68.円卓会議2日目-3
財務卿は話を続けた。
「南方探索の騎士の失踪について、詳細を知らぬ者も多いかもしれない。
初めてその事実を耳にした諸侯もいるようだ」
諸侯の席から、話の続きを、という声が上がる。
財務卿はそうだね、と頷いて、話を続けた。
「先日、南方探索の任にある騎士が自分の任地へ向かう際、道中にて紛争に巻き込まれたという報告が入った。
彼女とは未だ連絡が取れず、消息不明であり、生死もはっきりしない。
彼女の失踪が確認された現地付近では紛争状態が酷く、詳細な情報を入手できない状況にあるようで、現地近くに滞在している我が国の者からは、移動に制限がかかっていて容易に動けないとの報も入っている」
騎士の席からも、南方諸国との交易に支障が出ている状況だ、という意見や、諸侯の席から、私の街にある南方諸国の街から荷が来ないという意見が発言された。
財務卿はそうであったか、と頷き、話を再開する。
「一部の諸侯から、南方探索の騎士を危難の席に異動すべきではないかとの意見が上がっていた。
これは紛争に巻き込まれた彼女が、騎士の任をはたせる状況ではないという判断によるものである。
しかし、今は王と兵部卿であった騎士が大掛かりな調停を行なっているため、兵部卿がその席にあるという者も多い」
2名の騎士が危難の席とは、この国の今の国難とは内戦時以上のもののようだな、と騎士の席に座る誰かが呟き、一時の連絡不通に騒ぎすぎだ、と別の騎士が意見を嗜める発言をする。
あまりに大声であったため、諸侯達は騎士達の席を注視し、口を閉じた。
静まり返った会議室の中で、財務卿は話を続ける。
「南方探索の騎士の危難の席への異動の可否については、まだ議論が足りぬようだ。
明日まで時間を設けよう。
南方探索の騎士について他に情報をお持ちの方がいれば、この会議終了後に私の執務室を訪ねてほしい。
王と兵部卿の任にあった騎士の調停の件については、王と兵部卿のお二人から私の元に連絡が届いている。
まもなく大きな話し合いの場が持たれるとのことだが、調停は難航を極めており、帰国は遅れるとのことだった。
来年は中央探索の任にある兵部卿の息子が、北部総督の任に異動するため、彼には王と兵部卿であった騎士の調停の様子を見てきてほしい、というのが私の意見である。
…彼らとのやり取りを、私達もした方がよいように思える」
では今日はこれで会議を終了とするが、誰か異論がある者は挙手を、と財務卿が言うと、諸侯から、他の空席の騎士の推挙の話は明日でよいのかね、との意見が上がり、財務卿はそれに頷いた。
その話も私の執務室で、と財務卿が言うとその諸侯は頷き、他に意見をいう者はいなかった。
ではまた明日の円卓会議で皆会おう、解散、と財務卿は本日の会議を終了させた。




