで、そしてスキルの恩恵を受けている俺としては、白百合の気持ちは凄い分かるよ。たまたま得られた、自分を変え得る力。それで悩みが消えてくれるなら、それに手を伸ばしたくなるのは当然だ」

「ちはるんも色々あったもんね。ヨシヨシ」


 フェイは場の重たい空気を変えるように頭を撫でてくる。なんか腹立つけど心地良い。歳下の女の子なのに……。なんて思うのは、もう時代遅れかもな。


「私は子供の時から、本の世界で見たダークエルフに憧れていた。自分の白い肌が嫌いで、日差しに当たるだけで痛くなる肌が嫌いで。ダークエルフみたいになれたらなって、そんな幼稚な想いだったけど……。だからこのスキルを得られた時、これは運命なんだって思った」

「ユニークスキルって、何なんだろうな。その人に合ったスキルじゃ無くて、その人が望む力を与えてくれる。……まぁそれだけじゃ無いけどさ」


 白くて弱い肌を嫌い、幼い時に見た想像上の生き物に憧れた白百合。

 一花も今の言い方だと、望んでいた何かを手に入れられたのだろうか?そしてそれはきっと、ただ望むがままのものでは無かったのだろう……。


「通常のスキルはその人の特性に応じたものだったり、欲しかったものだったり様々だけどー。ユニークスキルに関しては、その人に無いもの、求めてるものとして現れる傾向が強いみたいだねー」

「フェイは……特性に応じたものだよな。ケンゾウさんやその奥さんは自分が欲していたもの。そして俺と白百合のように、願望が形となって現れたのがユニークスキル、か」


 フェイとアイコンタクトで確認しながらスキルについて考える。ちなみに今のアイコンタクトは『二人には私のスキルは話してるから大丈夫だよー』のものだ。ケンゾウ夫妻のスキルは周知の事実。むしろ自慢話として色んな人に話してるらしい。良い話だもんな!


「一花には悪いけど、私はこのスキルを信じたい。知春の話を聞いて、私もより変わりたいと思った。このままスキルを使って、地下迷宮を潜って。それは間違いでは無いと思えた」

「とは言ってもなぁ」

「それに一花の事も、より深く潜れば解決策が」

「あーあー!ったく、分かったよ!アタシも付き合うよ!その代わり、潜る時は私かアイモと一緒にだからな!?一人で潜んなよ!」

「うん。ありがとう一花」


 ……なんか最後は、脅迫じみてたような気が……。まぁ一人で潜るのは危険だからな。アイモさん、病院にいたシモナさんは白百合の護衛もしていると言うから強いんだろうし、とりあえず今まで通りということなんだろうが。白百合の交渉力、侮れない。



 そうして俺たちの話し合いは終わった。装備の件、俺のスキルの件。そして二人のスキルと、白百合の決意。


 色んな話をした濃密な時間だったな。既に時刻は午後五時過ぎとなり、秋の深まりによって空は夕焼けとなっていた。オレンジ、紫、蒼のグラデーションが空を塗りつぶしている。綺麗な空だな。


「アタシたちはそろそろ帰るな。フェイは時間は大丈夫なのか?」

「うん、次の予定までまだ余裕ある。簡易的な機械があるし、ここら辺に盗聴が無いかを軽く調べて帰るよー」

「分かった。フェイも知春も、今日はありがとう。また一緒に話せる時間があると嬉しい」

「ああ、探索者についても色々聞きたいし、また相談させてくれ」


 そうやって一花の四駆で二人は帰っていった。そして……。


「さてちはるん。軽く周囲を探知したら、第三回!スキル秘密会議〜!を始めようか?」

「だからなんでゲンd」


 チキチキ!第三回スキル秘密会議〜!!始まるそうですよ?


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

菅田(スダ) 知春(チハル)


◆シンタイキヨウカ

・新躰強化 Lv.9

・身体器用 Lv.7

・進退強化 Lv.6

・待機妖化 Lv.5

・大気妖化 Lv.2

・息 Lv.5

・気 Lv.5


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

津賀(ツガ) 一花(イチカ)


◆ラビットラピッド Lv.22


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

陽乃下(ヒノモト) 白百合(サユリ)


◆ディープフォレスト Lv.27


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

潤目(ウルメ) フェイ


◆知性 Lv.12 投擲 Lv.4 観察 Lv.10

 鑑定 Lv.1

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ