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◾️綺麗な頃

森の中に隠されたようにある日当たりの良い場所


「りゅうちゃん!」


その場所に足を踏み入れると僕を呼ぶ男の子の声が聞こえた


「りゅき、おはよ~」


男の子の声に続くように女の子が僕を呼んだ


僕と同じ

5歳くらいの青黒い髪の男の子と白髪の女の子


その二人の言葉は確かに僕に向けられていて


二人の目には確かに僕が映っていた


それだけで僕は安心できた


僕はちゃんと生きてる


【りゅき】

「ルナ!おはよ~」


僕は二人に駆け寄って声をかけた


「・・・どうして、ルナだけ呼ぶの?」


【りゅき】

「あれ?鷹もいたんだ?気付かなかった~」


落ち込んだ男の子をからかうように笑って言葉を返した


【鷹】

「・・・りゅうちゃん・・・ひどいよ」


そんな僕の言葉で鷹は更に落ち込んだようだ


【ルナ】

「泣いちゃダメだよ?」


鷹の顔を覗き込むように女の子が声をかけた

片方の横髪を結ぶように巻かれたピンクのリンボが真っ白な白髪を綺麗に引き立たせている


【鷹】

「・・・まだ、泣いてないよ」


・・・まだって事はこれから泣くのかな?


【りゅき】

「鷹はほんと泣き虫だな~そんなんじゃ大人になれないよ?」


鷹は些細な事でも、すぐに泣いてしまう

・・・ほんとに弱っちいやつだ


【鷹】

「・・・大人になったら強くなるよ」


【ルナ】

「いいんだよ~!鷹はこのままで、私が守ってあげるから!」


そう言いながら、今にも泣き出しそうな鷹の頭を撫でた


【りゅき】

「なら、ルナは僕が守るよ!」


【鷹】

「それはダメだよ!僕がルナを守るんだから!」


僕の言葉に焦ったように鷹が声をあげた


【りゅき】

「お前みたいな弱い奴が守れるわけないだろ?」


【鷹】

「大人になったら強くなるもん!りゅうちゃんより絶対強くなるもん!」


・・・僕より強くなる?


【りゅき】

「鷹のくせに!生意気いうな!」


生意気な鷹をめがけて殴りかかった


【鷹】

「うわっ!」


鷹はそんな僕の攻撃を避け


【鷹】

「ルナ~!りゅうちゃんが僕を叩こうとする~!」


怯えたようにルナの後ろに隠れた

・・・やっぱり、弱っちいやつだ


【ルナ】

「りゅき?鷹をいじめちゃダメだよ?」


【りゅき】

「鷹が勝手にいじめられてるんだよ!」


【鷹】

「違うよ!りゅうちゃんが僕をいじめてるんだ!」


ルナの後ろに隠れたまま鷹が言葉を返してきた


【りゅき】

「この!弱虫!」


【鷹】

「うわっ!」


引っ張り出そうと手を伸ばした僕の手から逃れるように鷹は陽の当たる森を走り始めた


そんな鷹を僕が追いかけて


僕をなだめながらルナが追いかけて来る


毎日、毎日、僕らは3人で遊んでる

そんな日が明日も明後日も

大人になっても続いてほしい

本当に僕はそう願ったんだ


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