26.第一の騎士である財務卿の話-2
財務卿は笑った。
「貴女のその忌憚なき発言に、いつもながら驚かされる。
私の在任の可否は、本来であれば円卓会議で発言を行い、王と他の騎士、諸侯により承認を得るもの。
円卓会議に参加しないとしても貴女はこの国の宰相閣下。
先に話をしておいた方が、私にとっては益となるから伝えたのさ。
あ、それともう一つ。
3人の探索の騎士が帰国したという噂を聞きつけ、こちらに立ち寄らせて頂いた。
…貴女の部屋の調度が、増えたようだね。
もしかして彼らからの贈り物かな?」
宰相である彼女も笑った。
「貴方のその忌憚なき発言も、お話が分かりやすくてとても楽だわ。
これらの品は貴方のおっしゃる通りのものよ。…クリスマスプレゼントですって。
折角お見えになったことであるし、ここでひとつ謎かけをしましょう。
どれがどの騎士からの贈り物か、貴方には分かるかしら?」
財務卿は宰相の執務室を見回し、少し考え込んでから答えた。
「私が分かるのはひとつだけ。
貴女の部屋には今までになかったと断言できるものが…このひとつです。
…なるほど、彼の尊き騎士の子息は、北方の執政を求めているようだ。
あの地は気位の高い者が多く、諸侯の独立心が強い。
それは国の制度が変わった今でもそれは変わらない。
彼の探索の騎士は、彼の父の後を継ぎ、その地位に就くことを望んでいるように私には思える」
宰相である彼女も、財務卿の意見に同意した。
「そうね。彼を見ていると私もそのように思う。
しかし彼はまだ若く経験が足りない。
そのような者が北方の執政ともなれば、無用な争いが起き、国が荒れるかもしれない。
彼は幸いにして、王より円卓の騎士の一席を賜り、探索の任に着いた。
短い間であるにも関わらず、ずいぶんと知見を広くして帰国したようだけど…彼の人間性は以前とあまり変わりがないように見えるわね」
財務卿は大笑いした。
「それは結構なことだ。
彼の騎士の子息であれば、そうでなくては!
我が国でも有力な諸侯の領地をいくつも抱える北方領の執政と騎士の席を狙う諸侯は多く、王の遠縁にもそのような者がいるとの噂も聞いている。
そういえば、王の子息も別の執政の席を望んでいると誰かが噂していたな。
しかし彼の者は、王への恨みによりそれを望んでいるのではないかとの評判もあるため、未だ円卓の騎士に名を連ねてはいない。
北方の執政は、国の中でも重要な職務に当たるため、円卓の騎士の序列でも高位に当たる。
そろそろあの席も埋めなければならないだろうね」




