表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
羊毛を巡る一連の事件について〜ある国の騎士達の物語〜  作者: さばとらのはは
1-1. ある東の国での毛糸にまつわる事件
21/78

20.南方探索の任にある騎士の話-4

北方探索の騎士は中央探索の騎士に、南方探索の騎士と対面した時の話を披露した。

「彼女はこのような人だ」


「面白いね。…ところで先ほどの毛糸の事件を、彼女に話したことはある?」


「いや」


「連絡を取ってみるといい。

彼女が探索に向かったのは、世界で一番の羊の国だろう?

今まで見えなかった問題に気づくかもしれない」


「彼女は忙しいと…」


「答えを急ぐ必要はない。

だってもう既に調停は始まっているのだろう?

調停をよりよく終えるために、私達は話をしているだけだ。


もし販売する者がただの善意の者であれば、補償をすぐに行うはずだ。

また悪意の者であれば、全く取り合わないだろう。


とにかく彼女に聞いてみれば?」


「そうかもしれない…では君の助言のままに」


北方探索の騎士である彼は、手紙に事件のあらましを書き、南方探索の騎士に送ることにした。

ふたりがのんびり帰路の旅を楽しんでいると、一通の手紙が空から降ってきた。

南方探索の騎士からの返信である。


『手紙確認したよ。面白いことに巻き込まれたようだね。


北方では毛糸…羊毛?を巡る争いが起こっているんだね。

こちらの羊毛はあまり個人に渡ることがないから、このような争いが起こることは少ない。

この地域の羊毛はメリノ種が主で、それは他の羊毛よりも細く長い繊維を持つ。

他の羊毛に比べてちくちくしにくく、柔らかいため、衣料用に使われることが多い。

(フリースも北方に比べて汚れが少ないよ。飼育環境も違うようだね)


羊毛は海を越えて、北方地域や中央地域で加工される。手紙の彼女の国でも加工され、織物になり、衣料品が作られているようだ。


問題の毛糸はどこの地域の羊が使われているのだろう?

問題があった販売者の隣の国では、詳しく説明しているメーカーもあるようだけど、この販売者はどうだろうか?

羊毛の種類や生産地域によって、毛糸にも違いが出るし、販売価格も異なってくるから、この毛糸が良いものだとは一概には言えないね。


…以上を踏まえて、手紙の彼女にこのように伝えてみたらどうだろうか?


[貴女が持っている、いろんな国で生まれた毛糸。それは羊の種も違えば、育った環境も違う。

手にとって眺めるのでなく、実際に編んで、何が違うのか試してみればいい。

そして問題のあった販売者の毛糸を見た時に、貴女はそれを必要とするだろうか?

貴女の手元には、もう既にたくさんの毛糸がある。これ以上、貴女に毛糸は必要なのか?


何故、それは必要なの?


もしさらに必要だとするのであれば、これから先は、交渉が必要だ。

事故が起こった事実は、貴女がそれを持つのに不足だという考えがあるからとも思われる。

相手からもう二度と毛糸を買わないという判断なら、これ以上の交渉は必要ない。

後は全て、貴女次第]


私の話は以上で終わり。

あとひと月で今年も終わり。

真夏のこの国では、雪の舞うクリスマスマーケットが恋しいよ。

今年の円卓会議には出席できるといいけど、成果が上がっていないから宰相様に合わせる顔がない…


では』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ