15話.CMDとは、潤目さんの協力要請
今回初めて、予約投稿なるものをしてみました。上手くいくといいな……。
読みやすい時間などあれば教えていただければと思います。その他感想もよろしくお願いします。
15話.CMDとは、潤目さんの協力要請
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「どうですかー?ビックリしたでしょ!……あれれ、反応鈍いなぁ。ビックリし過ぎて固まっちゃったんですかねー。……え、まさかそんな。嘘ですよね?いやいや、天下のCMDですよ?地下迷宮関連の物全てに関わっていると言われる……。えぇ……」
ドヤ顔を晒していた潤目さんだったが、俺の反応に違和感を、そして困惑、疑問、落胆と表情を変化させていった。コロコロと変わる表情は正直言って面白かった。ごめんね?悪気は無いんだ。
「マジですかー。いや、そう言えば一般マーケットにはまだ広報は出して無いんだっけ?あの商品もまだ認可が……」
ブツブツと独り言を呟いていたが、気持ちを切り替えたのだろうか、CMDとやらの説明をしてくれた。
「CMD、正式名称は地下迷宮ディベロップメント。地下迷宮に関連した製品やサービスの開発、販売を一手に担っている、超大型グローバル企業です!」
CMって『Chika Meikyu』の頭文字なの!?名前付けたの誰だよおい。
それよりも気になるのが、地下迷宮に関連したものを一手に担っていると。それってさ?
「政府と一枚噛んでると言うか、ドロドロの関係ってこと?」
「ま、まあそんなことは無いような、あるような?細かいことはよく知らないですねー。ほら、私は研究者ですからー。畑違いと言うやつで」
これなんか知ってるな。研究や開発に関わるなら、お偉いさんへの説明とか顔を売る役回りも必要だろうし。
「菅田さんが想像以上にやりにくい相手だった……」
「そんな大袈裟な。誰もが思ってる事でしょ。民営化とかで一般企業と癒着してそうとか、議員の中に紛れて法案を」
「菅田さん静かにしましょうねー。あっ、コーヒー来たみたいですよ!入ってくださーい!」
扉のノック音で話は中断し、先程注文したコーヒーが届く。深煎りコーヒー。最近は苦味にもなれ、美味しさが分かるようになってきた。
浅煎りと深煎りでは豆の種類が違う。実は深煎りに使われる豆の方が本来の酸味は強いそうで、それを飲めるようにするために、深煎りにローストする必要があるんだとか。
コーヒーの酸味が得意ではない俺だが、ローストされることによって酸味が、香りや苦味、旨味へと変わると美味しく感じられる。コーヒーとは奥深いものだな。
ちなみにカフェインの含有量も、深煎りよりも浅煎りの方が多いんだとか。苦い=カフェインが強いと言う偏見があったので、聞いた時はビックリしたな。
「やっぱり美味しいですね、ここのコーヒーは。そうだ、イヤーカフについて説明しますね」
まさにコーヒーブレイクを取ってから、潤目さんが話を再開する。
「そのイヤーカフに付いている石はミミックの魔凝核が使われています。ミミックの隠蔽、擬態のスキルを上手く引き出して、ステータスを隠したり、偽の情報に書き換えたり出来るわけですね」
高性能だとは思ってはいたが、想像以上な品だ。こんなものを貰っても良いのだろうか?
「イヤーカフは助けていただいたお礼です。菅田さんがいなければ私は死んでいたかも知れません。その可能性がある以上は菅田さんは命の恩人です。もっと良い物を渡したいぐらいですが、菅田さんに今必要な物としては良い選択だったと思います」
俺がCMDを知らないと分かってから、若干テンションが落ちて敬語が増えている潤目さん。彼女がこう言ってくれてるんだし、このイヤーカフはありがたく貰おう。
「ありがとうございます。貴重な物、大事にします」
「いえいえ。ですがこれが通じない人も居ますので、過信はしないでくださいね。もっと高いレベルのミミックが見つかれば、アップデートが出来るんですけどねー」
「通じない人ですか。怖いですね」
そんなスキル、情報閲覧とか、透視とか?ゲームに良くあるのは、鑑定かな?
「そうそう、大宮ギルドにも居ますよー。受付で働いてる綺麗な女性の方なんですが」
……まさか?
「彼女は直感のスキルが有りますからね。とは言え彼女とは知り合いですし、こちらの仲間だと思ってくれれば良いですよー」
「それは……安心しました」
「味方でいてくれて良かったですよねー。あ、彼女から味方だと思える人には、スキルのことを話しても良いと許可は貰ってますのでご安心を。下手に怖がられるよりマシだからと」
マジで助かった。彼女にはより失礼の無いようにしよう。改めてそう思いました。
◆
「さてここからは私個人からの提案です。会社とは切り離して考えてください」
「提案ですか。それはどんな?」
「そうですね、率直に言いますと。あなたのスキルについて、私に研究させて貰えませんか?」
「えー?研究ー?」
「そんな嫌な顔しなくても……」
話としては、俺のスキルはきっとレアなもの、なんならユニークスキルかも知れない。それなら一人で抱えるより、他の人、つまり潤目さんと情報を共有して、より良いものにしていけたらと。
「それって潤目さんには得が無いんじゃ?」
「ありますよー。まず私の知的好奇心を満たせます!あと研究の参考になるかもですね。あ!もちろん外に出せることしか使いませんよ!」
「うーん……」
win-winではあるのかな?潤目さんの知性と観察が有れば、俺の考えられなかった発見や新しいスキル、レベルアップの事も勉強出来るかも知れない。
とは言え、情報が漏出するリスクは高くなる。イヤーカフのような貴重な物をくれたし、彼女なりのこだわり、ルールを持ってる人だからその点は信用が出来る。
なので潤目さんのことは信じてはみたいが、今日会った人だし、それに情報が金より重いと言ったのは他ならぬ潤目さんだ。そんな情報を安易に共有しても良いのだろうか?
いや、だからこそか?俺一人で今日みたいにやらかして漏らすリスクより、潤目さんと共有して多角的に見た方がリスクを減らせるか?
「あとは装備ですかね。菅田さんが探索者に今後なるとして、菅田さんに合った装備を私が開発したりも出来るかもです。そのイヤーカフも、菅田さんのスキルに合わせて調整したいなと言うのが、一番の目的ですね。せっかくのプレゼントなので」
そっか。イヤーカフは隠蔽だけでなく擬態も出来るのか。それをするには調整が必要と言うことか?どんなスキルなのか分からなければ、偽の情報をどうするかも設定が出来ない、とか。
イヤーカフは今後使っていきたいアイテムだ。潤目さんには是非とも調整をやって欲しい。
「分かりました。探索者になる予定は今のところ無いので、装備に関してはまだ分かりませんが。スキルについては色々と相談したいですからね。よろしくお願いします」
「そうですか!そう言うことなら私の連絡先と住所を教えますね!私の家なら情報の漏洩も気にしなくて良いので!」
「ええ、潤目さんのお住まいでですか!?」
「あらー、菅田さんは気にされるタイプですか?それなら簡単な話し合いは私の作ったアプリでやり取りするのでも構いませんよ。セキュリティは問題無いので!」
と、これからについて色々と話し合い、お互いの秘密を共有する契約をすることになった。端末同士をケーブルで繋ぎ、スマホの管理アプリとチャットアプリをデータで貰い、インストールした。
これで俺の端末からの情報漏洩を高確率で防ぐことが出来る様になり、オリジナルのチャットアプリを使って、連絡先と今後の予定を話し合う手筈になった。
そうして俺たちは別れたわけだが……。肝心なことを聞き忘れていた。
なんて白ローブだったのか?と言う最も聞きたかった情報を。
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◆菅田 知春
◆シンタイキヨウカ
・新躰強化 Lv.5
・身体器用 Lv.4
・進退強化 Lv.4
・息 Lv.1
・気 Lv.1
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◆潤目 フェイ
◆知性 Lv.6 投擲 Lv.1 観察 Lv.4




