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火◾️プレゼント


挿絵(By みてみん)


【火焔】

「・・・はぁ・・・はぁ」


夢中で走って中庭まで降りてきた


【火焔】

「・・・・・・・・・」


そして手を繋いだ子に目を向けた


【竜輝】

「・・・・・・・・・」


竜輝は少し苦しそうに息を整えている


真っ暗な空に輝く大きな月に照らされて


初めてはっきりと竜輝の姿が見えてる気がした


・・・僕より少し小さい男の子だ


【竜輝】

「・・・・・・どうして」


僕から手を離し怯えたように小さく言葉を向けてきた


・・・どうしてって

・・・僕が引っ張ってきた理由を聞いているのだろうか?


【火焔】

「僕が竜輝とご飯食べたかったから!

 これって理由にならない?」


少しでも安心させてあげようと笑顔で声を上げた


【竜輝】

「・・・・・・」


でも竜輝は更に怯えたように視線を下げ


【竜輝】

「・・・・・・君には僕が見えてるの?」


震えているようにも聞こえる言葉を向けてきた


【火焔】

「当たり前だよ!竜輝はここにいるじゃん!」


そんな竜輝に更に笑顔で答えた


【竜輝】

「・・・僕は・・・ここにいるの?」


【火焔】

「いるよ!だって竜輝の手!すっごく暖かいもん!」


・・・何故、天地さん達に竜輝が見えてないのかは分からない


でも


僕の目には確かに竜輝が写っていて


手には温もりを感じた


だから竜輝は間違いなくここにいる


絶対ここにいるんだ


【竜輝】

「・・・・・・分からない」


かろうじて聞き取れるくらい小さな声でつぶやいた


【火焔】

「え?なにが?」


【竜輝】

「・・・僕は・・・どうしたらのか」


笑顔で言葉を返すけど竜輝は不安そうな表情を変える事は無かった


・・・どうしたらいいか分からないか


【火焔】

「ん~?・・・とりあえず今日竜輝は僕からご飯をおごってもらうでしょ?だから~ありがとうって言えば良いんじゃないかな?」


ニコッと笑って提案した


【火焔】

「人からプレゼント貰ったらありがとうって言わなきゃいけないって母さんが言ってたし!」


母さんから教えてもらった事を言ってみたけど


【火焔】

「あれ?でもおごるのはプレゼントじゃないのかな?」


・・・プレゼントは物として渡したり受け取ったりするけど

・・・おごるって言うのは行動だ


【火焔】

「ん~?物じゃないとプレゼントって言わないのかな?」


・・・人が喜ぶ事をプレゼントって言うのだろうか?

・・・でも人が喜ばないプレゼントもあると思う

・・・どうなんだろう?

・・・分からない


【竜輝】

「・・・・・・プレゼント」


一人悩んでいると竜輝が小さく言葉を発した


【火焔】

「ん?」


【竜輝】

「・・・・・・ありがとう」


表情こそ変わらないけど

その一つの言葉に

とても温もりを感じた


そして、その言葉がとても嬉しくて


【火焔】

「どーいたしまして!」


僕は笑顔で竜輝に言葉を返した



竜輝と二人で夜の街に出て適当なお店を探すが

・・・どこのお店に入ればいいだろう?


【火焔】

「ん~?なにか食べたい物ある?」


竜輝に尋ねてみるが


【竜輝】

「・・・・・・・・」


竜輝は表情を動かす事もなく何も答えない


・・・まぁ、なんでもいいか

そう思い近くにあったお店に入ってみた


【店員さん】

「いらっしゃいませ~何名様ですか~?」


若いお姉さんが声をかけてきた


【火焔】

「えっと~2人です」


【店員さん】

「お父さんかお母さんが後から来るのかな?」


笑顔で言葉を返した僕に笑顔で訪ね返された


【火焔】

「いえ、僕とこの子の2人です」


更にニコッと笑って言葉を返すが


【店員さん】

「・・・この子って・・・誰のことかな?」


少し苦笑いで言葉を返された


・・・嫌な予感がした


【火焔】

「・・・あの・・・僕の隣にいる・・・男の子です」


不安な気持ちを抑えながら店員さんに言葉を返した


【店員さん】

「・・・・・・・・・」


そんな僕の言葉に店員さんは困ったような苦笑いを浮かべ


【店員さん】

「・・・お姉さんには誰も見えないけど~

 ・・・誰かいるのかな~?」


少しからかうように笑った


・・・その言葉で

・・・嫌な予感は確信に変わった


【火焔】

「・・・・・・・・・」


・・・この人にもこの子が見えてない

・・・天地さんと同じように

・・・この子が見えてないんだ


【火焔】

「っ!?」


その時、全身を恐怖が埋め尽くした


【火焔】

「・・・・・・」


・・・僕の隣にいるはずの男の子の姿が


【火焔】

「・・・・・・」


・・・どんどん見えなくなっている


【火焔】

「・・・っりゅき!」


僕は慌てて声を上げた


【火焔】

「りゅき!竜輝!竜輝!!」


忘れてしまいそうだった名前を夢中で叫んだ


【火焔】

「すみません!」


そのままの勢いで店員さんに声をあげた


【火焔】

「外で食べるんで!持って帰れる物とか売ってないですか!?」


【店員さん】

「え?テイクアウトって事?ハンバーガーとかならできるけど・・・」


僕の勢いに押されるように店員さんは答えた


【火焔】

「じゃそれを2つ下さい!あと!消えにくいペン貸してもらえますか!?」


怒鳴りつけるような僕の声に少し驚きながら店員さんは僕にペンを渡した


【店員さん】

「用意するから少し待っててね」


そして逃げるように厨房の中へと入って行った


【火焔】

「・・・・・・」


店員さんから借りたペンで自分の手の平に名前を書いた


・・・忘れてしまわないように


・・・消えてしまわないように


しっかりと竜輝の名前を書いたんだ


【竜輝】

「・・・・・・・」


そんな僕から目をそらす竜輝はとても悲しそうに見えた


・・・そんな竜輝に僕はなんて言葉を伝えたら良いのか分からなかったから


【竜輝】

「・・・・・・・っ」


ただ竜輝の頭をなでてあげた

僕は不安な時に父さんに頭を撫でられると凄く安心できたから


【火焔】

「・・・大丈夫だよ!大丈夫!大丈夫!」


そう言って竜輝に笑顔を向けた

母さんはいつもそう言って僕に笑顔を向けてくれて

そしたら僕はとても嬉しい気持ちになれたから



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