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羊毛を巡る一連の事件について〜ある国の騎士達の物語〜  作者: さばとらのはは
1-1. ある東の国での毛糸にまつわる事件
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8.ひとりの騎士の任務の旅-6

探索の騎士である彼は、東の果ての国の彼女に話を続ける。


彼が手に入れたものの話にはさらに続きがあった。

この話を世界の中心にある国の人々に披露したところ、このような反論が返ってきたそうだ。


「それでは世界有数の大国である我々の出番がないじゃないか!」


「支配」の大きな権限を持つその国の人間は、彼に過去にあったある取引での出来事を伝えた。


「あの話があるじゃないか!」


彼はああ、あの話かと頷いた。


ある時その取引で大事なものを忘れた彼は、代わりのものを差し出したそうだ。

彼らはそれで満足したようで、取引は無事に終わった。

彼らとの取引では、取引のルールよりも大切なものがあるようだ。


世界の中央にある彼らの国からは「規則」を、彼は受け取った。


彼は東の果ての国の彼女に伝えた。


「これらは全て私が探索の任にて得た、大切なものだ。

私が君にこの話をしたのは、君が遭遇した事件を乗り越え、今回の件にあたりよりよい調停を提案するためだ。


私はまず過去に遡り、自分の手札がどういったものかを確認した。


この事件の解明に使えそうなものはあるだろうか?


これは、君自身についても同じことだと思う。

君が持つものは何だろうか?


本で得た知識。

過去の経験。

人との結びつき。

勝ち得た財産。

時の齎した幸運。


君も既にたくさんのものを得ているだろう。

だが何より…君自身を忘れてはならない」


彼はさらに話を続けた。


「君は今回の事件で、大きな怒りを感じているようだ。

そしてこの事件が終わったとしても、それはおさまらぬもののようだ。


君が持つその怒りを、私は別のものに変えたい。

怒りは君から、冷静さと君自身を奪ってしまう。

それはとても悲しいことで、君にとって何の役にも立たず、事件を起こした悪意の者達がほくそ笑む機会を与えるだけのようだ。

君は彼らに、これ以上そのような権利を与えてはならない。


君に君自身を、そして幸福を、私は願おう。


君のその事件を、私に預からせてもらえないだろうか?

私の国の人々に話し、何かよい解決手段を探ろうと思う。

解決方法が見つかれば、君に連絡しよう」


彼と彼女は連絡先を交換した。

この事件は後に別の事件へと発展する。

事件とは…続くものだ。

そのようにして、この物語は続いていく。


これから先の物語は、彼と彼の国の物語。

彼の国は、王と騎士、諸侯達、と特別な理を持つ魔術師達より支えられている。

彼は騎士たちのひとりで、北方探索の任務にある騎士であった。


彼はこの事件を彼の国のいろいろな立場の人達に話し、新たな意見があるたびに彼女に手紙で連絡したそうだ。

彼の国でも繊維業は盛んで、羊は人気者である。

彼が話をした人は皆、羊については多少の知識や小話を持ち合わせており、彼もまたそれを面白く聞いていたそうだ。


彼は東の果ての国の彼女から聞いたこの羊毛にまつわる始まりの事件を、彼の国の宰相である女性に相談することにした。


20250530修正

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