61.王の子どもの話-4
一日目の円卓会議が終わった。
騎士および諸侯は散会し、騎士の館や宮殿のそこかしこで会議を終えたばかりの諸侯達が、今日騎士の館で起こった不思議な出来事を、興奮冷めやらぬ様子で話し合っている。
会議室を最後に退出した財務卿は、諸侯達が不用意に押しかけいらぬよう、会議室に施錠をした。
円卓会議の開催中、会議室の扉は時間になれば勝手に開くが、終了時間は定めがないため、騎士の館の管理者である第一席にある騎士に、扉を閉める任務を割り振られている。
勝手に扉も閉められるとよいのだが、とこの国の第一席の騎士の席にある財務卿は常日頃から思っていたが、今回のようなことがあれば、鍵の管理も必要になるのか、と鍵を閉めながら考えていた。
彼は本日の会議室の自分の任務を終えると、上階にある執務室へと戻っていった。
蒼白な顔色の北方辺境伯もまた、大変なことになったと、本日起こった出来事を話すため、王の姉であり彼の妻がいる宮殿に急いでいた。
王の姉である彼の妻は宮殿内に私室を持っていて、諸侯の妻達と談話をしながら会議に出席中の夫の戻りを待っていた。
真冬にも関わらず汗をかきながら部屋に飛び込んできた、彼女の夫である北方辺境伯を見ると、何事なの?と首を傾げた。
財務卿閣下が、と彼が話を切り出すと、彼女は黙って話を聞いていた。
彼女の周りの諸侯の妻達も、沈黙したままである。
早口で話す夫の話を聞き終えた彼女は、私にも用事ができたのでまたお話しましょう、と諸侯の妻達に別れを告げた。
人混みに紛れ、中央探索の騎士は、騎士の館にある自分の執務室に戻る。
常ならざることとは、このことか。
先日の北方探索の騎士との会話を思い出す。
彼は執務室に置いてある私物を持つと、財務卿の執務室へ足を運んだ。
財務卿の部屋に向かう者は他にもいた。
先ほど東方執政の任に決定したばかりの騎士と、その妹であった。
会議室の外で待っていた彼の妹は、兄の姿を見るなり、どうしたの?と問いかけた。
「この国で何かが起こっている。僕の知らないことが」
彼は悔しそうに呟いた。
彼は自分の予測がつかない悪い出来事が起こると、よくこのような表情をして考え込む癖がある。
彼女は彼女の兄が答えを出すまで、静かに待っていた。
「何故このようなことが起こるのか…その前に、とにかく先を押さえなければ」
彼は彼女の目の前でじっと思案を続けていたが、やがて彼女に何事か囁くと、まずはこちらからだ、一緒に行こう、と騎士の館の上階を見上げた。




