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2024年問題D

ちょっと暗い話を続けてしまった。

とにかく、今は人数を揃えること。そのいる人数がしっかり成果を挙げる事が地道な近道。凄い技術が生まれても、自分達のところまでに来るのはいつになるのやら。あるいは訪れないかもしれない。


物流がヤバイ。今後はヤバイ。

という事は紛れもない事だが、それは大きく言えば、社会全体がヤバイこと。


「仕事がないなんて言い訳です」


ビールを飲みながら、酷い一言を発する蓮山部長。

実際にして欲しい仕事は山ほどあるけど、できない人間が多いんじゃないかという問題。これ結局、一人一人が頑張らなきゃいけない。逃げるも選ぶも自由だけれど、自分がやらないという事はあり得ないのだ。それはあくまで、任されるべき人。


「それはそれとして、お客様がお気にされるのはどうかと思います」

「そりゃあ現場行かない蓮山部長の意見でしょ」

「お客様を神様扱いなんてしませんよ」


物流問題でお客様にできる事は限られている。それは分かっているのに、お客様に対して指摘される記事というのは良い気はしない。

例えば、自分はモノを注文しないと言っても、頼む人なんていくらでもいるからだ。我々、配達業者はその指示に従い、注文の品を注文通りにお届けに参る事しかできない。

近頃よく言われるが、”再配達の苦労”についてのこと。我々からすれば当たり前の仕事をするしかなく、”いつもありがとう”よりも”現場で働かせてください”と言いながら、やって来てくれる方が1000倍有り難い話だ。


「再配達の不在でいない事にイラつく奴もいるけどな。矢木とか」

「お客様にもご都合がありますし。急用も、仕事をしてれば分かりますよ」


現場の配達員である木下とさね

再配達が苦労するってのは、元はと言えば、


「「お前等が人数を減らした事が原因だろ(怒)」」


荷物が増えたという認識は間違いない。だが、現場から言わせてもらうと、人を減らし過ぎたんだよ。使える使えないの人間にしろ。異常な足手纏いというのは、過去に一人だけいたが……。概ね、人がいれば回る。その次に来るのは、人数の配置。


「そもそも人員整理が下手くそなんだよ。……この辺は語らないけれど」

「できる人間とできない人間の差を作って班を構成するのは良くないですよ」


分かりやすく、分かり辛く言うと。

1日、7名の勤務が求められる地域に、8人しかいない班があったり。

1日、7名の勤務が求められる地域に、10人も所属している班があったり。

……ここらへんは社内の政治がモノを言う世界ですし、濁す形ではあるが。


「あんた等は配達員をなんだと思ってるんだよ」

「俺達にキレんなよ……」


この落差は現場にいないと分からないが、……その班の配置の例に続きをつければ、前者の班と後者の班。……これ、”同じレベル”として処理されている。同数の配達をこなすと、前者の方が業務はホントに早い。これは所属している配達員の質がとても良いからだ。対して、後者は業務が悪いから、人数を多く配置されている形なのだ。

だから、個人のレベルアップというのは、必要だと思う。

前者の班はホントに出来てしまうのだ。だから、生まれてしまう形が


「今、”夜欠”で勤務を回してるのがでどれだけあるんだよ」

「”欠区”も普通なんですよ~」


夜勤がそもそも配置されてなかったり、配達地域の1つに穴を開けている状態。それでも班員のレベルが高いから、業務ができるという状態なのだ。

頑張った奴等が損をするという非情な言い回しは、現実ではよくある事なのだ。それをほったらかしているから、問題になり、どーしようもなく手が打てない。新人がこーいう班に配属されると、理不尽過ぎてすぐに逃げ出してしまうし。

そして、”再配達”で苦労している一因は、業務時間だ。


「朝から夜まで行ってくれー!!って、毎日毎日同じなのあり得ねぇーだろ!!」


再配達の物数にはキレてないのだ。そんな数は、人海戦術すりゃあ、1時間で100件寄って来いとかなければなんとでもなる。

なんで朝から業務してる人間が、夜遅くまで仕事せにゃならんのだ。そして、すげー嫌に感じるのは


「再配達に出されるのは、基本的には1人か2人だ」


今日出勤する人が、全員。夜まで待機する事はない。配達の仕事が終わったら帰ってくれってのが、管理者達の優しい言葉だ。

だが、夜勤の再配達を任せるのは、当番制をしっかり決めるのは中々難しい。

月曜日・火曜日・水曜日までは荷物の再配達は少ないが、木曜日以降はかなりの数になったりして、難易度が変わってくる。悪天候でも基本、現地に行くし。……仕事にムラが出来てる。

当たり前だけれど、それが基本であると。

夜勤までの、通しを任される人間というのもおのずと決まってくる。これも平等と言えないのが、当たり前だけど不満にもなる。

自分達の班は欠員であるのに、仕事ができない他班は欠員じゃないとか。毎日、見ていたら気がおかしくなって当然だ。


「分かった分かった」


で。人を補充しろって言うと、……これも微妙なのだ。

新人だと耐えられずに辞めちゃうし、経験者を引っ張ってくる事もあるが、”伸び代”に期待できず、そもそもキツイ班だと足手纏いにされてしまう。本来の人員配置を、所属している人間の質で決めちゃってるのが問題ではあるけど。ちゃんと人員を整理しなかったツケとしか、言いようがない。


「雇える人間にも限りがあるのよ。これ以上、雇ったら採算がとれないのよ」

「配置を間違えてるのは、まぁ、……俺達の方で努力はするがな」


会社内の政治の話だから、お客様目線では気づきようがないが……。内部は相当深刻である。従業員同士で仲悪いってのも、どこかの職場でも働いてれば気付けること。

人を補充するところを間違えてるだろって、指摘しても見てぬフリする管理者達もいる。



そんで気付いた時に騒いでも……、こーいう場合は、どーしようもないのだ。


挿絵(By みてみん)

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