47.王の息子である者からの使者-1
円卓会議が直前に迫ったある冬の日。
北方探索の騎士は、執務室で来客を迎えていた。
それは彼の知らない人物で、ある人物からの使いの者だ、との取次ぎの者から彼に説明があった。
彼はある人物についても面識がなく、しばらく何事かを考えていたが、取次ぎの者に執務室に来客を通すよう伝える。
ある人物とは諸侯のひとりで、彼も名前は知っていたが、今まで交友関係は全く持たない人物だった。
取次ぎの者からの連絡の後、北方探索の騎士の執務室に入室したのは、年若き女性であった。
ある人物と使者が同じ年代だと思った彼は、さらにこの女性が彼の知る人物によく似ていることに気がついた。
来客…ある人物の使者を名乗る者は彼に簡単な礼を行うと、このような話を始めた。
「初めまして、北方探索の騎士様。
突然の来訪を受け入れて頂き、ありがとうございます。
私を遣わした方は現在東方領の諸侯の席にある者で、この度の円卓会議にて東方執政の騎士の席を望む者です。
今回の円卓会議での推挙にあたり、既に諸侯の多くに彼の意志は伝わり、騎士の席への異動の賛同を得ている。
貴方にもそれらの諸侯と同じく賛同して頂きたく思い、こちらへお願いに参りました」
騎士の席への同意か、と彼は再び考える。
彼は使者に尋ねた。
「東方執政の騎士の席を望む諸侯の使者殿よ。
貴女の要件は理解した。
騎士の席を望む者がこのように使者を遣わすことは、珍しくもない話だ。
騎士の席は多くの諸侯にとって、魅力的な地位であるし。
しかし使者殿よ。
彼の者を東方執政の騎士に推挙したとして、何か私に利点はあるのか?
…彼の者が騎士の座に着くことを、王をはじめ騎士や諸侯の中では反対の意見を持つ者も多い」
彼が言うと、使者は首を横に振った。
「確かにそのような話を、私も賛同頂いた諸侯達から聞いております。
もちろんその理由についても承知しておりますが、非常に残念な話です。
また王と第一の騎士であった彼の者は、長く他国の戦争の調停に拘っており、その発端は王妃様を巡る争いだとも聞き及んでいます。
近年、国内外の情勢が荒廃の一途を辿っている状況にも関わらず、彼らは国を省みず争いを止めない。
そのような王の意見を受け入れることを拒否する諸侯も多いようです」
彼は使者の話に、わずかに眉をひそめた。
そういう見方もあるかもしれないが、それは私の利点とは無関係な話だな、と彼が言うと、北方探索の騎士様に無関係なお話でもありませんよね、と使者は小さく笑った。




