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2.ある騎士による、話のはじまり
ある国で病が起こった。
その病は世界中に瞬く間に広がり、大勢の人々を苦しめることになった。
その数年後、北側諸国で世界中を巻き込んだ戦争が始まった。
ある国の王と、その国で最も大きな権力を持つ円卓の騎士のひとりは、戦争を憂う国々より依頼を受け、二つの陣営に分かれ、密かにこの戦争の調停を行うことになった。
国の他の円卓の騎士は、その調停に加わることを許されず、王と諸侯の会議により定められた彼らの任務を日々こなしている。
これは調停に加わることを許されなかった、ある円卓の騎士の言行録である。