52.騎士および諸侯による円卓会議の始まり-2
円卓会議を間近に控えた冬の日のこと。
園遊会の打ち合わせを行なっていた中央探索の騎士は、友人が南部総督に異動するであろう旨を北方探索の騎士に伝えた。
北方探索の騎士は中央探索の騎士に、国外の執政の席がひとつ埋まることで、国内外の利益調整が行ないやすくなるため、探索の任務もやりやすくなるはずだ、と言った。
円卓会議の議題もこれでひとつ少なくなったな、と喜んでいるようだった。
円卓会議は古の習いにより、高位の席にある騎士により取りまとめられる。
他の騎士は当日まで諸侯の意見を聞いたりアドバイスするだけでよいが、その後の園遊会などの行事の取りまとめは、探索の騎士の任務である。
数百の諸侯が円卓会議に出席するために騎士の館に集まることになり、彼らの移動の調整なども行わなければならず、膨大な調整業務が発生している。
「彼女がいれば、少しは楽になっただろうに」
と、帰国後は騎士の館に詰めたまま、全く休暇を取っていない北方探索の騎士は呟いた。
南方探索の騎士の行方については、北方探索の騎士の元には何も情報は入ってきていないらしい。
「無事であればよいが…連絡が取れないのは痛手だな」
と国の宰相と同じ答えを、中央探索の騎士に返す。
「皆、彼女を心配しているようです。
彼女の無事を知る、何かいい手段はあるのでしょうか?」
彼はひとしきり思案して、話をはじめる。
「彼女から連絡がない限り、それは至難の業だ。
彼女が現時点でどこにいるのかすら分からず、失踪の原因すら掴めていない。
失踪が彼女の意思で起こったことであれば、連絡がないことは当然のことだと思う。
しかし今回のケースは彼女の失踪原因に心当たりがあり、それが失踪場所と思われる場所で突然紛争が起こったことによる、と考えられている。
何の確証もないが、もしかしたら彼女のために騎士の誰かが動くかもしれない。
それが出来る可能性がある騎士が、今回の円卓会議には出席する予定だ。
これは騎士の任に着く者にしかできぬ業で、諸侯にはできぬこと。
騎士が持つ権力とはそれだけ大きなものであることは、君も承知の通りだ。
円卓会議は三日間に渡り開催される。
今回の会議では常とは違うことが起こるかもしれない。
私も話は聞いたことがあっても、それを目にしたことはない。
注意しておくといい。
常ならざること、そこには騎士の席にある誰かの計略が潜んでいる。
君にもしそれが出来るのであれば、君が彼女を救えるかもしれない」




