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羊毛を巡る一連の事件について〜ある国の騎士達の物語〜  作者: さばとらのはは
1-2. 年末の贈り物合戦と騎士の異動に向けての策謀
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41.西方執政の任にある騎士の息子と宰相の話-1

これは円卓会議開催の少し前に、南方探索の騎士が遭遇した突然の出来事である。


彼女は南方諸国のある港街にいた。


急ぎ足でこの地までやって来た。

強行軍であるとの自覚もあったが、急ぎ用事を済ませる必要があった。


港街から乗り換えをして、ある島に渡るのだ。

この場所からしか、その島には渡ることができない。


彼女がいる場所は治安がよくない地域であるため、手荷物は背中に背負えるほどのもので、最小限に留めている。港街に来る前に、大きな荷物は彼女の任務の際の現地拠点に、全て置いてきている。

港街は雑多な人種で溢れかえっている。

年の暮れであるためいつもより人が多いようで、すれ違う人と数歩ごとに肩がぶつかるほどであった。

主要な交易路の中間地点であるため、人も荷物も往来が激しい場所である。


大きな港街であるにも関わらず、この時は何故か外部への連絡に手間がかかり、彼女は少し気が立っていた。

ネットワーク関係の断線が続いている。

スマートフォンなどの電子機器の調子が悪く、繋がらない。

大掛かりな工事か、磁気嵐が起こっているのか、この街に来たばかりの彼女には理由がよく分からなかった。

少し待てば回復するのかな、とそんなことを悠長に考えながら、離島に向かう船が出航する港に向かっていた。


その時。


港の方から突然、轟音が鳴り響いた。

一瞬の静けさの後、周囲の人々が歩みを止め、何があったのかと騒ぎ出した。


さらに何度か、同じような轟音が鳴り響いた。

港にいた人々が何かに急き立てられるように、市街地へ走り戻ってくる。

突然鳴り響いた轟音は、大きな混乱を平和であった港街にもたらした。


小柄な彼女は人の流れに飲み込まれて居場所を見失わないよう、少し大通りから逸れた小道を見つけ、市街地方面に引き返すことにした。

彼女はこの小道が、市街地方面へと続く裏道であることも承知していた。

道路際の建物の窓から何事か、と居住者達が顔を出し、中には逃げろ、と叫びながらその場を走り去る者もいるようだ。

走る彼女の横では、混乱した人々の短い口論が、あらゆる場所で起こっているようだった。


港街の人々が話す言葉は雑多で、彼女には分からない言葉も多い。

彼女が向かっていた港で、大きな事件が起こったようだ。


彼女は走ることをやめず、ただ一人、人の流れの合間を縫うように、安全が確保できる場所を探して、港街を疾走していた。

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