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羊毛を巡る一連の事件について〜ある国の騎士達の物語〜  作者: さばとらのはは
1-2. 年末の贈り物合戦と騎士の異動に向けての策謀
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28.第一の騎士である財務卿の話-4

彼は彼女にクリスマスプレゼントを手渡した。

財務卿である彼から、宰相である彼女に手渡されたのは、綺麗にラッピングされたひとつの白い小包。

それは彼女の手のひらにすっぽりと収まる、小さなものであった。


「これはつい先日、私がある国から取り寄せたものだ。

ぜひ貴女に受け取ってほしい。

この国一番の魔術師であり、美しく知性と慈愛に満ちた貴女に。


私も貴女とは、円卓の騎士の末席にあった頃からの知り合いである。

私が円卓の席に名を連ねてから長い月日が経ち、時と共に多くの富と名声を得た。

今回の王と彼の騎士による調停がなければ、私が第一の席を得ることもなかっただろう。

私は充分すぎるほどのものを既に得ている。


しかし、そんな私でも手に入れていないものもある。

それはこの国の誰もが望むものかもしれない。

…長い時を生きる貴女には自明であるかもしれないが」


この国一番の魔術師である彼女は眉をひそめた。

「それは…王と彼の騎士の行なっている調停に対する批判なのかしら?」


麗しき財務卿は豪快に笑った。

「さあ?


ただ…あの2人は自分達が何を行っているのか、理解していないように見える。

あの調停は、2人が王妃を求めるあまり起こした争いの延長線上にある。

そのような争いに他国の戦の調停を利用するのは、道理から外れた行為に思えるが…

あの2人の思惑が私には分からない。


それはそれとして。

私は調停に加わることを許されなかった騎士であるゆえ、王妃様でなく貴女を支持しよう。

美しき宰相殿よ。

それでは、また」


財務卿は優雅に一礼すると、足早に宰相の執務室から退出していった。

彼女も一礼して、彼を見送った。


その後国の宰相である彼女は、他にも来訪者も多く迎えることになった。

この日は月変わりであり年の瀬も近いため、この地から移動する者が大勢いたようだ。


南方探索の騎士である彼女も、下街で有名なお菓子屋さんで買ったというおやつを宰相の執務室に持参し、

「先ほど財務卿閣下とお会いしてきました。

これで探索の任務を果たすために必要なものが全て揃ったので、あの南の羊の国へ行ってきます。

年末の円卓会議までには戻る予定です。

叡智ある宰相様、必ず…クッションではない素晴らしいクリスマスプレゼントを持ち帰りますね」


と言い残し、慌ただしく執務室から退室し、南の国へ旅立って行った。


国の宰相である彼女は、南方探索の騎士を見送り、小さくため息をついた。

「彼女は少し落ち着きが足りないわね。

まだ任に就いてから日も浅いし、仕方のないことかもしれないけれど。

…大丈夫かしら?

心配だわ。

事を急ぐあまり、無茶をしなければよいのだけれど」

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