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第1話 主人公の初恋に転生した

美智子は死んだ。


今、彼女の魂は体のそばを漂っている。


彼女は体に戻りたいと思ったが、何度も弾き返され、ただ泣いている家族を無力に見守るしかなかった。


兄が彼女を背負い、両親は寝巻きとスリッパでふらつきながら後を追い、皆で彼女を病院へ連れて行った。


医師は彼女が植物状態だと告げた。


彼女は泣き崩れる家族を見つめ、ただ静かに涙を流した。


何度も体に戻ろうとしたが、また何度も弾き返された。


涙を流していると、突然、彼女の体の胸元に金色の光が煌めいているのが見えた。近づいてみると、それは彼女が身につけている玉佩だった。


彼女は生まれつき心臓病を抱えていた。母親のお腹の中から持っていた病で、体が弱く、頻繁に病気になっていた。


家族は神に祈り、彼女が成長できるか心配していた。


幸い、身体は弱かったものの、何度も困難にぶつかりながらも成長した。


15歳の時、母親が彼女を寺に連れて行き、僧侶は彼女の命に危険があることを予見し、水波模様の玉佩を渡して、これがその危機を乗り越える助けになると言った。


それ以来、彼女はその玉佩を身に着け、外すことはなかった。


もしかして、あの僧侶が言っていた「劫」というのは、今この瞬間のことだったのだろうか?


その玉がついに力を発揮する時が来たのか?


美智子は手を伸ばし、指先が玉に触れると、玉の中に引き込まれていった。


何が起こったのか理解する暇もなく、そのまま吸い込まれた。


次に目を開けると、熱い息が顔にかかった。


目の前には、美しい顔があった。深い彫りと鋭い輪郭を持つ顔立ち、威厳のある眉の下には、情欲に濡れた暗い瞳が光っていた。まるで野獣のように赤く輝いている。


彼女は呆然と彼を見つめ、反応する暇もなく、彼の体が一気に重く彼女の体に覆いかぶさった。


どれくらい時間が経ったのか、神崎美智子はようやく朦朧と目を覚ました。


体中が痛く、特に下半身がひどく痛かった。


頭が徐々にクリアになり、見慣れない部屋を見回すと、急に起き上がった。


夢だと思っていたが、今、何が起こったのだろう?


隣で眠る男を見ていると、突然頭に鋭い痛みが走り、彼女の記憶の中に、彼女のものではない記憶が浮かび上がった。


実は、彼女は『末世、あなたと共に』という小説の中に入り込んでしまい、物語の中で彼女と同じ名前の主人公の悪毒な初恋、神崎美智子となっていた。


主人公黒川蒼真は、母親に無理やり生まされた私生児で、幼少期から母に憎まれ、虐待されて育った。その暗い環境で育ったため、幼い頃から心理が歪んでいた。


高校時代、彼はひどいいじめを受けていた。彼はいつも無抵抗だったが、誰かが彼に尿を飲ませようとした時、彼は相手を半殺しにしてしまい、その件を黒川家が裏で処理し、彼を神崎美智子の学校に転校させた。


彼は無口でいつも一人だったが、成績優秀でイケメンだったため、すぐに話題になった。


ラブレターがたくさん彼の机に届き、学校内で一番皆から注目されている女の子、桜井結花も彼に秘密でラブレターを送った。


しかし、ラブレターを送っているところを神崎美智子に目撃された。


神崎美智子という配役は腹黒で意地悪の性格をしてるが、美しく魅力的な外見を持っていて、男の子の中ではすっごく人気だった。


彼女は男性をからかうのが大好きで、無意識に挑発して、特に彼女がいる男を誘惑することが好きだった。


そんな彼女には一人のライバルがいた。それが、物語の女主人公、桜井結花だった。


神崎美智子は男子に人気があったが、学校での評判はあまり良くなく、男子はただ彼女と遊びたいだけなのに、桜井結花は女神として崇拝されていた。


神崎美智子は桜井結花に対して密かに憎しみを抱いていた。


彼女は自分が桜井結花より優れていることを証明したくて、何度も桜井結花と競い合い、しかし何度も桜井結花に負けてしまった。


桜井結花が黒川蒼真を好きだと知った後、神崎美智子は黒川蒼真に手を出した。


この時の黒川蒼真はまだ未熟で、誰にも愛されずにいた。神崎美智子が少しだけ優しさを見せると、すぐに心を奪われてしまった。


黒川蒼真を手に入れた神崎美智子は、桜井結花の前で何度もわざと仲良しぶりをアピールして満足していた。


桜井結花が何度も悲しんでいるのを見て、神崎美智子は心の中で快感を覚えていた。


黒川蒼真は、彼女にとって桜井結花に勝つための象徴であり、また自分を誇示するための道具だった。


彼女は裏で他の男子ともデートを重ね、ある日桜井結花に見つかってしまった。


桜井結花に責められた神崎美智子は、黒川蒼真と付き合っている理由は桜井結花を困らせるためだと言い、さらに『黒川蒼真みたいな精神的に問題がある男、貧乏でつまらなくて、父親が誰だかも分からない野良犬みたいな奴を、私が好きになるわけないでしょ』と嘲笑った。


ところがその場に黒川蒼真もいて、彼女の言葉を聞いて、顔色を変え、何も言わずにその場を立ち去った。


それ以来、黒川蒼真は姿を消した。


神崎美智子が首都大学に入学し、再び彼と再会したとき、彼は首都の大富豪、黒川家の跡取りとなっていた。


彼女がかつて軽蔑していた人物が、今や自分には手の届かない人物になっていた。


神崎美智子は後悔し、再び彼と復縁しようと厚かましく迫った。

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