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羊毛を巡る一連の事件について〜ある国の騎士達の物語〜  作者: さばとらのはは
1-1. ある東の国での毛糸にまつわる事件
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22.国一番の魔術師である宰相への贈り物-2

中央探索の騎士はクリスマスプレゼントの品物についてちょっと交渉をしてくるよ、と北方探索の騎士に伝え、連絡を取るため少し離れた場所に移動した。

乗り物での移動中であるため、彼の周囲には雑音が満ちている。

それに負けじと電話に対して大声で話す彼の声が、たまに北方探索の騎士の耳にも聞こえてくる。

電話に向かって早口でまくしたてる彼の言葉は、北方探索の騎士の全く知らぬ言葉だった。

しばらくすると電話を終えて、中央探索の騎士は戻ってきた。


「移動中は電話が遠くて、話をするのもひと苦労だ。

でもこれで、宰相殿へのクリスマスプレゼントの手配は終わり」


「何を贈ることにしたんだ?」


北方探索の騎士の質問に、にんまり笑顔でそれはね、と中央探索の騎士は答えた。


「羊毛で作られたもので、世界で最も高価なものだよ。

僕の探索地域にそれはある。

そこの土地に住む人々がかけがえのない財産と呼び、昔から生活に必要不可欠なものだよ。

宰相殿の執務室にはちょうどよいものだと思う」


中央探索の騎士は、贈り物にまつわる話を始めた。 


「ある地域では、たくさんの織物がそこに住む女性達の手によって織られている。

それは大きな木枠に糸をかけ、長い時間をかけて、人の手によって織られている。


以前任務で立ち寄った際に、その村の人から一枚買わないか?と話を持ちかけられたことがあって、その時は断ったんだけど…今回僕にはそれが必要なようだ。


先ほどの電話は、僕から彼らへの連絡だった。

彼らに、才知ある美しい女性への贈り物をするために、それが欲しいと頼んだんだ。


すると、このような答えが返ってきた。

『君が求める絨毯の中に、美しい女性を巻き入れて送る必要はないのか。

それは残念だ』

だってさ。


全く彼らには恐れ入るよ。

いつの時代のどこの国の話だか。


あの地域の村に行った時は、いろいろと大変だった。

どこの村を訪れた時も、必ず村で一番の器量よしで働き者の女性を紹介されるんだ。

『嫁はいらないか』だって。

毎回断るのも大変なんだ。断っても断っても次から次に紹介される。


…ああ今年もいろいろあったなあ。帰国したら少しはゆっくり過ごす時間が取れればよいのだけれど、そうはいかないし」


思い出話に少し疲れたように、中央探索の騎士はため息をついた。

北方探索の騎士はまあまそういうことも任務にはつきものだと、肩を落とす中央探索の騎士を慰めた。


このようにお互いの任務で起こった出来事を披露しながら、二人は旅の途中で持て余した時間を過ごしていった。




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