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羊毛を巡る一連の事件について〜ある国の騎士達の物語〜  作者: さばとらのはは
1-2. 年末の贈り物合戦と騎士の異動に向けての策謀
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35.西方執政の任にある騎士の息子の話-3

これは西方執政の任にある騎士の独白である。

彼は中央探索の騎士と共にこの国の宰相に面会する前、宮殿の門の前でこのようなことを考えていたそうだ。


『宮殿に足を運ぶのはニ年ぶりだ。

まだ王と彼の騎士によるあの戦の調停が始まる前に、西方執政の騎士である父とともに僕はこの宮殿にやって来た。

僕は父とともに王に目通りし、ひとつの命令を承った。

それは僕にとって長い二年間の始まりだった。


病弱だった母はあの流行り病に罹り、亡くなっていた。

この国でも僕の周りでも、そのような事が頻繁に起こっていた。

その病に罹っても回復する人も多かったが、罹患期の急な高熱や病後の後遺症で命を落とす人は、医療体制が整っているこの国でも少なくはなかった。

最愛の母の死と任地での病の対応の難しさから、父はずいぶん気を落としてしまったようだった。


あの時、王から僕が命令を受けた直後。

父は王の命令に対して、ひどく反発しているようだった。

あのように怒る父の姿は、それまで目にしたことがなかった。

王の忠実な側近である父がこれまで、このように王に対して怒りを露わにする姿を見たことはない。


その時の僕は、王からの命令が非常に重い任務であることに全く気づいていなかった。

だからだろうか。

命令を実行するための猶予を設けるよう、父が王に申し出をしたのは。

王は僕に対し、その命令について考えをまとめる時間を許された。

これまでの二年間、僕はその命令の意味を考え続けていた。

考え続けたいろいろなことを西方領にいる父に話すと、父の怒りは鎮まった。

そういうことだったのか、と呟いて、宮殿の宰相閣下にお会いしなさい、と父は僕に言った。

王が不在時の命令執行の権限は、国の宰相にあるからだと、父は僕に理由を述べた。

そして父は、行ってきなさい、と僕を宮殿に送り出した。


僕の手元にある、この白い小瓶。

これは最近、ある場所で手に入れたものだ。

これでようやく、僕は王からの命令の意味を理解した。

これを見つけた時に、僕はようやく自分の与えられようとしている任務の重さに気づいた。

時がくれば分かるさ、と笑った王の顔は今でも忘れられない。


宰相閣下とお会いするのは初めてだか、美しく聡明な方であると、友人である中央探索の騎士からも聞いている。

女性には距離を置いた態度を取ることが多い、彼にしては珍しいことだ。

南方探索の騎士とも打ち解けているようだ。

僕はどちらとも会ったことがないけれど。


宰相閣下にお会いするのは本当に楽しみだ」

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