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羊毛を巡る一連の事件について〜ある国の騎士達の物語〜  作者: さばとらのはは
1-2. 年末の贈り物合戦と騎士の異動に向けての策謀
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46.西方執政の任にある騎士の息子と宰相の話-6

これは南方探索の騎士が失踪した直後の、中央探索の騎士の任務記録である。


”20**年12月**日。


南方探索の騎士が行方不明になったとの報告を耳にしてから、数日が経過した。

彼女からの連絡はなく、生存確認の報告も宰相や財務卿の元へは入っていない。


年内に片付けなければいけない仕事と年末の園遊会の準備で、日々は足早に過ぎていく。


あの日宰相殿に失踪の報をもたらした財務卿閣下は、誰よりも忙しく動き回って情報を集めているようだが、成果は芳しくないようで、宮殿内ですれ違う際の表情に翳りが見える。


宰相殿にその話をすると、

「それは仕方がないことだわ。

彼女は彼の大切な『真珠』ですもの」

という宰相殿らしい隠喩と力の無い苦笑が返ってきた。

『真珠』とは、ある物語に登場する女性を指すらしい。


友人は、円卓会議での南部総督の任へ異動が決定次第、年明け早々にも南方諸国にある総督府へ居を移すという。

「こちらとあちらでは、行使できる権限が違うから」


と彼は答え、続けてこのように言った。


「南部総督の任務の話をしたら、父にすごく怒られてしまったよ。

宰相閣下や財務卿にその話をする前に、私に相談しなさい、とね。

話のついでに南方探索の騎士の失踪の件を伝えると、とても驚いた様子だった。

南方諸国で起こった紛争については、任地への異動に家族を連れて行くのか、って追及されてしまったよ。

さすがにそれは時期が悪いから、僕の単身での異動だと伝えたから…あまり大事にならずに済んだけど」


彼は数年前に結婚し、昨年子どもが生まれたばかりの状況であるため、私生活でもいろいろと調整しなければならないことがあるようだ。

彼の任地は南方諸国で起こった紛争に巻き込まれていないとのことだが、この国ほど治安のよい場所ではない。

しばらく単身赴任だ、と、少しがっかりした様子だった。


宰相殿と財務卿の話の場に居合わせた後、北方探索の騎士とは園遊会の打ち合わせがあったため、南方探索の騎士の失踪の話はその時に伝えた。

彼は少し表情を強張らせて、そうか、と言った。

私がこのようなことはよくあるのか、と尋ねると、頻繁に起こることではないが、探索の騎士が他国での紛争に巻き込まれることは過去にも何度か事例があるそうだ。

中には任務中に命を落とした者もいるとのことであった。

南方探索の騎士の失踪の心当たりについては、彼の知人にいくつか尋ねてみるくらいしかできないという。

国内であればできることも多いが、国外では騎士が使用できる権力にも制限があるから難しいと、彼とはそのように話を終えた“

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