51.騎士および諸侯による円卓会議の始まり-1
これは円卓会議直前の、中央探索の騎士の任務記録である。
”20**年12月**日。
円卓会議が目前に迫っている。
騎士の館にある北方探索の騎士の執務室を訪れた。
彼から今度の円卓会議について、いくつか情報が得られた。
ひとつは現在騎士の席にある者の意向について。
国の重鎮である財務卿および西方執政の騎士から、現在の席の離脱を求める話が出ているが、こちらについて諸侯の意見はさまざまで、調停が終わるまで待った方がいいという意見が多数派である。
ひとつは王の息子である諸侯の、東方執政の任務への異動。
以前から何度か会議にて話は出ていたが、王や騎士によって着任が阻まれていた。
しかし今回の会議では、北方諸国での戦の調停のため、王と第一の騎士であった兵部卿の欠席は決まっていた。
そして王の息子である諸侯は、王と兵部卿の調停に対して反発する諸侯の支持を集めたようで、騎士の席を望む彼の着任を遮る者は少ないようだ。
主だった諸侯からは反対の声も上がってはいない。
ひとつは現在空席の執政の任について。
諸侯の間から、王と彼の騎士の調停が長引き、国内外が政情不安定になっているとの意見が上がっている。
そのため、全ての執政の席を埋める必要があると考える者も多く、現在空席である北方執政および東方執政、北方総督および南方総督の推挙の動きが、諸侯や騎士から出ているようだ。
これらについては、以前から名が上がっている者以外の席については、なかなか名乗りをあげる者も、推挙の話も出しづらい状況のようで、新たな諸侯の選出を急いだ方が良いのでは、という話まで上がっている。
騎士の席への異動は、円卓会議に出席できる者…諸侯からしか選出されない。
それはこの国の古の習いであって、そのルールをうまく逃れる術もあるらしいが…また別の話である。
ひとつは現在失踪中の南方探索の騎士の処遇について。
諸侯から、危難の席にある者として、騎士の位から異動させた方がよいのではという意見が出ている。
彼女とは未だ連絡が取れず、消息不明であり、失踪の原因も明らかでない。
騎士としては経験も実績も不足しており、席の異動が時期尚早であったのでは、という意見が出ているとも聞く。
財務卿や他の騎士はその意見について反対の立場を取っているようだが、失踪が長引けば異動も起こり得ることだとは、北方探索の騎士の話であった。
せめて彼女と連絡が取れるといいのだけれど、とは宰相殿の言葉である。




