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火◾️森の中


挿絵(By みてみん)



暖かな昼の日差しに照らされるヴィザールの街は沢山の人で溢れていた

賑やかな街並みは見ているだけで楽しい気分になれた


【火焔】

「ん~・・・どこをどう探せばいいかな?」


これだけ人が多いと簡単には見つからないだろうなぁ


・・・人に聞いてみようかな?


【火焔】

「すみませーん!」


目に入ったお店の店員さんに声をかけてみた


【花屋さん】

「あ・・・昨日の・・・」


僕の声に反応して振り返ったのは昨日尋ねた花屋のお姉さんだった


・・・何故か少し警戒されている気がする


【火焔】

「・・・あの・・・僕、人を探してるんですけど

 ・・・この辺で子供を見ませんでしたか?」


何故、警戒されているか分からないけど

とりあえず尋ねてみた


【花屋さん】

「・・・ん~・・・いっぱいいるからね」


そう言うお姉さんの目線に釣られて僕も街を見渡した


・・・確かに沢山の子供があちらこちらにいた

・・・困ったな


【花屋さん】

「・・・特徴とか分かるかな?」


僕が困っているのを感じたのか少し優しく微笑みながら尋ねてくれた


【火焔】

「・・・・・・・・」


でも、僕は何も答える事ができなかった


・・・だって

・・・僕は何故か

・・・あの子がどんな子なのか思い出せない


【火焔】

「・・・・やっぱり、もう少し自分で探してみます!ありがとうございました!」


わざとらしいくらい声を上げて

逃げるように僕は走り出した


・・・何故か不安でたまらなかった

・・・急に怖くなってきた


【火焔】

「・・・・・・・」


一気に街を走り抜けると街の入口についた

真っ黒な防壁に囲まれた闇都市ヴィザール

それが今の僕の住む街


防壁の外には草原が広がり

その先はどこまでと続くような深い森が広がっている


【火焔】

「・・・・・・あ」


・・・見つけた

・・・森に入って行くあの子の後ろ姿

・・・どんどん森に入っていく


【火焔】

「・・・・・・」


・・・どうしよう

・・・行ってみようかな

・・・でも


【火焔】

「・・・なんで?」


・・・今見たばかりなのに

・・・僕はあの子がどんな姿だったのか思い出せない


【火焔】

「・・・・・・・」


・・・正直、怖い

・・・でも


【火焔】

「・・・怖くない!だって気になるもん!」


自分に言い聞かせるように声を張り上げ

あの子を追いかけるべく森に向かって走り出した



森に入ってしばらくすると簡単にあの子に追いつく事ができた


【火焔】

「・・・・・・・」


追いついたのはいいけど

・・・どうしようか?

・・・声をかけようかな?

・・・でも・・・かけづらいなぁ


そんな事を考えている間にも

あの子はどんどん森に入って行く


【火焔】

「・・・・・・・」


見つからないように気をつけながら僕も後をつけた


【火焔】

「・・・・・・・」


・・・そうだ

・・・今のうちにあの子の姿をしかっり覚えよう


【火焔】

「・・・・・・・」


そう思ってあの子の姿をよく観察してみた


・・・身長は僕より少し小さい

・・・年は僕と変わらないように見える

・・・見た目は普通の子供

・・・全体的に黒い服装

・・・んで、髪は長く赤黒い


【火焔】

「・・・・・・・」


突然、その子がしゃがんで何かを始めた


【火焔】

「・・・・・・っ」


その光景に驚かずにはいられなかった


【火焔】

「・・・・・・・」


・・・食べているだ


【火焔】

「・・・・・・・」


・・・貪るように


【火焔】

「・・・・・・・」


・・・地面から生えた草を


【火焔】

「・・・・・・っ」


そんなその子の姿に僕は無性に悲しくなって


【火焔】

「・・・・ねぇ!!」


無意識に僕は声を上げ

その子の前に姿を出した


【火焔】「どうして!どうしてお腹空いてるのに朝ご飯食べなかったの!?残ってたでしょ!?」


何も考えず僕はその子に向かって叫んだ


【髪の長い子供】

「・・・・・・・」


その子は少し怯えたような目線で僕に振り返り


【髪の長い子供】

「・・・・・・君の分だから」


かすれるような子供の声で小さくつぶやいた


【火焔】

「君の為に残したんだよ!?食べて良かったんだよ!?」


何故か涙が出そうになるのを必死にこらえながら言葉を返した


【髪の長い子供】

「・・・・・・・・・」


でも、その子は何も答えない


【火焔】

「そうだ!お昼にもご飯が運ばれるんだ!

 半分こしようよ!」


必死に笑顔を作り思いついた事を叫んだ


【髪の長い子供】

「・・・・・・・・・」


でも、その子は何も答えない


【火焔】

「一緒に食べよう!!」


何も答えないその子の手をとって引っ張り歩き出した


でも、そんな僕の手はすぐに振り払われた


【髪の長い子供】

「・・・君の分だから・・・君が食べなきゃダメ」


そしてその子は逃げるように僕に背を向けて歩き出した


【火焔】

「待ってよ!一緒に食べようよ!」


慌ててその子の背中に声をかけた

そんな僕の声であの子は足を止めた

そして


【髪の長い子供】

「・・・名前・・・覚えてる?」


僕に振り返ることなく小さく尋ねられた

その声は震えていて怯えているように感じた


【火焔】

「・・・名前?」


・・・それはきっと

この子の名前のことだと思った


・・・だって、僕は確かにこの子に初めて会った時に名前を聞いた


・・・なのに


【火焔】

「・・・・・・・・・っ」


・・・僕は

・・・この子の名前を思い出せない


【髪の長い子供】

「・・・・・・・・」


何も答えられない僕から逃げるように

その子は森の中へと走り始めた


【火焔】

「待ってっ!」


慌てて声をかけたけど

その子の姿はすぐに見えないなった


【火焔】

「・・・・・・・・」


僕は追いかける事もできなかった


・・・だって僕は


・・・また、あの子にひどい事をしたから


【火焔】

「・・・・・・・・」


・・・あの子の為だと思ってご飯を残したのに

・・・それは迷惑でしか無くて

・・・あの子の怯えたような問にも答えてあげられなかった


【火焔】

「・・・・・・・っ」


僕は息苦しくなるほど胸が苦しくなって


・・・なぜか涙が流れた





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