火◾️暗い廊下
片付けをして何をするでもなく廊下を歩く
・・・僕は本当にする事がないのだ
【火焔】
「・・・・・・」
何かする事はないかと探すが
・・・本当に何もない
【火焔】
「・・・あの子は何処にいるんだろう?」
ここにきて2週間
昼間は住居で一人だけど
あの子の姿を見るのは朝のリビングだけ
他の時間に見かけることはなかった
・・・多分、どこかの部屋にいるのだろう
僕はお風呂とトイレ、キッチン
僕に与えられた部屋
その4部屋しか入ることは許されてなかった
【火焔】
「・・・・・・・」
・・・凄く静かだ
・・・暗い廊下は少し涼しい風が吹いているような気がした
【火焔】
「・・・・・・・」
・・・昼間なはずなのに廊下では時間を感じる事が出来ない
・・・まるで
・・・自分一人だけの世界になったような気さえ感じた
【火焔】
「・・・・・・・?」
視線の先のドアが少し開いている事に気づいた
・・・覗いてみようかな?
・・・でも、見たことがバレたら天地さんに怒られてしまうだろうか?
【火焔】
「・・・いいや」
どうせ僕が覗いたなんて天地さんに分かるはずない
そう思い少しだけ覗いてみようと部屋の中に視線を向けた
【火焔】
「・・・・・・」
・・・誰もいない
・・・テーブルと椅子があって本棚がある普通の部屋だ
【火焔】
「・・・・・でも」
・・・僕はさっきもこの部屋の前を通った気がする
・・・その時にドアは開いていただろうか?
【火焔】
「・・・・・・」
・・・分からない
・・・いや・・・開いてなかった気がする
【火焔】
「・・・・・・」
なんとなく、部屋を覗くのを止めた
【火焔】
「・・・・・・」
・・・廊下はなんの音もなく、時間も感じない
【火焔】
「・・・廊下は・・・もういいや」
誰に言うでもなくつぶやき
リビングで天地さん達が帰って来るのを大人しく待つことにした