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54.騎士および諸侯による円卓会議の始まり-4

円卓会議の時間になった。

神の御業により、会議室の扉が全て開け放たれた。


騎士の館は、この国の起こりに活躍した、あるひとりの魔術師によって造られた建築物である。

その魔術師は創造の魔術師と呼ばれ、当時国のあらゆる建築物を手掛けていたらしく、国の古の記録にも名が残されている。


魔術師は、騎士の権力を守るための様々な仕掛けを騎士の館に施した。

そのため、この館でしかできない国事もあり、毎年年末に行われる円卓会議もその一つである。

会議室のいくつかある扉は全て引き戸になっており、時間になるまでは閉じられたままであるが、定刻になると手で開かなくても、横に扉がスライドする仕組みになっている。

近年になり東方領の諸侯のひとりが、電気式の自動ドアではないか、と国一番の魔術師である宰相に詰め寄ったが、宰相は微笑を浮かべたまま、電気が発明されていない時代の古の魔法です、と騎士の館の図面を宮殿の書庫より取り出し諸侯に見せて答えたという。


出席者が入場する順番は古の習いにはないが、慣例で定まっている。

会議室へは高位の騎士から諸侯の順に入場する。

騎士の第一席にある財務卿が時間に遅れていたため、扉の直前にいた西方執政の任にある騎士が、一番最初に会議室に入場した。

「これは…なんと」

彼は会議室内の出来事に驚き、目を見張った。

続けて他の騎士達も会議室に入場し驚きの表情を浮かべるが、何も言わずにそのまま自分の席に向かった。


さらに諸侯達が入場する。

会議室に入った諸侯達は、喚声を上げた。


「部屋が…朱く染まっている」


円卓会議が行われる会議室は、壁や天井、机、テーブルに至るまで、全て白の調度で統一されている。


しかし今は全てが朱色に染め上げられている。


一体何がこの部屋で起こったのか?


異様な光景に諸侯達は唖然とし、騒めいた。

着座しなければ会議は始まらないと誰かが言い出して、それでようやく諸侯の皆が自分の席に向かって歩き出した。


諸侯達の入場が終わってしばらく経ったが、主宰である財務卿が会議室にやって来ない。

時間厳守の彼としては珍しいことであった。

何か財務卿の身に異変が起こったのでは、と諸侯達が囁き始める。

財務卿と親しい誰かが彼の様子を見に行こうと席を立ったその時、入場を終えて閉められた会議室の扉が再び開かれた。

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