赤◾️ハサミ
◾️◾️竜輝視点◾️◾️
【火焔】
「入るねー!」
元気に声を上げ男の子が部屋に入って来た
その手には湯気が上がる料理を乗せたトレイを持っている
【火焔】
「これ竜輝の分!
用意してもらったから食べていいよー!」
そう言って料理をテーブルに乗せ
【火焔】
「ねぇ!竜輝ってさ!
別に髪伸ばしてるのに意味とかないよね?」
身を乗り出しすように僕に言葉を向けてくる
【竜輝】
「・・・・・・・・・・」
それに黙ってうなづいた
【火焔】
「よし!じゃすぐ戻って来るから!」
そう言って慌ただしく男の子は部屋を出て行った
【竜輝】
「・・・・・・・・・・」
僕の部屋に香る事の無かった香りが溢れている
【竜輝】
「・・・・・・・・・・」
暖かな料理に僕は目を離す事はできなくなっていた
【竜輝】
「・・・・・・・・・・」
・・・でも
【竜輝】
「・・・・・・・・・・」
・・・僕はこれを食べてはいけない
【竜輝】
「・・・・・・・・・・」
・・・だって
・・・僕にはそんな資格なんてないから
竜輝「・・・・・・・・っ」
・・・あの子は今頃何処でなにをしているだろう
竜輝「・・・・・・・・ごめんっ」
・・・僕は生きててくれるだけで良い
・・・でも
・・・死より辛い目にあっているかもしれない
竜輝「・・・・・・・・ごめんなさいっ」
・・・僕は喜んではいけない
・・・楽しさを感じてはいけない
・・・悲しんではいけない
・・・寂しいなんて思ってはいけない
・・・だってあの子は
・・・僕より寂しく辛い思いをしているかも知れない
・・・僕があの時、手を離したから
・・・僕があの時守ってあげられなかったから
【竜輝】
「・・・・・・・・」
・・・だから僕は
・・・1人でいい
・・・1人じゃないとダメなんだ
【火焔】
「たっだいまー!」
しばらくすると男の子はすぐに部屋に戻ってきた
【竜輝】
「・・・・・・」
流れていた涙を慌てて拭いた
【火焔】
「キッチンにあったの借りてきたんだ~!」
そう言って僕に見せるように手をあげた
そのの手には何故か大きめのハサミを持っている
【火焔】
「髪の毛が長いから
あの男の子に暗いとか言われちゃうんだよ!
僕が切ってあげるね!」
はしゃいだような笑顔で僕に近づいてくる
【竜輝】
「・・・・・・・・・」
無意識に僕は後ずさりをした
【火焔】
「大丈夫!大丈夫!なんとかなるって!」
が、男の子はお構いなしに僕の腕を引っ張り
【竜輝】
「・・・・・・・・・」
半強制的に僕は椅子に座らされた
【火焔】
「魔境さんみたいな髪型にしたら
似てくるかもだよね~」
楽しそうな声が背後から聞こえる
【火焔】
「僕、人の髪を切るの初めてだから
ドキドキするな~!」
はしゃいだ男の子の声に
・・・僕は不安と言う言葉を思い出した気がした
【火焔】
「ねぇ?今日みたいにいきなり
攻撃されたりする事ってよくあるの?」
僕の髪をザクザク切りながら尋ねてきた
【竜輝】
「・・・・・・・・たまに」
その問いに静かに答えた
【火焔】
「やっぱり目的は魔境さん?」
【竜輝】
「・・・・・・・・分からない」
その理由はよく分からない
けど
【竜輝】
「・・・・僕はあの人の弱みにはならない」
それだけはハッキリと分かる




