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【50000PV感謝!】シンタイキヨウカってなに?  作者: taso
第一章 変わり始める躰
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36話.潜伏と待機妖化、判断ミスと決断と

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36話.潜伏と待機妖化、判断ミスと決断と



 入った脇道の奥に津賀を寝かせ、それを守るように中程に俺は陣取り、『待機妖化』と『息』を発動する。同時発動が可能になり、よりスムーズに待機妖化の効果を発揮出来る様になった。


「落ち着け。息を吸って、吐いて。そして身体を妖化させて……」


 未だに何が妖化なのかは分かっていない。気を使った時にあの痛みが出たのなら、何かしらの気を妖化しているはずだ。


 俺の中ではある程度の答えが出ていた。これはフェイにチャットで話した、地下迷宮の謎にも関わるものだと思っている。


 そう、それは空気、その中でも……。


(来たか……!)


 魔物の群れが存在感を強くして接近してくる。感情の波が出ないように、改めて深呼吸をし、待機妖化を意識する。そして敵が近くなると、呼吸を最小限にする。息を潜めるイメージをする。


(ゴブリンとスライムの混成か。スライムから逃げているゴブリンと、逆にスライムを追いかけているゴブリンか?)


 人の姿は見られない。予想通りだ。あるいは人に追い払われた魔物たちが、運悪くバッティングしてしまったのか。数が多い。


 7……8……9、10……11……。


 脇道の出口の前を、魔物たちが通り過ぎていく。相手からも俺の事を視認出来るはずだが、その感じは無かった。待機妖化が効いている!


(もう、大丈夫そうか?)


 しばらく息を潜めていると、物音はしなくなった。辺りはしんと静まりかえっている。魔物をやり過ごせたんだ。


 俺は何が起こっても良いように、身体器用と息を同時発動し、石を一つ握りしめてゆっくりと出口に歩き出した。


 判断ミスをしていた。



 魔物には、そのスキルや武器によって種類がある。例えば弓術と弓を持っていればゴブリンアーチャーとなる。


 ちなみに第一層にいるのは二種類で。棍棒を持ち『殴打』のスキルを持つゴブリンと。


 それから何も武器を持たず『突進』のスキルを持つゴブリンがいる。どちらも特別な名前は付けられていない。


 棍棒持ちは比較的素早く、殴打が当たればかなり痛い。だから相手をよく見て躱すように、まずそれから指導をされる。


 対して手ぶらのゴブリンは弱い。なぜなら突進には大きな隙があり、読みやすい一直線の動きだからだ。猪みたいなものか。


 だから油断をせず、しっかりと視界から外さなければ負けることはない。初めての戦闘にはピッタリの魔物と言えよう。


 しかし、こうとも言われている。


『隙を見せた時の奴らの突進ほど、怖いものは無い』


 戦いにおいて、自らの体重を利用した攻撃は最も強力だ。重心の移動、脱力、これらが重要視されるのは、体重を効果的に活かすためのものだからだ。


『棍棒に当たれば痛いし怪我もする。だが突進に当たれば、大怪我もありえる』



(くそ、油断した!群れが去ったと思って気を抜いた!!)


 思えば、外を確認する時に『進退強化』と『気』を使っていれば……!そうしたら潜んでいた突進ゴブリンにも、気付けたかも知れない!!


 脇道の中に吹っ飛ばされた後、手に持っていた石を投げてそいつはなんとか討伐出来た。突進後のヤツの体勢は隙だらけだった。


 でも脇道の出口から、津賀の無事を確認して振り返った矢先だったから。身体の小さいヤツの突進に気付くのが遅れてしまった。


 痛みを堪えて防刃ベストを脱ぎ、服を捲り上げる。腹が青紫に染まっていた。内出血だ。


(骨は折れていないか?この痛みはなんの痛みだ?内臓は?痛みが強くなっていく……!?)


 津賀の事を見る。眠っているが、頭部への打撃は出血が心配だ。くも膜下出血などが起きていたら……。早く専門機関で検査を受けさせたい。


(この状態じゃ津賀を運べない。道中の戦闘も危うい。ギルド職員を待つ余裕も、無いかもしれない)


 決断するしか無かった。この状況で、手段の限られた状況で。早い決断が求められている。思いつく選択肢は、一つしかなかった。


(おあつらえ向きに、待機妖化もレベル4になってるしな。気だってレベル4。同時発動は、恐らく可能だ)


 同時発動であれば、恐らく以前より痛みは抑えられる。しかし腹部の出血、内臓を痛めているかも。それを治すためにやるんだが、きっと痛みは強いはずだ。


(大丈夫だ、上手くいく。何が大丈夫なんだ?根拠も無いのに。痛みは抑えられるはず、怖くない。怖くないわけ無いだろう。どんな痛みが襲うのかも分からないのに。これで身体を治せるんだよ。治すどころか、ここで気を失ったら死ぬかも知れないんだぞ。俺も、そして津賀も!!)


「でも他に方法が無いじゃないか……!」


 意を決して動き出す。後戻りはもう出来ない。


 声が出ないように、舌を噛まないように。昔から婆ちゃんに言われて、自然と持ち歩くようになっていたハンカチを取り出し、それを折り畳んで深く咥える。


 津賀からなるべく離れ、でもあまり外には近寄らずに。岩壁に背をもたれ、待機妖化と息を発動する。


 呼吸を繰り返す。呼吸を繰り返す。時間をかけてはいけない。呼吸を繰り返す。


(どうか治ってくれよ。そして気を失わないように、もってくれよ)


 そして俺は、『待機妖化』と『気』を同時に発動した。


 痛みと熱さはぐちゃぐちゃになって、よく分からない感覚が俺の全身を襲った。



✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

菅田(スダ) 知春(チハル)


◆シンタイキヨウカ

・新躰強化 Lv.7

・身体器用 Lv.7

・進退強化 Lv.6

・待機妖化 Lv.4

・息 Lv.4

・気 Lv.4


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

津賀(ツガ) 一花(イチカ)


◆ラビットラピッド Lv.21

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