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60.王の子どもの話-3

この国の王妃には子どもがいた。

かつて彼女の身に困難が訪れた時に、彼女自身の手で子どもは隠されることになった。

彼女は子どもが悪い大人達に見つからないよう、彼女が知る最も安全な場所に子どもを連れ出した。

その後王妃はある事件がきっかけで、当時の記憶を全て失うことになってしまった。


記憶を無くし、自分に子どもがいることをすっかり忘れてしまった王妃は、王に子どもがいることを知り、自分の手で子どもを育てたい、と王に願い出た。

王に子どもがいる事実を王妃に告げた者がいて、母親に不幸があったのだろうと王妃は考え、そのような考えを王に願い出たのであった。


王は首を横に振って、それはできない、と彼女に告げた。

王は彼女に詳しい話をしなかった。

それは彼女自身を守るための考えからの言葉であった。


その答えを聞いた王妃は怒った。

王妃はそれが自分の子どもであることを知らない。

その子どもが誰であるか調べようとしたが、彼女には誰も真実を教えなかった。

王妃は彼女が親しくする騎士に相談した。

子どもを自分で養育することができない理由を知りたかったためである。

騎士は彼女にこのような事実を告げた。


「王が国の宰相である時の魔術師殿に頼み、彼女によって見つけられた子どもは2人、男の子と女の子ひとりずつです。

貴女に彼らの名前を告げることはできない。

それは王より禁止されている」


「なぜ王は子どもを元の居場所へ戻したのでしょう?

この宮殿で育てればよいものを」


「子どもの母親から自分の信頼するもの達の手元で、子どもは育てると言われたからと私は伺っております。

王からその話を聞いた騎士および諸侯はそれに同意しました。

貴女は子どもの母親に会ったことはないでしょう?」


彼女の親しくする騎士にそう言われ、王妃は頷いた。


「私は子ども達の母親の、信頼するもの達ではない、とのことなのね。

子ども達の母親は、とても自分の子ども達を大切にしていた。

王ですら、彼女の信頼するものの中には入らなかった。

確かにこの宮殿には、いろんな諸侯や官僚もいるし、王の知らぬ所で子ども達に悪意を囁く者もいるかも知れない。

子ども達をここで育てることはできない、のね」


とても残念だわ、と彼女がそのような答えを返すと、彼女の親しくする騎士は、どこか悲しげな様子で、そうですね、と答えた。

それは内戦で起こったたくさんの悲しい出来事が悪意により起こりましたから、仕方のないことですと、さらに騎士が続けると、でも彼女は子ども達を善意のもの達の元に預けたのでしょう?悪意がなく子どもを守れる場所もあるということね、と王妃は謎めいた微笑と共に親しくする騎士に言葉を返した。


彼女の親しくする騎士は笑って、そういうことですね、と言った。

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