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63.円卓会議における騎士および諸侯の調整-2

財務卿に目通りが叶い、彼は部屋に足を踏み入れた。

騎士の館にある彼の部屋と、全く同じ大きさ同じ間取りである。

彼は物怖じしない様子で、財務卿の座る執務室の前まで歩いていく。

彼が目の前に来ると、財務卿は訝しげに眉を上げ声をかけた。

「東方執政の騎士に続き、君までここに来るとは。

珍しい来客が続くものだ。

中央探索の騎士よ、何用かね」


中央探索の騎士は彼の部屋から持ち出した私物を、目の前のテーブルの上に置いた。

「私から財務卿にお伝えしたいことがあります。

それは今の貴方にとって何より有益な情報です」


財務卿は物珍しげな様子で、眉を動かす。

中央探索の騎士は話を続けた。

「これは私が中央探索の任地にて見つけた聖杯です。

私は…僕は現地の人々から面白い情報を伝えられました」


聞きたいですか?と中央探索の騎士が財務卿に問いかけると、先を、と財務卿は彼に話の続きを促した。

それでは、と彼は任地での出来事を話し始める。


中央探索の騎士の話を、財務卿は時折相槌を打ちながら聞いている。

探索の任務での長い話が終わると、中央探索の騎士は彼にとっての最重要案件を財務卿に切り出した。

「明日の会議にて、僕を中央探索の任から北部総督の任への異動の推挙をお願いしたい。

その見返りとして、これを」


彼は目の前にある聖杯を指し示した。


財務卿は目を見張った。

「まだ探索の任について日が浅い貴公が、聖杯を既に見つけておったとは。

それだけでも驚きであるのに、中央探索の任にてそのような情報まで入手しているとは。

…生涯かけても聖杯を見つけられない騎士は多くいることは、先任の騎士達からも伝え聞いている。

しかし私には、何故貴公がそこまでのことをするのか分からない。

君が南方探索の騎士を知ったのは、彼女の就任以降のことだろう。

今回の彼女の身に起こった事件は、君にとって何か関係があるのかね」


財務卿の鋭い視線に、怖いな、と中央探索の騎士である彼は肩をすくめた。

僕は事件への関与は全くなく、その情報に非常に驚いている、と彼は財務卿に言った。


「南方探索の騎士は、知り合ってからの期間は短くとも僕の友人だ。

国外にて危難にあり安否も分からぬ彼女を守るために聖杯を使うことは、騎士の席にある僕にとっても十分な理由だと思います」


財務卿は目の前の聖杯を見つめ、沈黙したまま動かない。

中央探索の騎士は時間が必要なのだな、と財務卿の背後にある窓ガラスの向こうにある景色を眺めた。

彼は、この国の冬は灰色の空ばかりだ、と任地で見た冬の空を思い出していた。

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