火◾️口の悪い子
◾️◾️火焔視点◾️◾️
ヴィザールを出てしばらく森を歩くが
【火焔】
「ねぇ?どこまで行くの~?」
竜輝はただ真っ直ぐに歩いて行く
【竜輝】
「・・・・・・・・・・」
僕の問いに竜輝はなにも答えず足を止めた
【火焔】
「・・・ここって昨日の場所?」
その竜輝の前には森の中の少し開かれた場所
陽の光と草木が神秘的にも感じる場所が広がっていた
【竜輝】
「・・・・・・・・・・」
竜輝はなにも答えず
ただ何かを探すようにその場所を見ていた
【火焔】
「なにか探してるの~?」
そう言いながら僕はその場所に足を進めた
周囲を軽く見回すが特になにも目につくものはなかった
【竜輝】
「・・・・・・違う」
そんな僕に竜輝は小さく言葉を発した
【竜輝】
「・・・・・・待ってるんだ」
そう言う竜輝は何故かとても寂しそうに見えた
「・・・ふざけんなよ」
その時、男の子の声が聞こえた
目を向けると口の悪い男の子が森から歩いて来ていた
【青黒い髪の男の子】
「・・・何を待ってんの?
・・・お前にそんな資格あるの?」
来て早々に竜輝に喧嘩を売り始めた
【青黒い髪の男の子】
「・・・お前みたいな奴もう必要ないんだよ」
【火焔】
「ちょっと待って・・・!
いきなり、そんな喧嘩腰で話さないでよ」
そんな男の子に苦笑いで声をかけた
【青黒い髪の男の子】
「・・・つーか、マジでお前なんなの?
・・・うざいんだよ」
が、男の子は僕にも喧嘩腰で言葉を向けてきた
【火焔】
「あ~・・・
僕は竜輝と同じ家で暮らしてるんだよね」
あまり詳しく話さない方がいいと思って濁しながら言葉を返した
【青黒い髪の男の子】
「へ~・・・楽しそうだね?
イメチェンまでしちゃって~」
そう言って竜輝に目を向け笑った
【青黒い髪の男の子】
「いいね~お前は楽しそうで
全てから逃げて自由を楽しんで
ほんと羨ましいよ~」
愉快そうに笑った顔からゆっくりと真剣なものに代わり
【青黒い髪の男の子】
「・・・ルナの事も全部忘れたの?」
憎しみを込めるように竜輝を睨みつけた
【竜輝】
「・・・そんなわけない」
ここで初めて竜輝は言葉を返した
その表情は僕でも分かるくらいに辛そうだ
【青黒い髪の男の子】
「・・・ふーん
・・・忘れちゃえばいいのに
お前らヴィザールの人間は
忘れる事が得意だろ?」
そう言って馬鹿にするように笑った
・・・なんの話をしているのか僕にはさっぱり分からない
・・・でも最後の男の子の言葉は少し気になった
【火焔】
「・・・ねぇ?君は竜輝の事知ってるの?」
少し探るように男の子に尋ねた
【青黒い髪の男の子】
「・・・・・・お前より知ってるよ」
そんな僕に睨みつけるように返してきた
・・・どうして僕は睨まれているのだろう?
【火焔】
「じゃあさ、なんで他の人には
竜輝が見えなかったりするのか分かる?」
苦笑いで尋ねてみた
【青黒い髪の男の子】
「・・・・・・
お前もそのうち見えなくなるんじゃない」
少し視線をそらし、つまらなそうに返してきた
【火焔】
「・・・どういう意味?」
【青黒い髪の男の子】
「・・・あの街、ヴィザールにいると
そいつが見えなくなるんだよ
・・・存在しないように消えるんだよ」
・・・なにを言ってるのだろうか?
【火焔】
「そんな事あるわけないじゃん」
少し笑いながら言葉を返した
【青黒い髪の男の子】
「・・・そうだな?ある訳ないよな?
・・・・そう思ってれば?」
そっけなくうざそうに返された
・・・どっちなんだろう?
・・・本当なのだろうか?
・・・でも、昨日襲ってきた人には見えてたから
・・・この子の言葉が本当だとしたら納得できるかも
・・・昨日の人たちはヴィザールの住人じゃないから竜輝が見えていたんだ
【青黒い髪の男の子】
「・・・今だけ楽しめばいい
・・・どうせお前は一人なんだから」
静かに憎しみを込めた言葉
【竜輝】
「・・・・・・・・・」
その言葉を受けた竜輝は本当に辛そうだった
【火焔】
「・・・君は
・・・どうして竜輝にそんな態度なの?」
・・・正直、男の子に苛立ちを感じずにはいられなかった
・・・僕が昨日この子の悪口を言った時に竜輝は涙を流しながらこの子をかばったのに
・・・この子は竜輝を見下しすぎてる
【火焔】
「・・・もっと仲良くできないの?」
・・・この子がどんな子か分からないけど
・・・口が悪すぎる
【青黒い髪の男の子】
「・・・・・・・
できない、したくない、する必要もない」
が、男の子は不愉快そうに言葉を返し
【青黒い髪の男の子】
「・・・そんな価値
・・・コイツにはもう無いから」
睨みつけるように竜輝に視線を向けた
【青黒い髪の男の子】
「・・・嫌いなんだよ・・・そいつが」
憎しみを込めるような言葉
【青黒い髪の男の子】
「・・・きっと・・・ルナもお前を憎んでるよ」
【竜輝】
「・・・・・・・・っ」
その言葉を聞いた途端、竜輝が森に向かって歩き始めた
【青黒い髪の男の子】
「・・・ほんとダメだね、アイツは」
つまらなそうにつぶやき
仰ぐように男の子は空に目を向けた
【青黒い髪の男の子】
「・・・あんな奴もういらないよね
・・・俺がここで待ってるから」
どこまでも続くような空に優しげな笑顔を向けている
【火焔】
「・・・・・・・・・・」
そんな男の子に・・・正直、少し恐怖を感じ
男の子から逃げるように僕は竜輝を追いかけた
・
・
・
【火焔】
「竜輝!!」
ヴィザールの街に入ったところで見えた竜輝の背中に声を上げた
【火焔】
「待って待って!一緒に帰ろうよ!」
そう声をかけると竜輝は足を止めた
【火焔】
「ねぇねぇ!ルナって誰の事?友達?」
足を止めた竜輝に追いついたところで尋ねてみた
さっきの男の子との会話でルナと言う名前が何回か出てきたから気になったのだ
【火焔】
「名前からして~女の子だよね?」
【竜輝】
「・・・・・・もう止めて」
が、竜輝が突然僕の言葉を塞ぐように言葉を発した
【竜輝】
「・・・僕に話しかけるの止めて」
その声は小さく震えていて
【竜輝】
「・・・僕を見るの止めてよ」
怯えたような目で僕を睨みつけた
【火焔】
「・・・え?・・・どうしたの?急に」
そんな竜輝に少し戸惑いながら言葉を返した
【竜輝】
「・・・迷惑だから」
そう言って僕から逃げるように背を向けた
【竜輝】
「・・・僕の世界に勝手に入って来ないで」
そして、竜輝は1人街の中に歩いて行ってしまった
【火焔】
「・・・・・・・・・」
そんな竜輝の言葉に僕はなにも言えず
動くこともできなくなって
ただ・・・悲しかった
【火焔】
「・・・・・・・・・」
・・・僕は
・・・ただ竜輝と話したかっただけなのに
・・・仲良くなりたかっただけなのに
・・・友達になりたかっただけなのに
【火焔】
「・・・・・・・・・」
・・・どうして僕は
・・・いつも1人になっちゃうんだろ?
【火焔】
「・・・・・・・・・」
・・・どうしたら良いのか
・・・分からないよ
「かーえん!!」
突然、後ろから叩かれた
【火焔】
「・・・・・・・」
後ろに目を向けると天地さんが立っていた
【天地】
「・・・え?・・・なに泣いてんの?」
引いたような顔で僕を見ている
【火焔】
「・・・・・・・泣いてないです」
【天地】
「・・・いや・・・泣いてるから」
苦笑いで返された
【火焔】
「・・・なにか用ですか?」
目に溜まった涙を拭きながら天地さんに尋ねた
【天地】
「あ~・・・ちょっと遠出すんだよ~!
だから、お前も連れて行こうと思ってな!」
そう言ってニコッと笑った
・・・何故か嫌な予感がした
【火焔】
「・・・遠出ですか?・・・何処に?」
【天地】
「山を超えた向こう側だよ~
ちょっと離れた街を訪問しに行くぞ~!」
そう言って僕の腕を掴み歩き始めた
【火焔】
「え!?もう行くんですか!?」
【天地】
「そうだよ~
早くしないと泊まりになっちゃうだろ?」
慌てて声を上げた僕に軽く返してきた
【天地】
「全力で走って森を抜けるからなー
迷子になっても探してやらないぞ~?」
そう言ってニタニタと笑顔を向けてくる
・・・まさか
・・・僕を置き去りにするつもりなのではないだろうか?
【火焔】
「・・・あの・・・行きたくない
【天地】
「あ~?なんか言ったか~?」
僕の言葉を塞ぐように言葉を重ねた
【火焔】
「・・・いえ・・・なんでもありません」
あがいたところでされる事は予想できる
大人しく天地さんについて行く事にした




