赤◾️静かな時間
◾️◾️竜輝視点◾️◾️
【竜輝】
「・・・・・・・・・・」
なにも物音が聞こえない
いつもの僕の世界
【竜輝】
「・・・・・・・・・・」
暗い廊下に出るとひんやりとした風を肌に感じた
【竜輝】
「・・・・・・・・・・」
静かな廊下を進み
一つの扉の前に立ち扉に手を向けた
僕が魔力を込めると扉は左右にずれるように開き始めた
【竜輝】
「・・・・・・・・・・」
物音1つない部屋は本で溢れていた
その中から適当にいくつか手にとり
再び暗い廊下に戻る
扉に魔力を込めると扉はゆっくりと閉まった
【竜輝】
「・・・・・・・・・・」
いつもと変わらない場所
ただ静かに時間が過ぎる
これが本来のこの場所なのに
・・・何故か居心地悪く感じた
【竜輝】
「・・・・・・・・・・」
最近はここまで静かな事が少なかったから
【竜輝】
「・・・・・・・・・・」
真っ直ぐに自分の部屋に戻ると
【魔境】
「・・・・・・・・・・」
僕の部屋の前に立つあの人の姿が見えた
【魔境】
「・・・・・・・・・・」
その人はゆっくりと僕に目を向け
【魔境】
「・・・火焔はどうした?」
【竜輝】
「っ!?」
僕に向かって言葉をかけてきた
【竜輝】
「・・・っ」
なにか言葉を返そうと口を開いたけど
僕の口から言葉が出る事はなく
「あ~・・・山に捨ててきた」
僕の後ろから声が聞こえた
【魔境】
「・・・お前・・・何がしたいんだ?」
【天地】
「・・・何がって~なにが?」
そして、二人は僕の存在が無いように話を始めた
【竜輝】
「・・・・・・・・・」
・・・一瞬でも
自分に話しかけられたと思った自分を馬鹿だと感じた
・・・そんな事、あるはずないのに
【竜輝】
「・・・・・・・・・」
二人を避ける様に僕は自分の部屋のドアを開けた
【魔境】
「・・・今、あの場所に
火の技能者である火焔を連れて行くなど
・・・悪趣味にも程があるぞ?」
【天地】
「だって~見たかったんだもん!
アイツの本性!」
二人は部屋のドアが開いた事にすら反応は無い
【魔境】
「・・・見れたのか?」
【天地】
「見れちゃったんだよね~!
だから、捨ててきた〜!」
【竜輝】
「・・・・・・・・」
でも、何故か僕は部屋に入る事ができなかった
【魔境】
「・・・まだ、子供だろ?
これからどうにでもなったんじゃないか?」
【天地】
「いや~!どーだろうね?
アイツ成長し過ぎだったからね~
・・・ちょっと危険だね」
【魔境】
「・・・子供に警戒するなんて
・・・お前らしくないな」
【天地】
「・・・ただの子供じゃねーよ
・・・アイツは火族だ」
【魔境】
「・・・お前、いつから
火の技能者に恐怖を感じる様になったんだ?」
【天地】
「・・・火焔を見てからだよ」
そう言いながら二人は歩き始めた
【天地】
「・・・火族って奴は生まれた時から
殺人願望を持たされるのかね~」
【魔境】
「・・・確かに子供にしては
魔力の高さを感じたが・・・そこまでか?」
【天地】
「・・・魔力だけじゃない
人に攻撃を向ける時のあいつの顔は
・・・おぞましく感じた」
【竜輝】
「・・・・・・」
二人の声が聞こえなくなっても
僕はその場を動く事ができなかった
【竜輝】
「・・・・・・」
・・・火の技能者の悪事が有名である事は僕でも知っている
・・・その残虐性が歴史が本に記載されている事だってよくある
・・・でも、あの子は
・・・そんな悪い子だっただろうか?
【竜輝】
「・・・・・・」
・・・捨てて来たと言う事は
・・・あの子はもう
・・・ここに戻って来る事はないのだろうか?
【竜輝】
「・・・・・・」
なにも考えず僕は部屋に戻った
【竜輝】
「・・・・・・」
足に絡みつくモノに目を向けた
そこには
かつて僕の一部だった長い髪の毛が散乱していた
【竜輝】
「・・・・・・」
・・・僕の世界は止まってる
・・・止まってて良かったんだ
【竜輝】
「・・・・・・」
・・・なのに
・・・どうして
・・・今の僕は静かな時間を怯えているんだろう




