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火◾️初めての買い物


挿絵(By みてみん)


数時間は経ったであろう頃

扉の開く音が響き天地さんと魔境さんが住居に帰ってきた


【火焔】

「お帰りなさい!」


寂しさから開放された嬉しさから大きな声で挨拶をした


【天地】

「うるせーな~、そんなデカイ声出さなくても聞こえるっつーの」


そんな僕に天地さんは面倒そうに言葉を返してきた


【魔境】

「・・・・・・」


魔境さんは何も言わずに暗い廊下へと歩いて行った

・・・魔境さんは本当にクールな人だ


【天地】

「魔境が風呂から上がったら次は俺が入るから

 俺が上がる頃に合わせて晩飯の準備しとけよ~」


そう言いながら疲れたようにダイニングの椅子に座り


【天地】

「その前に酒持ってきて~」


ニタニタと笑いながら命令された


【火焔】

「・・・分かりました」


素直にその命令に従いお酒を取りに行くためキッチンへ向かった

そしてキッチンにある冷蔵を開ける


【火焔】

「・・・お酒ばっかり」


冷蔵庫の中にはお酒しか入っていない


・・・まぁ、この住居ではご飯を作ったりしないからお酒以外必要ないだろうけど


冷蔵庫から取り出したビールと

棚からとったコップをトレイに乗せ足早に廊下に戻った


・・・これじゃまるで召使だ

・・・僕は強くなる方法を教えて欲しいのに


少し不満を抱きながらもお酒を持って再びリビングに戻った


【火焔】

「・・・あの、少し質問していいですか?」


天地さんにお酒を渡しながら声をかけた


【天地】

「栓抜きねーのにどーやって開けるんだよ?ばーか!」


そう言って頭を叩かれた


【火焔】

「・・・すみません、持ってきます」


・・・叩かなくてもいいのに

そう思いながら足早にキッチンに向かい

再びリビングに戻って来た


【火焔】

「・・・あの、質問してもいいですか?」


栓抜きを天地さんに渡しながら再び声をかけた


【天地】

「あ~?俺の質問にも答えるなら質問していいぞ~?」


天地さんは笑いながら意味深な言葉で返してきた


【火焔】

「・・・・・・」


その言葉に僕は言葉を返す事が出来なかった


【天地】

「・・・お前、ここに来る前は何処で何してたんだ?」


黙った僕に天地さんは質問を向けて来た


【火焔】

「・・・・・・」


でも、僕はその質問に答えらなかった


・・・答えたくなかった


【天地】

「・・・・・・まぁいい」


そんな僕の様子を少し笑い


【天地】

「で~?お前の質問は何なんだよ?」


空気を変えるように笑顔で言葉を向けて来た


【火焔】

「・・・あの」


そんな天地さんに少し申し訳なさを感じつつ気になっていた事を訪ねてみる事にした


【火焔】

「・・・ここに僕と同じくらいの子が居ますよね?どうして、その子は一緒にご飯食べたりしないんですか?」


ずっと気になっていたけど

いつか天地さんに紹介されるだろうと持っていた


でも、いつまで経っても天地さんからあの子について話をされる事はなかった


【火焔】

「あの子、誰なんですか?」


本当に不思議に思ったので少し首をかしげながら更に訪ねてみた


【天地】

「・・・あ~」


でも、天地さんは困ったように悩み


【天地】

「・・・あの子って誰だよ?」


不思議そうに首をかしげた


【火焔】

「え?・・・ほらこの住居にいる・・・あの子ですよ」


【天地】

「だから、あの子じゃわかんねーだろ?どんなやつだよ?」


・・・どんなやつ?


【火焔】

「・・・だから・・・あの子」


・・・何故か頭が痛くなって


【火焔】

「・・・あれ?」


・・・あの子がどんな子だったのか思い出せい

・・・髪の長さも

・・・男か女かも

・・・全てが思い出せなくなっていた


【天地】

「・・・お前、お化けでも見たんじゃねーか?」


そう言って天地さんはからかうように笑った


【火焔】

「違いますよ!絶対いたんですって!」


【天地】

「へ~・・・今日の夜、お前の部屋に迎えに来るかもしれないぞ~?」


声を上げて反論する僕を更にからかうように言葉を向けて来る


【天地】

「頼むから、怖くて眠れなーい!とか言って泣くなよ~?そっこー追い出すからな?」


そう言って馬鹿にするように笑った


【火焔】

「・・・お化けならご飯食べたりしないですよ」


そんな天地さんの態度に不満をつぶやくように小声で反論した


【天地】

「・・・ご飯?」


僕の言葉に天地さんの顔から笑顔が消えた気がした


【火焔】

「・・・はい・・・ご飯を・・・僕らが残した朝ご飯を食べてるみたいなんです」


そんな天地さんの様子に少し戸惑いながら言葉を告げた


【天地】

「・・・・・・・」


僕の言葉に天地さんは少し考えるような表情を見せた


【火焔】

「・・・どうかしたんですか?」


【天地】

「・・・なぁ」


少し重たい空気の中、静かに天地さんは口を開き


【天地】

「・・・・・・お前買い物に行って来い」


ニコッと笑顔で突然の命令を受けた


【火焔】

「え?・・・なんでですか?」


【天地】

「いやー!そーいや、買うの忘れてたなーと思ってさ!」


そう言いながらポケットから取り出したペンと紙で何かを書き始めた


【天地】

「ほら!街に行ってこれを買って来い!」


そして、何かが書かれた紙を折りたたみ僕に差し出した


【火焔】

「・・・一人で、ですか?」


【天地】

「当たり前だろーが、おつかいもできないのか~?」


笑いながら馬鹿にするような事を言ってくる


・・・別におつかいくらい僕だってできるけど


【火焔】

「・・・僕、ここから出る方法を知らないんですけど?」


叩かれたら嫌なので少し警戒しつつ言葉を返した


・・・天地さんと魔境さんはリビングに設置された扉から出たり入ったりしているようだけど


僕はその扉が何処につながっているのか

どうやって開けるのかも知らなかった


【天地】

「あ~そう言えば、お前をここに運んだ時お前気絶してたな」


笑いながら立ち上がり

いつも天地さん達が出入りしている扉の前に立った


【天地】

「この扉に手を向けて魔力を送ってみろ」


そして扉を指差し命令された


【火焔】

「・・・魔力を送る?」


【天地】

「そーだよ」


【火焔】

「・・・分かりました」


少し不安になりながらも、殴られたら嫌なので素直に従うことにした


・・・でも

・・・魔力を送るってどういうことなんだろう?


【天地】

「目をとじて集中しろ、魔法を飛ばすんじゃなくゆっくりと送るようにイメージするんだ」


【火焔】

「・・・ゆっくり・・・送るイメージ」


天地さんの言葉を小さく繰り返し目を閉じた


・・・送る

・・・魔力を

・・・おくる~

・・・

・・・・・

・・・・・・・

・・・・・・・・


【天地】

「・・・もういいぞ」


しばらく集中していると天地さんから言葉をかけられた


【火焔】

「・・・なにか起きたんですか?」


目を開けながら訪ねてみる


【天地】

「いや、なーんも起きてない」


苦笑いで返された


【天地】

「まぁ~流石にまだ無理だろうな~」


そう言いながら廊下へと足を進めて行く

そんな天地さんの後に僕も続いた


【天地】

「この廊下突き当たりにドアノブのついた扉がある、その中に階段があるからそこから降りて外に出ろ」


手短に説明をして天地さんはリビングへと戻って行こうとする


【火焔】

「待ってください!」


【天地】

「あ~?なんだよ?」


慌てて止めた僕に面倒そうに振り返った


【火焔】

「・・・僕、お金持ってないんですけど?」


【天地】

「使えねーやつだな~、ほら!」


そう言って黒い長財布を投げてきた


・・・天地さんの買い物に行くのだからお金をもらうのは当たり前だと思うんだけどな


【天地】

「あ~・・・それと」


そう言って天地さんは僕に真っ直ぐに視線を向けた


【天地】

「・・・それ持って逃げても俺はお前を探さないからな?」


少し笑いながら僕に言葉を残し

天地さんはリビングへと戻って行った


【火焔】「・・・・・・」


・・・どういう意味だろう?

・・・逃げろって事なのかな?

・・・分からない


少し悩みながら廊下を進むと突き当たりにドアノブの付いた扉があった

ドアを開け中を覗くと下へと向かった階段が広がった


【火焔】

「・・・何段あるんだろう?」


どこまでも続くような真っ暗な階段に少し不安を感じながら階段を降り始めた


・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・・・

・・・階段の終わりが見えない

どこまでも続くような階段に恐怖を感じた


【火焔】

「・・・・怖い」


自分の感情を抑えることなくつぶやき

一気に階段を駆け下りる事にした


・・・・・・・

・・・・・・・



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