46話.戦闘訓練と育成、贅沢な悩み
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今回また戦闘描写を書き込んでいますが、素人ゆえに間違いや不足があるかも知れません。その時はぜひご指摘頂けると幸いです。
46話.戦闘訓練と育成、贅沢な悩み
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話し合いも終わり、晩御飯はフェイと近くにあるインドカレーのお店に入り、その日はマトンカレーとバターチキンのセットを食べた。ターメリックライスとナンの両方を食べて、体も心も満足です。
インドカレーなど、外国料理のお店で食べるスパイスを使った料理は健康に良い。食べると身体がポカポカすると言うか、身体が喜んでいる気がする。
医食同源と言う言葉もあるし、スパイスはその殆どが漢方などにも使われる食材だ。美味しくて身体にも良い、実に素晴らしい!
個人で作るのはなかなかハードルが高い。たまにこう言ったお店に来るぐらいでも良いだろう。これからは量を気にせずに、体調が悪くなるのを怖がらずに、食べたい時に食べられるんだから。
フェイは相変わらず白ローブだった。似合ってるし可愛いから良いんだけどね。いつか白ローブの秘密を解き明かしてみたいものだ。大袈裟が過ぎるな。
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翌日の朝。小雨が降っていて空は薄曇りとなっていた。この前のゲリラ豪雨とは違い、緩やかな雨がほぼ一日中降り続くみたいだ。
公園でのジョギングは取りやめ、三日振り?に地下迷宮に潜ろうかと思う。
今朝は昨日買ってきた細長いパンと無添加のソーセージ、そして作り置きのザワークラウトも一緒に挟んで、ホットドッグにした。
ソーセージを少ない水で蒸し焼きに、その間にパンを軽く焼き、買い置きのコーンポタージュをお湯で溶いて。
大人になってもこう言うのが美味いよな。むしろ子供の時にあまり食べられなかった反動からか、こう言うのが無性に欲しくなる。
水気が無くなり、表面をパリッと仕上げたソーセージを、ザワークラウトを挟んだパンの上に乗せる。大きめのソーセージがこぼれ落ちそうになるのはご愛嬌。
スパイスには少しこだわりがあり、粒マスタードは胡椒なんかと一緒のメーカーのを通販サイトで購入している。市販の粒マスタードは俺の口には合わなかった。雑味があると言うか。まあ好みだな。
その粒マスタードをホットドッグに掛けて、テーブルにスープとコーヒーを並べてから、
「いただきます」
コンポタの甘みと塩気で口を馴染ませてから、ホットドッグをガブリと。
「うんまっ!!」
無添加ながらもハーブの効いたソーセージは肉感がありジュシー!何よりこの弾ける皮の食感が堪らない。粒マスタードとザワークラウトのそれぞれの酸味が味覚を刺激し、ホットドッグのそれぞれの良さを一体にしつつも高めてくれる。
焼いたパンの香りも良い。昨日はスーパーのちょっと良いやつを買ったけど、今度はパン屋さんを開拓して、美味しいパンに出会いたい。もちろんスーパーで売ってるのも充分美味しい。モグモグと咀嚼する。
口いっぱいに美味しいものを含み、咀嚼して、そして喉を通る美味しさを感じる。生きてる喜びを感じる。コンポタとコーヒーと、こんなにも“美味しい”を堪能出来ている幸せ。まだこの幸せには慣れないし、これからも慣れたく無い。
「食べ物には妥協をしたくない。別に高いものじゃ無くても良いんだ。自分の口に合うものを見つけられれば」
たくさん食べる必要は無い。その分手間と時間とお金をかけて、心から満たされるものを食べたい。余裕がある時はそれを思い切り食べて、美味しかったと腹をさすり。こんな時間を、ずっと楽しんでいきたい。
その為にはどうしてもお金も入り用になる。自分だけで作れないものを、誰かの手で作られたものを求めるには、お金が無いとだから。支払われるべき対価を惜しまず出せるように。
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転移沼にズブズブと沈む感覚を久しぶりに感じながら、目を開けると地下迷宮に立っていた。
招かれ至りて到達す。沼と言う漢字にも招くと同様に“召”喚の部分がある。これは偶然か否か。なんて思いながら地下迷宮を歩く。日本語は本当に面白い。
今日は戦闘訓練に来ていた。昨日、一花と白百合と話をし、探索者へと誘われた。自分に出来るかは分からないが、挑戦してみたいとも思っている。そのための訓練だ。
『気』と『進退強化』を発動する。敵が居そうな、でも人があまり居なさそうな適度なところをイメージして。
「にしてもスキルが増えたな。贅沢な悩みだけど、どうしても一手間増える」
全部で七つ、大元になるシンタイキヨウカも含めると八つか。気付いたら随分とステータス画面も賑やかになってきた。
だが良いことばかりでも無く、スキルを発動する時に少し気を割かないといけない、と言う手間がある。
シンタイキヨウカしか無かった頃は、ステータスを頭に呼び起こして発動させる。それを二年間やってたわけだから、いつの間にか無意識に使えるようになっていた。
それがスキルが増えた事により、ステータスを念じてから使いたいスキルを選んで発動と言う手順のため、無意識だけで無く多少の意識を持ってかれる。
例えるなら、お使いを頼まれてお店に着いた時に『えーと何を買えば良いんだっけ?』と思い起こすような。
買うものが一つだけなら直ぐに動き出せるが、複数あるとその分の僅かなラグが発生するのだ。
日常の中でならそれは些細な事だが、仮に戦闘中になると、些細なものと油断をしても居られない。
スキルレベルを上げるにはそのスキルを何度も使う必要がある。それはそのスキルを使う事に慣れ、無意識に出来る部分を拡げていく事では無いのかとも思っている。
レベルを上げるとは、“そう言う事”かも知れなかった。
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しばらく進退強化の導きに任せて歩いていると、一匹のゴブリンを見つけた。周りに人も居ないし、まさに絶好の環境が整っている。やはり便利だ進退強化!
「以前の借りを返せそうだな」
居たのはなんの武器も持たないゴブリン。突進スキル持ちのタイプだろう。あの時にやられた個体とはもちろん違うが、つい痛くも無い肚をさすってしまう。
ゴブリンに近付くと相手もこちらに気付き、走りながら近づいて来る。そして突進態勢に入り。スキルを使ったのだろう、少し速度を上げてこちらにタックルをかましてくる。
俺は『身体器用』と『息』を発動し、仙骨にある丹田を意識して、そこを動かすようにして突進を避けた。始めから視界に入れていれば、簡単に避けられる攻撃なのだ。改めて油断は良く無いものだと思い知る。
今日は躰道の歩法を真似て避ける事を中心に動いてみる。軽く地面から離すイメージで足を浮かし、重心の移動に沿うように動かしていく。
本来ならここから様々な攻撃に繋げるのが躰道ではあるのだが、今は避けるだけに留める。足を使っての攻撃は出来るイメージが湧かないが、避ける動作は参考に出来るのではと考えたからだ。
息を吸う、息を吐く。『息』を意識しながら、動きのたびに吸ったり吐いたりを合わせて動く。呼吸をしながら同時に動く。躰道の動き方の基礎的な部分だ。
長く吸って短く吐く、短く吸って長く吐く。動きの緩急を意識して、その緩急に合わせて呼吸の長さも変化させる。無駄な力が抜けていき、身体の動きが自然になる感覚がした。
だが、まだ不慣れで意識し続けて動かねばならず、どうしても体力を使ってしまう。未熟故の事だが、一呼吸置きたい。
「ふう、敵を前にしながらだと、やはり感覚が違うな」
何度目かになる突進を避けて息を吐いた。ゴブリンの横に、後ろに回り込みながら、攻撃が可能な隙に合わせて、攻撃をするイメージをしていた。
躰道は攻撃を受ける事は基本しないものとし、攻撃を避け続ける武道だ。攻撃を受けて傷付いたり、手足を失えば戦いにはならない。ある意味実践的な考えだろう。
だが、ずっと動き続けるのは割と疲れる。武道とはより強く、より健康になるようにと作られたもの。疲れないためには練習あるのみで、弱い人がハナから真似るだけで強くなれるものでは無い。武道とはツール、道具なのだ。上手く使えるかは人次第だ。
「よし、次は攻撃もしよう。一発で仕留めたい」
俺はまた掌底での攻撃を考えている。成功体験のあるもので余裕を持ちたい。ある意味験担ぎに近いだろう。
イメージは発勁、ワンインチパンチとも呼ばれる。重心移動による攻撃は、ゴブリンの突進にも通じるものがある。
突進を避けながら横に回る。ゴブリンを正面に捉え、足を踏み出さず、重心だけを素早く前方に移すイメージで。
その運動エネルギー的なものを掌底に、それがゴブリンに当たったと同時に、今度は重心を後ろに素早く動かすイメージに切り替える。
この瞬間的な前後をすると、掌底の一点に衝撃を生み出せると言う。前方へのエネルギーがそのまま前に行かずに、ある一点で響き合うように意識する。
敵の内部に届くような、表層の防御力だけでは決して受け切れないような衝撃を、ゴブリンの胸元に瞬間的に与える。
『息』で吐き出すのと同時に、『気』で衝撃を増幅させるような。そんなイメージをして打ち出す……。
パァンッ!!
「……え?」
今、何が起きたの……!?
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◆菅田 知春
◆シンタイキヨウカ
・新躰強化 Lv.8
・身体器用 Lv.6
・進退強化 Lv.6
・待機妖化 Lv.4
・大気妖化 Lv.1
・息 Lv.5
・気 Lv.4




