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【40000PV感謝!】シンタイキヨウカってなに?  作者: taso
第二章 新たなる躰
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49話.竹の伐採、竹炭の準備

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49話.竹の伐採、竹炭の準備



 秋も深まってきた。今年の夏はかなり暑かったが、それでもだいぶ蒸し暑さが息を潜めてきた。気温も下がってきて、そろそろニンニクを植えても良い頃になるだろうか。


 ニンニクは土の温度が25度以上だと上手く芽が出ないと言う。冷蔵庫での予冷により、さほど心配せずとも『秋』を感じてくれているかも知れないが、天気予報に気を付けて良いタイミングで植えたい。せめて十月の半ばには植え付けを始めたいところだ。


 さて、畑仕事という訳では無いが、同じような作業をしたい。それが竹の伐採だ。


 竹は成長が速く、しかも縦だけでは無く横に横にと数を増やしやすい。根が地中で横に伸び、そこから新しい筍となって伸びてくるからだ。


「筍か。春になったらどうしようかな。一花を呼んで、一緒に筍狩りも良いかもな」


 本当は白百合やフェイも呼びたいところだが、フェイは時間が空けられるか分からないだろうし、白百合に関しては日中の作業はどうしてもな。夜に来てもらってたけのこパーティーにでも参加して貰うか?


 俺が移り住んだ祖父母のものだった家は、北西の辺りに庭が、その先には竹や笹が生えている。そんな竹林の敷地も含めてこの家の土地らしく、そこも俺は受け継ぐ事にした。


 俺が学生の頃、爺ちゃんと知り合いのオジさん。竹林の先にある雑木林を管理する人と共に、竹が広がり過ぎないように伐採をしていた。俺は力も体力も無かったが、自分のペースで作業をお手伝いさせて貰っていた。


 伐採する竹は3〜5年目前後、細い物から中ぐらいの太さのもので、それらは地面に穴を掘り、そこで燃やして竹炭にしていた。


「ふう、肚が痛くならないだけで作業がしやすい事」


 庭と竹林の境にある手頃な竹を切っていく。そこまで高くも無く、太くも無い手頃な竹だ。間引きはしないといけないが、竹林として維持出来る程度にはしたいので、どんなものを切ったら良いのかをネットで調べて選定している。


 無心でやっていたらあっという間だった。こんなところでも身体の成長を感じる。爺ちゃんに自慢したいな。

 もちろん身体器用や息スキルのお陰もある。身体を動かす時にはこのコンビをメインに使っている。


 切った竹は雨を凌げる、風通しの良い場所に置いて乾燥させておく。竹や木材を乾燥させられるようにと以前から有った場所だ。

 1ヶ月もすれば程よく乾燥してくれるだろう。別に竹炭を販売目的で作るわけでも無いので、そこら辺は適当にやっている。


「穴をもう少し深くしないとな」


 庭と竹林の境には細長い穴を掘っていた。竹の根がこちらに来ないようにするため、それと雨水が少しでもそちらに流れてくれるようにと言う理由だったと思う。

 家の周りにある竹垣の下を通り、道路脇の側溝に繋がってる筈だ。そこら辺も後で確認しておかないとか。


 普段はステンレス製かな?格子状の蓋で覆われていて、穴に落ちないようにしている。それをどかして穴に溜まった落ち葉などを取り除きながら、ついでに底を掘っていく。深さが50センチくらいになれば良いだろう。


 竹の乾燥が終わったら、その穴に30センチぐらいの長さに切った竹を並べて竹炭にする予定だ。


 形が残った物は湿気取りや臭い取りに使えるし、灰になっても土に混ぜて畑に撒いてしまえば良い効果があるんだとか。例年は近所の人たちに分けたら喜ばれていたから、今年もそうしようかな?



 家や土地を引き取る際に、竹林も受け継いだのには理由があった。


 一つは爺ちゃん婆ちゃんとの思い出があったからだ。竹の管理を少しでもお手伝いしたり、その作業の休憩時には婆ちゃんが握ってくれた塩むすびを食べたり。


 縁側に座って三人で、あるいはご近所の人と和気藹々と話した記憶は、俺の中では青春の1ページだった。


 同世代との楽しい記憶、甘酸っぱい記憶は無くとも、俺を支えてくれて、優しく迎え入れてくれた人達との記憶が、竹林の景色にはいくつも詰まっていた。


 それと、人目を避けられる場所が欲しかったからと言う理由もあった。


 庭の反対側、家を小さくした代わりに作られた家庭菜園の畑は、今は俺だけで無く、周りに住んでいる人たちも日々訪れて土弄りをしていく。


 それ自体が煩わしいわけでは無いのだが、家を譲り受ける事になった当時の俺は、一人で居たい時間も欲しいと思っていた。スキルがこんな風に変わっていくとも思っていなかったからね。


 とは言え少しずつ体力を付けていき、元気な身体にしていこうとは思っていたから、奮起する意味でも竹林は残して置きたかった。


「俺の過去、今、そして未来。色んな思いをこの景色に託していたんだな」


 竹の伐採を済まし、少しだけサッパリとした景色を眺めながら、俺は熱いほうじ茶を飲む。乾燥と共に涼しくなってきた、秋風に吹かれながら……。




✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

菅田(スダ) 知春(チハル)


◆シンタイキヨウカ

・新躰強化 Lv.9

・身体器用 Lv.7

・進退強化 Lv.6

・待機妖化 Lv.5

・大気妖化 Lv.2

・息 Lv.5

・気 Lv.4

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