12話.続くレベル上げ、からの戦闘イベント
初の戦闘描写です。全くの素人が書いているので、おかしなところや足りないところがあれば、ご指摘頂けると助かります。
それ以外でもコメント貰えると嬉しいです!
12話.続くレベル上げ、からの戦闘イベント
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全てのスキルレベルを合わせると11になり、俺の総合的なレベルは11になった。駆け出しの探索者と同じぐらいだろうか?最強だろ俺?……なんてな。
元の身体の弱さを考えるとそこまで強化されてはいないだろうな。超人的な能力になってるわけでも無いから、レベルによる補正がそんなに高いとも思えない。これまでの俺からしたらあり得ない強さになってると言うだけで。
それに俺の目的はあくまで『地下迷宮の外で強い身体を得ること』だからな。優先順位は新躰強化のスキルだ。それと身体器用。
身体器用スキルは使うたびに器用になれるわけでは無いみたいだが、スキルを使っている時の感覚が積み重なっていく、本来の器用さが成長していくような感覚がある。チリツモ大事、古事記にもそう書いてあります。
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そうしてひたすら石を投げている時、イベントが発生した。
「何処ですかー?護衛さん何処ですかー?」
やや近くから声が聞こえて、俺は投石を一時中断した。高めの声、幼い声といった印象だが、地下迷宮に潜れるのは成人になってからだ。となると女性だろうか?
いや未成年でも、保護者のサインが有れば探索者の護衛を依頼して入る事も出来る。護衛を探しているらしいから、子供の可能性もある。
「護衛さーん!よそ見してた私が悪かったですからー!出てきてくださーい!」
よそ見してたんかい。自覚があるんかい。やっぱり子供かな?ここら辺には脇道の通路を使ってる様子があまり無かった。発掘や投石の音がしていなかったからな。迷っているのが子供で一人なら、助けてやらないといけないかも?
「ゴブ!ゴブゴブギャー!」
「ふげ!ゴブゴブさんです!ゴブゴブさんがゴブゴブ言ってますー!護衛さーん!」
ゴブリンが湧いたのか?ちょっとヤバいかも?第一層のゴブリンは、人間の子供が棒を持って振り回してくるような程度の強さだが、人間の方も子供なら大怪我をするかも知れない。大人でも運が悪ければ死ぬのだ。前例は少なくない。
「誰も居ないのか?見回りのギルド職員も居ないのは運が悪いな」
地下迷宮は道が入り組んでいて行き止まりの通路、脇道も多い。その脇道で訪問者が魔物に襲われたり、犯罪に利用されたりしないようにと。探索者の資格を持った多くのギルド職員や、パトロール依頼を受けた探索者が見回りをしている。
そのため事故や事件はある程度抑えられている。もちろん100%では無いが、それは地下迷宮の外でも変わらないだろう。何処であろうと危険は無くならない。
「痛っ!あれ、前が見えない!眼鏡、眼鏡何処ですか!装備の棒は!」
脇道の出口、太い通路に連絡するところから、女性が転んだような音と声が聞こえた。
転んでいたのは、子供ではなかった。俺から見たら子供かも知れないが、女性は小柄ではあるが高校生にはなっていそうな顔立ちと体躯に見える。
白い魔道士のようなフード付きのローブ、その上から初期装備を着けた少女が倒れている。
ローブなんで?白魔道士なの?前髪パッツンがオデコに張り付いている。汗をかいているのだろう。慌てて探している丸い眼鏡と初期装備の棒が、俺のいる通路に飛ばされている。
俺も混乱しているのか取り留めのない言葉が頭に溢れていたのだが、息を整えようと深呼吸する。途端に意識した息スキルが、呼吸を補助してくれた気がした。
「おい!こっちだゴブリン!」
今にも棍棒を振り下ろそうと腕を上げていたゴブリンの背後に石を投げる。ゴブリンを狙わず後ろに投げたのは、誤って少女に当たらないように配慮したのと、ゴブリンの意識をこちらに向けるためだ。
最初から倒そうとしたらダメだ。俺はそこまで成功体験を積み重ねてきたわけじゃない。
投げた石は狙いよりもゴブリンに近く、足元に当たって跳ねた。ほら!直接狙ってたら白ローブ(仮名)に当たってたかもだぞ!
でもお陰でゴブリンの意識をこちらに向けられた。『ゴブ!?』って言いながらこちらを見ている。なんて分かりやすい鳴き声なんだ!
身体器用スキルを発動し直して石を投げる。投擲スキルが有ればもっと精度と威力が高まるのだろうが、それでも石は緩やかに、棍棒を持ったゴブリンの左手に当たってくれた。ゴブリン、お前サウスポーだったのか!ちょっとカッコいいな!
アホなことを思いながら気を逸らす。気のスキルが発動してる気がするのは気のせいだろうか?身体器用スキルと同時に発動出来てるならありがたいんだが……。
右手で傷んだ手を押さえてゴブリンはうずくまる。投石一発で倒せるって言ってただろ!なんでだよ!俺の筋力の無さですかね!?レベル高い筈なのに!!
「倒れてる子!座ったまま後ろに下がれ!」
「誰ですか!?私の眼鏡知りませんか!?見えなくて動けないんです!!」
「それはあとで探せ!そのまま下がれば安全だから、今はゴブリンから遠くに!」
「は、はい!」
俺からは白ローブ(確定)の眼鏡は目視出来ているが、眼鏡が落ちている場所は彼女からはやや遠い。ゴブリンと距離を空けるのを優先させるため、眼鏡を探す余裕は無いと意識させて後ろに下がらせる。
パニックになっている人にはハッキリとして分かりやすい指示が有効だ。緊急を要する時は丁寧な口調は、逆に邪魔になったりもする。
「ゴブ!ギャギャー!」
立ち上がったゴブリンが俺の方に向かってくる。ヘイトはこちらに向いてるらしい、ありがたい。
石をさらに投げてからゴブリンに向かって倒れ込むように動き出す。上手く力が抜けてくれて重心移動がスムーズに出来た。これも身体器用の効果なのかも知れない。
投げた石がゴブリンの右脚を掠める。女性が動いてくれたお陰で狙いやすくなった。ゴブリンの動きが止まる。ダメージは少ないだろうが及第点だ。
右足を大きく踏み出しながら右腕を振る。右腕の勢いを利用して身体をさらに加速させる。シンタイキヨウカの元々の強化能力とレベル補正のお陰で、身体に力が漲っている。俺は地下迷宮の中では、強い!ゴブリンなんかに負けてやるものか!!
さらに左、右と脚を動かす。そして左足がゴブリンの目前まで来た時に、振り出した左腕を攻撃に使う。
手を左に曲げ、軽く指先を丸め、腕はまっすぐ。身体の勢いと肩の筋力を生かすように。格闘用グローブの皮が保護してくれている手のひら、掌底をゴブリンの腹、鳩尾に撃ち込む!
ゴブリンは打たれた腹を押さえて立ち尽くす。身体が震え、座り込む余裕すら失っていた。
「どうだ!内臓が悲鳴をあげて痛いだろ!苦しいだろ!身体が動かないだろ!今、楽にしてやる!!」
自分のこれまでの鬱憤を晴らすような、完全な八つ当たりだ。だが俺だから分かる痛み、苦しみが今は武器になる。
右足をゴブリンの横に踏み出し、右足を軸にして左脚を回転させるように後ろに引きながら、今度は右の掌底を撃ち込む体勢に。狙うはこちらを向いたゴブリンの顎!
体勢は低く、身長の低いゴブリンのさらに下から顎を撃ち抜く。ゴブリンの軽そうな身体が浮き上がり、勢いそのまま後ろの壁に叩きつけられる。
やがて地面へと落ちたゴブリンは霧散し、替わりに小さな魔凝核を残して地下迷宮から消えた。
「倒せた、か……。初戦闘にしては、なかなか良く出来た、んじゃない?くっそぅ、腹が、痛ぇ……!」
急激な激しい運動、戦闘になったせいで、俺は腹を押さえて倒れた。格好がつかない。
「え、どうなったんですか?倒したんですか!?あの、私の眼鏡知りませんか!?あれ無いと何も見えないんですー!」
もうちょっと待って。痛みが治まるまで……。
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◆菅田 知春
◆シンタイキヨウカ
・新躰強化 Lv.5
・身体器用 Lv.4
・進退強化 Lv.3
・息 Lv.1
・気 Lv.1
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◆潤目 フェイ
◆知性 Lv.4 投擲 Lv.1 観察 Lv.2




