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【40000PV感謝!】シンタイキヨウカってなに?  作者: taso
第一章 変わり始める躰
38/99

38話.事件のその後、新しい自分と朝食と

 ひとまずこの回で一章とします。ここまで楽しんで頂けてると嬉しいです!

 次回以降については『活動報告』をお読み頂けると幸いです。

※ここには活動報告のリンクが貼れないらしいので、掻い摘むと

「続きの見直しなどに時間を割きたいので、連載に少し間が空きます」

「感想めっちゃください!」

って感じです。よろしくお願いします!


38話.事件のその後、新しい自分と朝食と



 事件から二日が経過した。俺もだいぶ疲れてしまい、事件の翌日は一日中寝て過ごす事になった。


 地下迷宮の中ですら疲労困憊だったのに、外に出たタイミングで総合レベルによる補正が弱まり、倒れそうになってしまった。と言うか、隣にいたケンゾウさんが支えてくれなかったら倒れていた。実に男らしい胸板でした。


 事件に関しては後で話を聞くとし、俺は先に帰らせて貰った。ギルドの人はやらなければいけない事があると、忙しそうだったから申し訳ない思いだったが。俺が残っている方が逆に迷惑になってしまうだろう。素直に帰ったよ。


 ギルドに帰ってきた時は受付嬢さんに頭をなでなでして貰って、嬉し恥ずかしだった。朝帰りじゃ無いけどね。


 頑張りましたねって。優しいお姉さんだ。好きになりそう。もう恋人で良いんじゃないかな?ダメかな?何も言わずにニッコリしてたけど、どっちだろうね!?



 さて、昨日一日中寝て、身体も元気になった。元気になり過ぎてる感じだ。食欲がヤバい。思いっきり食べたくなってる。こんなに食欲出た事、今まで無かったよ!


 昨日も起きてる間は新躰強化を集中してやっていた。本来なら病院で検査した方が良いんだろうけど、新躰強化のレベル8がまだ発動出来ていたので、これが終わってからにしようと思っていた。


 それで昨日に強化が終わり、身体がポカポカしているのを感じながら心地良くまた寝て、今起きたわけだけど。色々ヤバい。


 さっき言ってた食欲もそうで、これまでは食べ過ぎると肚が極端に痛くなってしまうため、腹八分目かそれより少なめに食べるのが普通だった。それでお腹が空く感覚もあまり無かったし。


 ところが今日は起きた時から、凄い腹が減っている。お腹が空くってこんな感覚だったかなーと、起き抜けの頭でボーッとしていたよ。


「冷蔵庫に食べ物あったかなー?……あー、貰った野菜と卵が結構あったわ。ならキャベツ炒めとオムレツにするか」


 あと、ちょっとシモい話になってしまうが、大きな変化だったのが。俺のアレである。俺のオレと言うべきか?


 とにかく、凄い成長してる。今まで測ったことはもちろん無いんだが、取り扱いに困るぐらいに、長さとか大きさとか。

 以前の二周りはデカいのか?トイレするのにも、朝のアレが落ち着くのを待ってからじゃ無いと用を足せなかった。どうなってんだこれ?


 思い当たるのは十中八九と言うか、まず新躰強化スキルだろう。内臓の強化をしてくれるスキルだとは思っていたが、そうか。体外に露出しているとは言え、コレも臓器か。盲点だったな。マジで忘れてたよ……。


「今思うと、性欲みたいなのも枯れている人生だったな」


 男子同士で下ネタも出来なかったからな。興味が出ないんだもん。何を話せば良いか分からなかったから。そういうのも含めて『付き合いが悪い奴』と言われてたんだった。


 今頃になって性徴期か?それとも俺の内臓は、それぐらい超人的な強化をしないと治せないものだったのだろうか?シンタイキヨウカが無かったら。俺はあのまま……?


「今改めてゾクっとした。あのままだなんて、今じゃ考えたくも無いぞ。ありがとうシンタイキヨウカ!」


 気持ちを切り替えよう。まずは朝ごはん。土鍋でご飯を炊いて、その間にキャベツ炒めを作ろう。


 お米だけは昨晩に軽く洗って、ボウルに浸水しておいた。それをそのまま土鍋に入れて火にかける。中火ぐらいで、フツフツするのを待つ。


 キャベツはせん切り、いつもより多めに切る。それをお酒と油で炒めて、しんなりとしてきたら醤油にバター。あと味を見ながら塩胡椒。これだけでどちゃくそ美味い。ご飯によく合うんだ。


 泡立つ音がしたら土鍋は弱火にする。まな板とか洗いながら料理をしてれば、あとは蒸らすだけの状態になるだろう。合わせて25分ぐらい。炊飯器の早炊きモードより短時間で出来るし、そこまで手間じゃ無いんだよね。それでいて味は断然美味い!おこげとかも良い味だよね。


 そうだ、一緒にお茶も飲みたい。鉄瓶でお湯を沸かす。お湯の温度が均一になり、丁寧で柔らかいお湯になる。こればかりは一度経験しないと分からない感覚だろう。電気ケトルのお湯も悪くは無いんだろうけどね!


 オムレツはプレーンに。プレーンが一番綺麗に仕上げられるからね。卵を溶いて少しだけ塩。全体の味が弱くならないように。たまに味にメリハリを求める場合もあるけど、俺は一体感のある方が好きだ。料理によるかな?


 フライパンにこれまたバターを入れて、熱くなってきたら一気に卵液を。箸で混ぜながら形を整えていく。奥にまとめて、トントンと卵を動かす。これは身体器用でかなり上手くできる。


 大きく返して底を軽く焼いたら出来上がり。お皿に盛り付けて、キャベツ炒めも軽く温め直す。常備菜のザワークラウトも、キャベツ被りだけど良いだろう。美味いんだもん。


 ご飯の蒸らしも終わり、蓋を開ける。この瞬間は炊飯器には無いドキドキがある。真っ白い湯気が一瞬視界を覆い、スモークのような演出をしてくれる。その先には艶々のご飯の粒たち。

 美しいその輝きを愛で、しゃもじで大きくかます。熱々なので火傷に気を付けながら混ぜ、少し取り分けたら神棚にお供えして。


 シャンシャン!と柏手したら、自分のご飯もお茶碗に。今日は大盛りで!


 テーブルに料理を並べて、食材と生産者に感謝。日本の美味しい食材に感謝して。


「いただきます!!」


 うんめー!キャベツは火を通すと特段に風味が増して、甘さと旨味が強くなる。それに醤油の香ばしさとバターの美味しい油分が色を添える。味にも色がある。これらが組み合わさったものが鼻腔を満たし、舌を喜ばせてくれる瞬間がたまらない。


 ご飯をかきこみ、こめかみが動くのを感じながらモグモグと。語源の通りだね。米を噛むと動くから、面白い由来だ。ザワークラウトで口をサッパリさせる。酸味が良い。明日はホットドッグに挟んで食べようか。


 次いでオムレツ。少しだけ余熱の時間を計算して盛り付けている。ケチャップもかかって良い感じ。黄色と赤、目を喜ばす色もまた味覚の一つだ。


 箸で切り分けて食べると、まぁこのとろみ!そして卵の旨味の絶妙なバランス!火を通すことで変化する美味しさと、熟し加減は好みがあるだろう。だが緩ければ良いってもんじゃ無い。火の通りでタンパク質の味が違うのだ。


 お肉にも言えることだね。レアとミディアム、そしてウェルダン。味も食感も違い、それぞれの良さがある。好みで選ぶのはもちろんだが、それぞれで楽しめるとお得だ。


 オムレツの相棒、ケチャップも美味しいやつ!瓶に入ってるタイプで、トマトの甘さとコク、スパイスが効いてハーブが香る、とても良いケチャップなのだ!

 ケチャップは色々試して国産の中でも良いものを選んだ。これぞケチャップだよ。最高だ!


 身体が健康になって、内臓が元気になるだけで。こうも美味しさが違うのだろうか。タバコを止めるとご飯が美味しくなるとも言うが、健康こそ最大の調味料なのかも?空腹だけでなく、受け止める()も大事なのだと理解する。


「この美味しさを知らず、26年か。長いよ。でもまだまだ。これから取り返すんだからな」


 ご飯を美味しいと思える喜び。肚の痛みが起きる不安ももう殆ど無い。気にせずいっぱい食べられる。もちろん食べ過ぎは禁物だけどね。


 何故だか涙が止まらない。泣きながらご飯をかきこみ、鉄瓶で沸かしたお湯を急須に入れ、玄米茶を淹れて湯呑みに。熱さを堪えて啜る。美味いなぁ。


「爺ちゃん、婆ちゃん。美味いよ。ご飯が美味い。この感覚のまま一緒に食べたかったな。父さんとも、もっといっぱい美味しいの食べて、語らいたかったな。酒も、一緒に飲みたかった……」


 チーンッ!と鼻をかみ、頬を軽く叩いて、また朝ごはんを食べる。過去の自分が出来なかった事を悔やんでも、過去の自分は喜びはしないだろう。積み重なった過去のその上に、今の自分がいる。


 今はこの美味しさをしっかりと味わいたい。新しい人生の、最初のご飯なんだから。



 玄米茶を飲んで(じき)休み。しばらく微睡んでからギルドに寄り、ケンゾウさんに軽い聴取を受ける。


 事件のあらましは昨日、病院で津賀に聞いているらしい。津賀は元気だそうだ。ホッとした。


 事件を起こしたあの三人には厳しい罰がくだる。絶対だ。それだけ地下迷宮内での罰則は重いものになっている。スキルの効果や能力が上がる地下迷宮で、犯罪を起こす気も出ないようにとそうなっている。


 特に探索者になっての犯罪はヤバい。基本命は無く、スキルが惜しい人材でも、人間として扱われない生き方をさせられる。


 そうならないように、探索者は強さ以上に人格を見られる。だから変なやつはまずなれない。三バカたちは加えて前科も付くからな。地下迷宮にすら公的には入れなくなる筈だ。


 軽く聞いたが、アイツらの大学とサークルにもメスが入るって。奴らが漏らしていた話は見過ごせないだろうからな。

 先輩とかOBとか。当人たちはもちろん、大学にも大きな責任がある。大学の看板を掲げているんだ、当然だろう。


 例え裕福な家庭のガキでも逃さないって。何か裏の力を感じますねぇ。一体誰が……。おっと知らぬフリ、知らぬフリ。


 軽い雑談も交えて、30分程度で話は終わって解放してもらえた。病院の場所も聞いたし、無事だとは聞いたけど気にはなる。津賀の様子を見に行こうかね。


「お昼は何を食べようかな?」


 元気で現金な腹を撫で、俺はギルドを後にした。お見舞いの品を買い物ついでに、お昼を何か食べていくか!うーん、前から気になってたおにぎり屋さんとか?



✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

菅田(スダ) 知春(チハル)


◆シンタイキヨウカ

・新躰強化 Lv.8

・身体器用 Lv.7

・進退強化 Lv.6

・待機妖化 Lv.4

・息 Lv.4

・気 Lv.4


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