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羊毛を巡る一連の事件について〜ある国の騎士達の物語〜  作者: さばとらのはは
1-2. 年末の贈り物合戦と騎士の異動に向けての策謀
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25.第一の騎士である財務卿の話-1

三人の探索の騎士が帰国した翌日。


国一番の魔術師であり宰相である彼女は、宮殿内の彼女の執務室で先日帰国した探索の騎士達から提出されたレポートをめくりながら、小さくため息をついた。

彼らから渡された現地調査の資料や要望書は、彼女にとって未知の情報もあり、中には早急に対応しなければならないものもある。

まずどこから手をつけるべきか考えながら壁に掛けられたカレンダーに目を向けると、すでに今年最後のページが表示されている。


「明日から月が変わる。

今年も残すところ、あとひと月。

年末は何かと予定が立て込んでいて忙しいわ。

早めに予定を立てないと。

国内の調整を進めなければならない案件もいくつかある。


まもなく北方諸国の戦が終わるとの知らせも届いている。

王や彼の騎士は無事かしら。

私の元には彼らからほとんど連絡が入らないから、本当に困ったこと。

二人が不在の最中に怪しい動きをする諸侯もいるようだし。


…今年の円卓会議は、少し荒れるかもしれないわね」


あれこれ思索を巡らせ事務仕事を片付けていると、彼女の元に予定のない来訪者が現れた。


「宰相様、財務卿がおこしになりました」

「私の執務室にお通しして」


必ずアポイントメントを取る彼にしては珍しいことだと思いながら、宰相は財務卿を室内に招き入れた。

この国の財務卿であり、円卓の騎士の一席を賜る彼は、優雅に一礼すると彼女の前まで進み出た。

「いと美しき魔術師である宰相殿よ、しばらく会うことはなかったですが、息災のようですね」


彼女も笑顔を浮かべながら、一礼した。

「かくも貴き、我が国の財を司る御方よ。今日はどのようなご用件でこちらへ?」


「貴女に円卓会議の前にひとつ相談を、と思いまして。

今回の円卓会議にて、私が持つ円卓の第一席の権限をお返しすることを、皆に申し出るつもりです。


間もなく王と彼の騎士の調停のきっかけとなった戦が終わるとの報が、私の元に届きました。

数年前、兵部卿であった彼の騎士は第一の席を離れ、後任に私が就くことになりました。

彼の騎士はこの国で常にその座にありながら、王と調停を行なうためにその権限を放棄した。

戦が終われば、彼の騎士にそれをお返しすることが道理であると、私は思う」


宰相である彼女は思案する。

「今回の円卓会議で、貴方のように席の移動を求める騎士や諸侯は多いでしょうね。

貴方の第一の席は王が命じたものであり…私にそれを動かす権限はない。


それを知る貴方が、何故私にそれを伝えたのでしょうか?」

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