14話.情報の価値、潤目さんの秘密
14話.情報の価値、潤目さんの秘密
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「その話が本当でしたら、菅田さん。あなたかなりの高レベル者ですね?」
「え!?あの、それはどう言う意味と言うか、なぜそう思われたのか」
「あーすみません!根掘り葉掘り聞くつもりではなく、確認と言いますか。好奇心と言いますか」
「はぁ……」
潤目さん曰く、身体の細さ、具体的には見た目にもわかる筋肉量の少なさや骨の細さ、にも関わらず俺は初戦闘を無傷でこなしていた。戦闘に関しては音でしか情報を拾えていないが、彼女は俺を少し見ただけで色々と分かってしまうのだと言う。
潤目さんのスキルは知性と観察、そして投擲と三つもあり、特に知性と観察の応用で色んなことが分かってしまうらしい。探るようなことを言ってしまった償いだと、自身のスキルを教えてくれた。
さらにはIQもかなり高く、あのIQが規定値に達していないと入れない組織にも楽々入れるレベルだとか。いや凄いね、頭の良い人は。
「と言うわけで、それならレベルが高いのは明らかかと。私は個人情報を広めたりはしませんよ。もちろん具体的な内容は分かりませんが、情報は金より重いと思ってますからね。ですので、菅田さんもご注意ください」
「なるほど……。いやありがとうございます。まだスキルが生えたばかりで分からないことが」
「ほら、そう言うところですよ!スキルに関しては特に、ちょっとした事でも隠すべきです!」
「あ……。恥ずかしいぃ」
なんだか自分より歳下であろう女の子に叱られているオッサンって、外から見てもダサいよな。なんで俺はこう考えが足りないのだろうか。
「ちょっと菅田さん、そんなに落ち込まないでよー。もう、なんかほって置けない人ですね菅田さんは!」
そう言って潤目さんは、自身の左耳に付いていたピアス?じゃない、イヤーカフ?を外してこちらに差し出す。
「これは?」
差し出されたイヤーカフと潤目さんの顔を交互に見る。銀色でシンプル、宝石みたいなほの白い石があしらわれていて、センスの無い俺から見てもお洒落な作りだと思う。これを見せられて俺になんて言えと?可愛いアクセサリーですね?
「助けていただいたお礼です!これを着けていると色々良いことがあります!ここだと誰の目や耳があるか分からないので、地下迷宮を出てからお話したいのですが。とにかく着けてください。と言うか着け方分かりませんよね!私がつけます!!」
こちらが言葉を差し挟む余裕も無く、潤目さんは俺の耳にイヤーカフを着ける。なんかカチって音がしたけど痛みは無い。ちょっと怖いよコレ!
「こうしてボタンを押すとフィット感が増すのと、より外れにくくなります。初期装備のアレと同じシステムですね。私の自信作の一つです」
ん?今自信作って言った?
「潤目さん!やっと見つけましたよ!よそ見しないでとアレほど言ったのに!」
「あー!ケンゾウさん!度々すみませーん!会えて良かった!」
色々と聞きたいことがあるが、護衛のおじさん、ケンゾウさん?と再会出来たみたいだ。話を外で聞かせてくれると言うし、今日はこのまま引き上げようかな?
「そうですね。疲れましたし、欲しいスキルは取れたので。おっと、私も口が軽くなってますね」
「あなたが潤目さんを助けてくれたと。ありがとうございました」
潤目さんとケンゾウさんとやり取りして、セーフティエリアに3人で戻り、脱出用のゲートに触れて俺たちは帰還した。
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探索者用のスペースでケンゾウさんと、それから潤目さんと分かれて訪問者用の着替えスペースへ。地上へ戻ると地下迷宮での全能感が失われて、途端に疲れが押し寄せる。これがあるから、地下迷宮では無理をしてはいけないと言われている。まあ殆ど初めての経験だったし、良い勉強になったと言うことで。
装備を外し着替えスペースを出ると、いくつかのテーブルなりベンチなりがあり、それぞれで他の利用者たちが待ち合わせたり会話をしている。俺も空いてるベンチに座って二人を待つ。
「お待たせしました〜」
ヒラヒラと手を振る潤目さんは白いブラウス、黒い女性用のスーツを身に付け、中身を知らなければ仕事の出来る女性のオーラだった。あの白ローブはなんだったのだろうか?
「一応仕事中だし、外だと堅苦しい格好じゃないと怒られるので嫌になります。可愛くないし」
ファッションにも色々と好みがあるようだ。俺はこれまで自分のにも他人のにも無頓着だったが、これから勉強してみるのも良いかもな。
ケンゾウさんと潤目さんは依頼専用の受付に連れ立ち、護衛依頼の完了手続きを済ませて別れた。ケンゾウさんは前回も護衛をしてくれた人で、今日もギルドに居合わせたので依頼をしたそうだ。潤目さんのスキルは生産系だからね。
「知ってるお店があるので行きましょう。ギルドから連絡通路で隣に行けますので、このまま歩きでも大丈夫ですか?ありがとうございます、行きましょう」
一言も返事して無いんですよねぇ。良いんだけどね!断るつもりも無い。
クネクネと歩いていると、探索者装備を見に行った店もある『探索者エリア』に辿り着く。そこから奥にあるブックストアの中を通ると、喫茶店の看板が。店名は「Sea Coffee」と書かれている。店名の左にイルカ、右にコーヒーカップのイラストが描かれている。
「隠れ家的なお店で、実は探索者と一部の人しか入れないお店なんですココ。お店の名前は……ダジャレですね。そう言うセンスは無いんですよマスター。コーヒーは美味しいし、店内も素敵なのに」
ダジャレか。シーカフェねぇ。あ、探索者の英語って。ノーコメントで。
潤目さんが先に店内に入ると、中は意外にも普通のと言うか、カフェと言ったらこんな内装!って感じで、船の操舵輪とかウッド調のイルカの壁掛けのオブジェ?みたいなのが、違和感の無い範囲でシー要素を取り入れていた。
確かに内装のセンスは良い。ダジャレのセンスも、俺は嫌いじゃないよ?
マスターらしき人にカード?を見せると頷かれ、二階の個室に入る。二人のやり取りを見ると常連なのか知り合いなのか、顔馴染みではありそうだ。
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「さて、こちらから話をさせて貰うね。恐らく菅田さんの聞きたいことのいくつかはその話になると思うし、あとで他に聞きたいことがあったら言える範囲で答えるよ」
テーブルの上にある端末でオーダーを済まし、潤目さんは話し始める。
「先に話しておくと、今回の件のお礼だけではなくて、菅田さんの秘密なんかを色々と聞いたり察してしまったのは、私としてはイーブンじゃないんだよねー。だから私のエゴとして話すし、それに菅田さんにもきっとメリットになると思ってる」
うーん、情報は金より重いと潤目さんは話してたし、情報は等価交換で無ければいけない、自分が許せない、みたいな事だろうか?それは分かる気もするし、イヤーカフのこととか聞かねばならない事もある。俺は無言で頷いておく。
「まずはそのイヤーカフだよねー。それは私が開発したもので、初期装備や探索者用の装備と同じく、地下迷宮由来のものが使われているんだ。効果は隠蔽。ステータスを読み取れるオーパーツなんかは100%情報をカット出来るよ。同じ効果のスキル持ちなんかだと、スキルの種類やレベル次第では見られちゃう事もあるんだけどね」
地下迷宮由来の素材が使われているアクセサリー?そんなの一般にはまず出回らないやつだ。効果もエグいし。と言うかさ。
「潤目さんが開発した?これを?」
「そう。それが私の秘密。私はなんと、大企業CMDの研究者であり開発者なのだよ!」
な……CMDだって!?まさかあの!?
ごめんなさい。聞いたことない会社ですね。潤目さんはドヤ顔で言ってるが、俺は内心申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
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◆菅田 知春
◆シンタイキヨウカ
・新躰強化 Lv.5
・身体器用 Lv.4
・進退強化 Lv.4
・息 Lv.1
・気 Lv.1
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◆潤目 フェイ
◆知性 Lv.5 投擲 Lv.1 観察 Lv.3




