67.円卓会議2日目-2
財務卿は北方辺境伯の任にある者へ言った。
「北方辺境伯、これは本当に貴方の意に沿った異動である、と捉えてよいのかね?
貴方が騎士の席から諸侯の席に異動する必要はなかったのではないだろうか」
北方辺境伯はにやりと笑って、彼自身の考えを会議室にいる皆に伝えた。
「騎士および諸侯の方々もご存知の通り、北方領と北部辺境領は、かつて兵部卿が北方執政の地位にあった際におさめていた地域である。
彼の騎士が兵部卿に異動の後、北方辺境伯である私と分割統治を行っている場所であり、私の騎士の座はその時に得たものである。
新たな北方執政が決まったのであれば私は騎士の席を返上し、北方辺境伯領も新たな北方執政の任に就いた騎士にお任せしよう。
私は騎士から諸侯の席へ異動したいと思う。
これについては、王の姉である妻も承諾している」
なるほどそうであったか、と財務卿は頷く。
北方執政の任に変わった北方探索の任にあった騎士は、憮然としたまま友人を見ている。
これが一番の落としどころさ、と諸侯の席に異動したばかりの北方辺境伯は笑った。
他の者に異論がないようであれば会議を進めよう、と財務卿はさらに話を続けた。
「さて、残りの執政の任についての話をしよう。
北部総督の任について、先日の会議の後に本人から立候補の申し出があった。
中央探索の任にある騎士が、北部総督の任に異動したいとのことである。
彼は、兵部卿であった彼の騎士の息子であり、中央探索の任も勤めていることから、北部総督の任を果たすのに不足はないように思われる。
私はこれを支持しよう。
異論ある者は挙手を」
諸侯からざわめきが起こったが、誰の手も上がらなかった。
「では、これは決定とする。
これで北方辺境伯の任と北部総督の任の騎士の席の2席が動いたが」
財務卿の視線を受けて北方辺境伯は頷くと、立ち上がって諸侯達の座る場所の空席に移動し、着席した。
すると部屋の色は朱から白に戻った。
今回もやはり2名の騎士の席の異動が必要であったな、と財務卿は呟いた。
北方執政の騎士の異動は数に入らないようですね、と騎士の誰かが発言する。
財務卿は言った。
「これで全ての執政の席が埋まった。
今回の円卓会議は我が国が大きな問題を割に、すんなりと話が決まって私もほっとしている。
ようやく、今回の最重要課題を議論できそうだ。
現在失踪中の南方探索の騎士の処遇について、これから騎士および諸侯に意見を伺いたい」
誰か彼女について、行方の手がかりを知る者はいるか、と財務卿は会議室を見渡した。




