51話.“気妖”の考察、新躰強化の完成間近
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筆が少し乗ったので、一話だけゲリラ的に投稿します。最後の方で少し怪しい雰囲気ですが、果たして……。
51話.“気妖”の考察、新躰強化の完成間近
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翌日。今朝も雨が止まず、昼前まで続くと予報がある。フェイと白百合、そして一花との顔合わせはお昼過ぎ。
フェイによれば二時過ぎになりそうだと言うので、二人にもそのように話してある。一時過ぎまで地下迷宮に潜れるとして。朝の時間をどう過ごそうか?
公園でのジョギングは却下で、理由は家と公園で距離があるからだ。勢いは緩やかとは言え秋雨の中、運動した後家に帰るまで濡れ鼠のままは風邪を引きそうだ。タオルや着替えを用意したって、あまり利口とは言えないだろう。
そうなるとギルドが開く九時半まで何をしようか。今は七時か。朝ご飯も食べたしなぁ。
鮭と味噌汁とご飯。今思い返しても美味かったなぁ。こんがりと焼けた鮭の皮と脂、味噌汁の大根とじゃがいもの歯応え、どれも和食の朝ご飯と言った感じ。土鍋のご飯によく合うんだ。
ちなみに味噌汁の出汁は鰹節が好き。たまに煮干しと昆布の水出しで作る時もあるけど。やっぱり基本は鰹節かなー。オカズ味噌汁!って感じがあって良いんだよね。
鰹節の出汁には食欲を抑える効果もあるって言うし、最近好き放題に食べていたから、ちょっと自制もしたい。
「そうだ、地上でもアレが出来るか、やってみようか」
アレとは、もちろんアレである。
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「『息』と『身体器用』からの、『気』!……うーん、出ないな」
昨日偶発的に出来た、気功みたいな爆発。音が鳴る程の瞬間的なエネルギーだが、それがうんともすんとも、言わない。スキルは同じように使ってる筈だし、なんでかなぁ……。考察としては、
・環境によるもの(地上では発動しない?)
・動きによるもの(発勁の動きに依存する?)
・スキルの使い方によるもの(二つの妖化スキルの使い方?)
環境は仕方ない。今は可能性から外して検証を続けよう。動きによるものか?今は縁側で手のひらを上に向けて試していたし。
「雨降ってるけど……家の庭なら直ぐにシャワーも浴びれるし、良いかな?」
Tシャツに短パン、濡れても直ぐに着替えられる格好だし、動きやすい格好でもある。
スキルを同じようにやって、発勁と同時に『気』!
ポフン……。
「少し、発動してる?」
やはり動きか?それとも“発”のイメージが大事?あとは妖化系のスキルも。色々とやってみるか!それでもダメなら残るは環境ってことになる筈だ。
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試行錯誤を重ねて、得られたデータが、こちら!
・動きよりもイメージ。ただ動きがあるとイメージを補強してくれるみたい
・『待機妖化』と『大気妖化』は使わなくても良いけど(昨日も使ってはいなかったし)意識すると発動がし易くなるが、発動までの時間に少しラグがある
・大事なのは『息』→『気』の流れ。これが無いと発動はしない
こんな感じ。魔法では無いけど、人体の動きもイメージがものを言う。逆にイメージも動きにつられて強くなったりする。
それと『待機妖化』も『大気妖化』も、意識的にスキルを使わなくても仕事をする。これはスキルとスキルを仲介する場合にそうなる感じだった。
それが妖化による特性なのか、ミディアムスキルによる特性なのかは分からない。感覚的には後者な感じ?
ただ成功率は上がるけど、発動スピードが少し遅くなる。これはまだ無意識に使えていないのと、レベルの低さが影響してる感じだった。
そして一番大事なのが『息』→『気』で使わないと発動しないってところ。試しに息スキルを使わないで何回かやったら、いずれも発動はしなかった。
これは『息』と『妖化』と『気』に関して考え直す必要がありそうだった。俺の考えが正しいとすると、地下迷宮での肚の痛みも……?これもフェイと話したいな。
つい最近会ったばかりなのに、直ぐにフェイに会って話したくなる。これはもしかして……。
いやマジでそうなんじゃないかと考えてしまってる。初めて仲良くなった異性だから?うーん……まだあまり意識したくは無いかな。今は人と人としての関係を楽しみたい。そんな気持ちの俺もいる。
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ギルドが開いて間もなく、地下迷宮に潜る俺。立派な地下迷宮ジャンキーである。受付嬢さんにも連日潜るのは危ないと釘を刺されてしまった。
特に総合レベルが高い人は地上と中での差が激しいので……と、小声で注意されてしまった。耳にコショコショと、ワザとやってるんかいと言う色気ムーブである。惚れてまうて!
なんか内臓の強化と言うか、アレが大きくなってしまってから、性への思考が馬鹿になってきてる。この感じは本来なら、中学生とかの性徴期に悩まされるものなんだろうな。それが今になってきて扱いに戸惑う二十代後半、アラサーの俺である。
だからフェイを含め、恋愛的な事は今は控えたいと考えているんだよな。もう少し落ち着いて、生活が安定するようになって。心が落ち着くようになってから、そう言ったことも考えていきたい。衝動的なのは……なんか嫌なのだ。これもDT故の理想論なのかも?
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地下迷宮では電波が通じない。それは地上と次元が違うからと言うのももちろんだが、赤外線など光線を照射しても拡散されてしまうとか、色んな弊害が起きると言う。
それも魔素による影響では無いかと言われている。魔素を使ったスキル、探知系のスキルは問題無く使えているからだ。本当かどうかは分からないけど、魔物にも探知系のスキル持ちは居るみたいだし、有力な仮説と言うやつかな?
フェイが以前言ってた、空気の組成を測るのも色んな機材を試してみてるらしいが、地上のような分かりやすい結果は得られていないそうだ。
ただ酸素や二酸化炭素の濃度が地上に近いこと。また人間に害のある気体は無いかごく微量だと言う見解から、地下迷宮は一般解放がなされた……と言われている。
俺には難しい話は分からない。スキルを使って身体を強化出来たり、魔物と戦って稼いだり出来るならそれで良いと思ってる。
地下迷宮に詳しいフェイが普通に潜っているんだし、俺はそれを信用する。フェイへの信頼が篤いな俺。
『てへへー、照れますねー』
脳内フェイは照れ照れだった。可愛いやつめ!!
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新躰強化のレベル9による強化が終わった。地下迷宮内での総合レベルも影響しているだろうが、身体の中がかなりポカポカとしている。血行が良いと言うか、それぞれの機能や連携になんの阻害も無いような。
俺が以前求めていた健康な身体。それ以上の体内環境の改善が為された。成されたと言っても良い。あとはレベル10になるのを待つだけになりそうだが……。
感覚で分かる。レベル6からのようなやり方ではレベル10にはならないだろう。
そもそもの話だが、『気』の使用によって起きた肚の痛み、それから起きたレベルアップ。あの一連の上がり方は“ショートカット”みたいなもの、らしいのだ。
レベル6の時は事故で、レベル8の時は怪我により緊急を要したからで。だからレベル10に上げたいからって無茶はするなよ?意味無いからな?
と言うスキルからの強い感覚を、レベル9がマックスになった段階でヒシヒシと感じていた。たまにアドバイスみたいな事をしてくれるスキルとは、いったいどのようなものなのだろうか?
そんな地下迷宮の七不思議的なものをふと考えてみたが、『まあいっか』と思考が霧散してしまう。これはもしかして、思考誘導……。…………。……………………
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「あれ?今何考えてたっけ?」
あーそうだ、気功的な技の練習をしにきたんだっけ?そうそう、そうだよね。
爺ちゃんの遺品の懐中時計はお昼を少し過ぎた辺りを差している。あと一時間弱、それの検証をしようかな?
そうだ、気功的な技に名前を付けたんだった。仮で『気妖』としておいた。この技を使う拳法を作れば、その名はキヨウケry
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◆菅田 知春
◆シンタイキヨウカ
・新躰強化 Lv.9
・身体器用 Lv.7
・進退強化 Lv.6
・待機妖化 Lv.5
・大気妖化 Lv.2
・息 Lv.5
・気 Lv.5




