78. 北方執政の任にある騎士の元に届いた手紙
北方執政の新任の騎士の北方領入りの後。
北方執政の騎士の元には、北方領の諸侯や地方の有力者が就任の挨拶にやってくる。
挨拶だけ簡単に済ませて去る者もいれば、地域のいろんな話題を話していく者、地元の利権問題を置いていく者、さまざまである。
こういった話を聞いている時、特にそれが彼にとって気にとめる必要のない他愛のない話である時にふと思い出すのが、彼と同時期に北部総督の任についた騎士の話である。
「頑固で相手の話を聞かぬ人々が抱える数々の問題…まずどこから手をつけるべきか…」
彼はたくさんの情報の中から、今の彼に必要な情報を拾い上げる。
それと同時に、興味引かれるものも。
窓の外は真っ白に覆われている。
透明な窓ガラスに触れると、外の寒さが伝わってくるようだ。
冬の陽光は鈍く、悪天候の日も多いこの土地では、それすら届かぬ日も少なくはない。
また来客があったようだ。
最近よく顔を見せにくる者である。
彼は北方執政の騎士の探索の任にあった頃の話を聞きたいらしく、そのような話題を度々口にする。
「中央探索の任にあった彼のように、面白い笑い話ができるとよいのだが…
なかなか難しいものだな」
そこまで考えてふと、彼は先日届いたばかりの手紙を取り出した。
北方執政の任にある騎士の取り出した手紙。
それは以前、彼に東の国で起こった事件について、相談した者からの手紙である。
これから伝えるのは、手紙の内容である。
「以前の事件は、まだ続いているようです。
販売者は事故を配送業者の責任にせずに、購入者に押しつければ、また同じように商品の価値を不当に下げる行為を行なってもよいと考えているようです。
しかしそれは間違いであると、私は何度でも彼らに伝えます。
私にとって、それらはとても大切なものです。
それに価値がないという彼らを許すことはできませんし、それは私にとっての大きな損失です。
それはさておき。
先日、私の元にあるお話が届きました。
その内容とは、このようなものです。
『ある地域で牧羊を盛んにしたいという動きがある。
その地域はとても寒く、地域の基幹となる産業を欲している。
それがうまく起これば、そこに住む人々の大きな糧になる。
しかしその地域は度重なる災害による長い荒廃により、すっかりやる気をなくしてしまった者も多い。
争いによる古い破壊の跡を見続ける彼らは、土地の回復も望まず、新しいものも作ろうとしない。
ひとりや一部の人だけではうまくいかない。
どうやったら皆がやる気になるか…
その方法を考えてほしい。』
このお話について、貴方にも意見を聞きたい」




