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羊毛を巡る一連の事件について〜ある国の騎士達の物語〜  作者: さばとらのはは
1-2. 年末の贈り物合戦と騎士の異動に向けての策謀
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45.西方執政の任にある騎士の息子と宰相の話-5

宰相である彼女の執務室の外で、呼び鈴が鳴った。

新たな来訪者らしいが、彼女は首を傾げた。


「おかしいわね。

今日はもう来客予定がないはずなのだけれど…どなたかしら?」


執務室に案内も待たず飛びこんできたのは、財務卿の任にある騎士だった。

非常に慌てた様子で、急いで歩いたのか額に汗が浮かんでいる。

彼は常日頃の彼らしくなく、挨拶もそこそこに要件を切り出した。


「南方探索の騎士が…任地に向かう道中で紛争に巻き込まれ、行方不明になったとの知らせが私の元に届いた。

この国の宰相である魔術師殿よ、その件について貴女は何かご存知ではないか?」


宰相である彼女は一瞬のうちに表情をこわばらせ、首を振った。

「いいえ、何ということでしょう!

私の元に、そのような情報はまだ届いていない。

…これから情報が得られそうな人達に、連絡を取ってみるわ。

もし何か詳しいことが分かれば貴方にも知らせます。

本当に…このような円卓会議を目前に控えた時期に…何ということでしょう」


近くで話を聞いていた西方執政の息子も声を上げた。

「財務卿殿、初めまして。

このような急を要する場での丁重な礼は、控えさせて頂きたく思います。


西方執政の息子である私は、年末の円卓会議にて南部総督の任に名乗りを上げるため、本日は宰相閣下の元に足を運んだのです。

そのための準備も既に整えており、南方探索の騎士の任地までの経路にあたる付近にも、いくつか情報網を築いている。

…もし差し支えなければ、南方探索の騎士が失踪した場所を教えて頂きたい」


西方執政の騎士の息子がそのように言うと、財務卿の任にある騎士は、おお、と声をあげ、彼と固く握手を交わした。

「其方のことは王や他の騎士からも話を聞いている。

ありがたい。

助力頂けるとのこと、感謝する」


財務卿は手元に届いている情報をいくつか、彼らに伝えると、

「他の騎士や諸侯にも…私が信用できる者達にもこの件を伝えるため、これで失礼する」

と一礼して、やってきた時と同様に、足早に宰相の執務室を後にした。


西方執政の息子も、急ぎの仕事ができました、と宰相である彼女に一礼し、友人である中央探索の騎士を引き連れ退出した。


国の宰相である彼女も…南方探索の騎士からのプレゼントである居心地のよいクッションを横目で見ながらため息をつき、他所への報告を始めた。


宮殿を去り、西方執政の息子と中央探索の騎士は二人揃って騎士の館へ向かう。

「大変な事態だ…さて、どこから連絡をつけるか」

西方執政の騎士の息子が思案顔で呟くと、

「北方探索の騎士にもこれから園遊会の打ち合わせがあるから、話をしておくよ。

彼は探索の任について長いから、このような事態への対処法を知っているかもしれない」

と中央探索の騎士は言い、まいったね、と灰色の冬空を見上げた。

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