火◾️火族
◾️◾️火焔視点◾️◾️
【火焔】
「天地さん!待ってくださいっ!!」
木々を飛び移りながら物凄いスピードで森を進んでいく天地さんの背中に叫んだ
【天地】
「お前は攻撃型だなー!
スピードのパラメーターが足りねーぞ!」
からかうように笑いながら返してくるが
天地さんがスピードを落としてくれる事は無かった
・・・って言うか
・・・契約している天地さんと契約してない僕とでは僕のほうがパラメーターが低いのは当然だと思うし
・・・別に僕は攻撃だけを重視してない
・・・ちゃんとスピードだってつけてる
・・・納得いかない・・・悔しいなぁ
【火焔】
「うわっ!?」
いきなり目の前に岩の壁が出現し
【火焔】
「ぐっ!?」
僕は見事に激突した
【天地】
「反射神経も鈍いな~!」
そんな僕を見て愉快そうに笑っている
【火焔】
「っ戦闘中だったら!
こんなのに当たったりしません!」
そんな天地さんに反抗的に言葉を返した
【天地】
「そりゃ~戦闘中に当たる訳ねーだろ!
神経を張り巡らせてんだからな!
おバカさんだね~!」
が、更に馬鹿にした口調で返してくる
【火焔】
「・・・・・・・ぐ」
湧き上がる気持ちを必死に抑えた
・・・悔しいくて悔しくてたまらない
・・・絶対いつか天地さんを超えてやる
【天地】
「俺はちょっと他を見てくるから~
お前はここで待ってろ」
そう言って指さした先には教会のような建物があった
【火焔】
「・・・どうしてですか?」
少し不安になりつつ天地さんに言葉を返した
・・・つまり僕をここに置いて天地さんは何処かに行ってしまうと言う事だろう
【天地】
「俺は別の場所を見てくるから~
お前はここを見学してろ」
【火焔】
「・・・ちゃんと戻って来てくれますか?」
同じような返しをする天地さんに尋ねた
・・・正直、捨てられるのではないかと言う不安でいっぱいだった
【天地】
「いい子にしてたら迎えに来てやるかもよ~」
そんな僕の不安を感じているだろがニタニタと笑って言ってくる
【火焔】
「・・・天地さんと一緒に行っちゃ
・・・ダメなんですか?」
それでも更に尋ねた
・・・何故か不安でたまらなかった
【天地】
「えー!お前どんだけ俺が好きなんだよー!?
やーだー!きーもーいー!!」
そんな僕を愉快そうに笑い飛ばし
【天地】
「大丈夫!大丈夫!ちゃんと帰って来るから!」
そう言って僕の頭をグシグシっと撫で
天地さんは森の中へと行ってしまった
【火焔】
「・・・・・・・・」
再び一人になってしまった
【火焔】
「・・・・・・・・」
一人になり、ふと空を見上げ竜輝の事を考えた
・・・竜輝はどうして突然怒り出したのだろう?
・・・僕が余計な事を聞いたからだろうか?
【火焔】
「・・・僕は調子に乗りすぎてるのかな?」
・・・天地さんからも注意されたばかりだったのに
・・・また失敗してしまった
【火焔】
「・・・・・・・・」
・・・僕はどんな僕になればいいんだろう?
【火焔】
「・・・明るいだけじゃダメなのかな?」
・・・どうしたらいいのか
・・・また分からなくなってきた
【火焔】
「・・・・はぁ」
でも、考えていても仕方ない
・・・次、竜輝会ったら謝ってみよう
・・・そしたら許してくれるかも知れないし
【火焔】
「・・・・・・・・」
とりあえず僕は教会らしき建物に近づいてみた
・・・中に誰かいるみたいだ
・・・微かな魔力を感じる
【火焔】
「・・・・・・・・」
少し視線を感じ振り向いた
「・・・・・・・・・」
そこには真っ直ぐに僕に視線を向ける男の人が立っていた
【火焔】
「・・・あ」
目が合ったので挨拶をしようと口を開いた瞬間
男の人が僕に手を向けた
【火焔】
「え・・・?」
そして瞬く間に水の渦が僕に向かって飛んでくる
【火焔】
「っ!?」
間一髪避けることができた
僕が避けた後ろでは水の渦によって破壊された木々が音を立てて崩れている
【火焔】
「何するんですか!?」
慌てて男の人に声を上げた
が、男の人はなにも答えず更に水の攻撃魔法を向けてくる
【火焔】
「く!!」
次々繰り出される攻撃を避けてはいるが
・・・これではらちがあかないし
・・・正直・・・うざい
【火焔】
「止めろつってんだろーが!!」
怒鳴り声を上げ攻撃を弾き飛ばすように自分の周囲に炎を渦を纏った
【火焔】
「・・・なんの為に俺に攻撃を向けるのか言ってみろ」
攻撃を止めた男に向かって尋ねた
【火焔】
「・・・理由によっては
俺も反撃するけどいいの?」
【男】
「・・・・・・・・」
僕の問いに男はなにも答えなず
ただ、怯えているような
恨みを込めたような目で僕を見ていた
・・・無性に・・・イラついた
【火焔】
「・・・いきなり攻撃してきて
・・・なんなんだよその態度は?」
自分の魔力がどんどん上がり
自分の周囲の温度もどんどん上がるのが分かった
【火焔】
「・・・人に攻撃を向ける事が
どういう事なのか分かってんの?」
・・・人を傷つける人間は人の痛みを知らないんだ
【火焔】
「・・・分からないなら
・・・俺が教えてやろうか?」
・・・人の痛みを分かろうともしない人間は
・・・この世界に必要ない
「止めてくださいっ!!」
突然、甲高い女の声が周囲に響いた
目を向けると教会から数人の人が出て来ていた
そして、その人たちの目が僕を真っ直ぐに見ている
・・・怯えたような目で
・・・恨みを込めるような目で
・・・汚いものを見るような目が
・・・イラついた
【火焔】
「・・・なんなんだよ?
・・・なんで!そんな目で
・・・俺を見るんだよ!?」
感情のままに怒鳴り声を上げた
でも、誰も僕の言葉に返さない
【火焔】
「・・・・・・・・っ」
でも微かに聞こえる
こいつらの口から
陰口を叩くように
「悪魔だっ!!」
静まり返った場所に子供の声が響いた
【子供】
「悪魔の子供だ!!」
僕を指さしながら怒りを込めるように声を上げた
その子を庇うように女が前に立ちふさがたった
【女】
「・・・ここから出て行ってっ!
・・・これ以上
・・・私たちに付きまとわないでっ!!」
憎しみを込めるように僕に怒鳴りつけた
【火焔】
「はぁ!?なに言ってんの!?
俺が何したって言うんだよ!?」
「・・・・待って」
僕の怒鳴り声を塞ぐように女の声が聞こえた
目を向けると見覚えのある女の姿
・・・この前、竜輝と僕を襲った女だ
【女の人】
「・・・この火族は
私たちの街を襲った火族とは無関係よ
・・・ヴィザールの住人だと思う」
少し視線をそらしながら言葉を発しっている
【男】
「・・・・だから?なんだよ?」
が、僕に攻撃を向けた男が小さく声を上げた
【男】
「・・・そんなの関係ないだろ
・・・コイツは火族だっ!
俺たちの家族を殺した一族なんだよ!!」
怒りに満ちた怒鳴り声を上げ
【男】
「こいつも同罪だっ!!」
俺に手を向けた
【男】
「火族なんて全員死ねばいい!!」
怒り狂ったように怒鳴り声を上げ僕に攻撃を向けてくる
【男】
「お前らみたいな残忍な連中は
必要ないんだよ!!」
避けても避けても更に攻撃を向けてくる
・・・僕は関係ないのに
・・・でも誰もなにも言わない
・・・教会側に立つ人たちは真っ直ぐに僕を見ている
・・・汚いものを見るような目で
・・・汚れた目線を僕に向けている
・・・僕は関係ないのに
・・・みんなの心が
・・・僕に死ねって言ってる気がした
【火焔】
「っ黙れーーーー!!!」
一気に魔力を開放し周囲に木霊する雑音を振り飛ばした
【火焔】
「死ななきゃいけないのは俺じゃないっ!!
お前らだっ!!」
馬鹿どもに向かって怒鳴り声を上げた
【火焔】
「お前らみたいな汚れた人間がいるから
この世界は歪むんだよ!!」
・・・そうだ
・・・こいつらみたいに種族や属性で差別する人間がいるから世界は歪み
・・・争いが永遠に消えない
【火焔】
「お前らみたいな人間がいるから父さんたちは死んだんだっ!!」
・・・こいつらみたいな歪んだ人間の心が人を殺すんだ
【火焔】
「虫けらどもがっ!!
下らねぇ戯言ほざくなァ!!!」
・・・僕は間違ってない
・・・僕は正しい
・・・これは
・・・害虫駆除だ
【火焔】
「全員っぶっ殺してやるっ!!」
・・・優しい人間以外
みんな死んじゃえばいいんだ
【火焔】
「っ!?」
が、突然僕の前に岩の塊が飛んできた
【火焔】
「邪魔だーっ!!」
それを火で覆った拳で砕き
汚れた男に向かって一気に飛び出した
【火焔】
「ぐっ!?」
そんな僕を横から来た影が殴り飛ばす
【火焔】
「っクソがー!!!」
その影に向かって手を向け一気に炎の渦を飛ばした
が、その渦を二つに裂くように弾きながら影は僕に向かって突進してくる
【火焔】
「がっ!?」
その勢いのまま僕自身までも弾き飛ばし
【火焔】
「っ!?」
弾き飛ばされた地面からダイヤモンドのような槍が飛び出した
【火焔】
「グッ!!がっーーー!!」
全身を無数のダイヤが貫いた
【火焔】
「っ___!?」
そんな僕に巨大な岩が空から降ってくる
【火焔】
「あぐあぁ”あ”あ”あ”あ”あ”っ!!!!!!」
岩によって潰される僕の体は
地面から突き立てられたダイヤへと深く落とされ裂くような音が周囲に響いた
【火焔】
「ぐ・・ぐがっ・・・・!!」
血反吐を吐きながら地面に手をつき必死に起き上がろうとした
【火焔】
「・・・ぐっ!?」
が、そんな僕の背中を踏みつける男
【天地】
「・・・・何やってんだ、ばーか」
見下すような目で僕を睨みつける天地さんだ
【火焔】
「・・・っなんで・・・天地さんがっ」
【天地】
「・・・口で言うのは良いが
手を出すなつったろーが」
必死に声を出す僕を叱りつけるように返し
【天地】
「・・・お前・・・俺がいなかったら
この人ら殺してたろ?」
怒りを抑えるように僕を睨みつけた
【火焔】
「・・・僕はっ・・・悪くないっ
・・・この人たちが」
【天地】
「・・・この人たちが悪いと言いたいのか?」
僕の言葉を塞ぐように天地さんは言葉を続けた
【天地】
「・・・この人たちは
火族に全てを壊されたんだよ
・・・お前と同じ火の技能者にな」
【火焔】
「・・・だからってっ!
僕に攻撃を向けるなんておかしい!!」
他の火族がどうだろうと僕は関係ない
僕は関係ないのに
【火焔】
「みんなそうだ!みんな僕を見下してるっ!
なんでみんな僕を殺そうとするんだよっ!?」
自分の体がどんどん熱くなって行くのが分かった
【火焔】
「火族ってだけで!
なんでみんな俺を憎むんだよっ!?
俺は他の火族と違うのにっ!!」
天地さんの足を撥ね退け痛みを忘れたように立ち上がった
【火焔】
「こいつらみたいな人間がいるから
父さんたちは殺されたんだっ!!」
怒りをぶつけるように天地さんに怒鳴りつけた
【火焔】
「こいつらの心が腐ってんだよ!!
だから俺が!!」
【天地】
「・・・殺してやろうって?」
僕の言葉に続くように天地さんが言葉を入れてきた
【天地】
「・・・人を憎み恨む人間は
殺してやろうって思ったのか?」
【火焔】
「・・・そうです・・・僕がここで終わらせれば
恨みの連鎖は終わるでしょ?」
そんな天地さんにハッキリと言葉を返した
・・・僕が終わらせる
・・・この人たちがここで死ねば
・・・悲しみも恨みも全て無くなるんだから
【天地】
「・・・なら・・・お前も同じだな?」
【火焔】
「っ!?」
【天地】
「・・・お前もこの人たちを恨んでる
火族を避難する人間を憎んでる
・・・なら、お前も死ぬべきだな」
そんな天地さんの言葉に僕はなにも返す事ができなくて
【天地】
「・・・つーかさ
お前は他の火族とどこが違うんだよ?」
静かに告げられた言葉に息が詰まった
【天地】
「・・・今のお前は他の火族と変わらない
・・・自分の欲求を満たすために
自分を満足させる為に人を殺そうとしてる
・・・イカれた火族と同じ顔をしてるぞ?」
【火焔】
「・・・・・違うっ・・・僕はっ」
慌てて言い返そうと声を出した
でも、言葉が上手く出てこなくて
【天地】
「・・・お前、自分で気づいてたか?
・・・今、攻撃をしてた時のお前
・・・笑ってたぞ?」
【火焔】
「っ!?」
その言葉を聞いた瞬間
全ての音が消えて
全身に広がる様に鳥肌が立った
【天地】
「・・・楽しそうに笑いながら
この人たちを殺そうとしてたんだぞ?」
・・・僕が笑ってた?
・・・笑いながら・・・殺そうとしてた?
・・・他の火族と同じ様に?
・・・アノ人ト同ジ様ニ?
【火焔】
「____ッ!?」
体が壊れそうなくらいに震えて
吐きそうなくらいに涙が溢れ
恐怖で心が壊れそうだった
【火焔】
「っ____ゴメンナサイっ!!」
無意識に言葉が出た
【火焔】
「ゴメンナサイっ!ゴメンナサイっ!
ゴメンナサイっ!ゴメンナサイっ!!」
ただ必死に頭を抱えて叫んだ
【天地】
「・・・お前が火族で居続けるのなら
俺はお前になにも教えない」
そんな僕に天地さんは小さく告げた
【天地】
「・・・お前は強くなる
・・・どこまでも強くなるよ
・・・だからこそ
・・・俺はお前に強さを教えてやれない
・・・今のお前が力を持っても
・・・誰のためにもならないからな」
そう言って僕に背を向けた
【天地】
「・・・もう俺のとこに来るな
・・・来ても俺はお前の面倒は見ない」
そして天地さんは森の中へと歩き始めた
【火焔】
「・・・・っ!
ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!」
そんな天地さんの足にすがりつき謝った
必死に謝ったんだ
【天地】
「・・・・・・・・」
でも、天地さんはなにも言わず僕を払い除け
【天地】
「・・・人殺しを楽しむ火の技能者は
・・・俺も嫌いなんだよ」
憎しみを込めるように僕を睨みつけ
僕を残し森の中へと消えて行った
【火焔】
「っ・・・・・・・・!!」
僕はどうしたらいいのか分からなくて
ただ幼い子供のように泣く事しかできなかった




