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◾️黒い煙

今日も僕はいつものようにあの場所に向かう

一気に街を駆け抜け森を抜けて

その場所から少し離れた場所で足を止め


【りゅき】

「・・・はぁ・・・はぁ」


乱れた息を整えた

・・・走って来たのがバレるのが少し恥ずかしかったから


そして、真っ直ぐにあの場所に向かう


【ルナ】

「あ!りゅき!おはよう!」


僕の姿が見えた途端にルナが笑顔で挨拶をしてくれた


・・・安心した

・・・ルナには僕が見えてる

・・・僕はちゃんと生きてるんだ


【りゅき】

「おはよう!」


笑顔で言葉を返し、ルナへと近づいて行く


【りゅき】

「・・・あれ?鷹は来てないの?」


周囲を見回すが鷹の姿はどこにも見えなかった

・・・いつもなら僕より早くに来ているはずなのに


【ルナ】

「うん・・・今日はまだ来てないみたい」


そう言うルナも少し寂しそうだった


【りゅき】

「・・・大丈夫だよ、鷹もすぐに来るよ」


【ルナ】

「・・・もしかして、迷子になったんじゃないかな?」


そう言って、不安そうに森に目を向けた

・・・確かに、こんな森なら迷子になってもおかしくない


【りゅき】

「でも、鷹は毎日ここに来てるし!絶対大丈夫だって!」


ルナを元気付ける為に笑顔で言葉をかけた


【ルナ】

「・・・そうだね、りゅきがそういうなら、きっと大丈夫だと思う!」


そんな僕にルナは笑顔で言葉を返してくれた

・・・その笑顔に胸の高鳴りを感じずにはいられなかった


・・・でも

・・・それから何時間待っても

・・・鷹が姿を見せる事は無かった


【りゅき】

「・・・・・・・」


・・・鷹はなにをしてるんだろう?

・・・もしかして、ルナが言うように道に迷ったのだろうか?

・・・でも、毎日来ているのに、迷う事なんてあるのかな?


【ルナ】

「・・・どうしよう」


ルナが不安そうに小さくつぶやいた


【りゅき】

「そんなに心配しなくたって大丈夫だって~!」


再びルナを元気づける為に笑顔で声をあげた


【ルナ】

「・・・でも・・・りゅきも不安そうな顔してるよ?」


【りゅき】

「・・・・・・・・」


怯えたようなルナの言葉に僕はなんて返したらいいのか分からなかった


【ルナ】

「・・・もしかして、どこかで泣いてるんじゃないかな?」


そう言ってルナは周囲の森に目を向けた


【ルナ】 

「・・・竜輝?」


そして、何処かを見つめ僕の名前を呼んだ


【りゅき】

「・・・どうしたの?」


そんなルナに少し不安になりながら言葉を返した


【ルナ】

「・・・あれ・・・なにかな?」


そう言って指さしたのはどこまでも続く空


・・・でも


・・・いつもの空じゃなかった


・・・真っ黒な煙が空を覆っている


・・・あの方向は


【りゅき】

「・・・ルルーカ」


ルルーカは僕の街とは反対にある大きな街

・・・鷹とルナが住む街だった


【ルナ】

「・・・なんだろう?」


ルナは不思議そうに首をかしげた

でも、僕は


【りゅき】「・・・・・・・・」


・・・嫌な予感がした

あの煙は子供の僕にでも分かるくらい異常なものだから


【ルナ】

「・・・竜輝にはなんだか分かる?」


ルナは不思議そうに訪ねて来る


【りゅき】

「・・・分からない」


何かが起きているのは分かるけど

何が起きているのは分からない


【りゅき】

「・・・見に行ってみようか?」


その時、背中にゾクッとした魔力を感じた


【りゅき】

「・・・・・・・」


ゆっくり、目を向けると

そこには3人の男の人が立っていて

真っ直ぐに僕たちに目を向けていた


【男1】

「・・・・・・行け」


一人の男の人は静かに言葉を発し、僕らに背を向け森の中へと去って行った


【ルナ】

「・・・誰だろう?」


男の声でルナも男達に気づいた


【りゅき】

「・・・ルナ、行こう」


何故か嫌な予感がして、ルナの手を引っ張り

男たちとは反対方向へと歩き出した


その瞬間


僕たちの前に大きな光の玉が出現し


【りゅき】

「っ!?」


声を上げる事も出来ない間に弾き飛ばされた


【りゅき】

「ルナっ!」


弾き飛ばされてルナの手を離してしまった

僕はかろうじて受身を取ることができた

・・・けど


【ルナ】

「う・・・い、たいよ」


僕と離れた場所に飛ばされたルナは地べたに体を打ち付けていた


【りゅき】

「大丈夫!?」


慌てて僕はルナへと駆け寄った


【りゅき】

「っ!?」


でも、そんな僕に向かって光の光線が飛んで来た


【りゅき】

「っ・・・・・・・」


避ける事はできたけど


【男2】

「・・・・・・」


僕とルナの間を塞ぐように男が立っていた


【男3】

「ちょっと、君の彼女借りるね~」


そして、もう一人の男は笑いながらルナへと向かっていた


【りゅき】

「っなに言ってるんですか!?」


訳の分からない男の言葉に慌ててルナへと向かった


【りゅき】

「ぐっ!?」


その瞬間、なんの攻撃かも分からない打撃を頬に受け


【りゅき】

「がっ!!」


瞬く間に木へと激しく体を打ち付けた


【りゅき】

「・・・グッ!」


頬は熱を持ち、触れなくても腫れているのだと分かるほど痛みを感じ

打ち付けた体には内部に響く痛みを感じた


【男2】

「だから~、借りるって言ってるでしょ?」


僕に攻撃を向けたであろう男は含み笑いで僕を見下ろした


【ルナ】

「いやっ!りゅきっ!離してっ!」


ルナの怯えたような声に目を向けると

もう一人の男が小さなルナの体を持ち上げていた


【りゅき】

「っなんで!?ルナを離して下さい!!」


痛みに覆われた体をルナへと必死に動かした


【りゅき】

「グガッ!!??」


その瞬間、真っ白な光が僕のお腹を突き抜けた


【りゅき】

「ア”ッカ”ッ・・・ッ!!」


スローモーションに感じるように僕の体は地べたへと落ち伏せ

視界は真っ黒に染まり

口からは暖かさを感じる程に血が溢れた


【ルナ】

「おろしてっ!!りゅき!!りゅきぃっ!!!」


遠くにルナの悲鳴のような声が聞こえる


泣き叫ぶように僕を呼ぶ声が聞こえる


でも、僕は


【りゅき】

「・・・・・・・・・・」


もう、動く事が出来なかった


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