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13/58

火◾️性別


挿絵(By みてみん)


お風呂から上がり重たい足でゆっくりと廊下を進む


・・・でも


【火焔】「・・・・天地さんの部屋ってどこだろ?」


よく考えたら僕は天地さんの部屋を知らなかった

探そうにも、この住居スペースはかなり広い

部屋の数だってどれくらいあるのかすら僕には分からないくらいだ


【火焔】

「・・・・はぁ」


仕方ないのでとりあえずリビングへと足を向けた


その途中

人の気配を感じて廊下の曲がり角から

廊下の先に視線を向けた


【魔境】

「・・・・・・」


一つの扉の前に立つ魔境さんの姿が見えた

魔境さんは何をするでもなく

ただ黙ってその扉を見つめていた


【魔境】

「・・・・・・」


そんな魔境さんは恐怖を感じるほどに近寄り難かった


・・・でも


【火焔】

「・・・あの」


勇気を振り絞り声をかけた

そんな僕に魔境さんは何を言うでもなく視線を向けた


【火焔】

「・・・天地さんの部屋がどこか教えて下さい

 ・・・部屋に来るよう言われたんですけど

 ・・・どこなのか分からなくて」


必死に笑顔を作り訪ねた


【魔境】

「・・・・・・・」


そんな僕に魔境さんはなにも返さずに廊下を歩き始めた


・・・ど、どうしよう?

・・・ついて来いって事なのかな?


【火焔】

「・・・・・・・」


少し不安が残りながらも魔境さんの後に続いた


【魔境】

「・・・・・」


【火焔】

「・・・・・」


【魔境】

「・・・・・」


【火焔】

「・・・・・」


広い廊下に僕と魔境さんの足音だけが響く


・・・なんとも言えない空気だ

・・・何故かとても息苦しい


【魔境】

「・・・・・一つ、聞いておきたい事がある」


【火焔】

「っはい!」


突然の魔境さんの言葉に思わず大きな声で返事をした


【魔境】

「・・・お前」


そんな僕を特に気にした様子もなく足を止め

僕にまっすぐ視線を向け


【魔境】

「・・・正真正銘・・・完全に・・・男か?」


よく分からない事を聞かれた


【火焔】

「・・・えっと・・・はい、僕は男ですけど?」


何故そんな質問をされるのか分からなかったけど素直に答えた


・・・魔境さんには僕が女に見えるのだろうか?

・・・自分ではどっからどう見ても男だと思うけど


【魔境】

「・・・・・・・」


魔境さんは特になにを言うでもなく目の前の扉に視線を向けた


【魔境】

「・・・ここがあいつの部屋だ」


そう言って再び暗い廊下を歩き始めた


【火焔】

「あ、あの!ありがとうございました!」


そんな魔境さんの背中に頭を下げて御礼を言った


【魔境】

「・・・・・・・」


そんな僕に魔境さんは何故か振り返り


【魔境】

「・・・念のため言っておく・・・アイツに肌を見せるな」


【天地】

「どーゆー意味だ!!」


いきなり部屋のドアが力強く開き天地さんが怒鳴りながら出てきた


【魔境】

「・・・言葉通りだ」


【天地】

「だから!俺はロリと貧乳と男には興味ないつってんだろーが!」


【魔境】

「・・・信用できない」


それだけ告げ、魔境さんは暗い廊下へと去って行った


・・・どういう意味だろうか?


【天地】

「・・・あのやろ~・・・俺をなんだと思ってんだ」


そんな魔境さんの背中に天地さんは恨めしそうにつぶやいた


【天地】

「おせーんだよ!ばーか!」


そして怒りをぶつけるように僕の頭を叩いた


【火焔】

「・・・すみません、部屋が分からなかったので」


【天地】

「くだらねー言い訳すんじゃねぇ!」


再び叩かれてしまった


・・・完全に八つ当たりだ

・・・酷いなぁ


【天地】

「・・・もうここでいい」


そして、不愉快そうにため息をつき


【天地】

「・・・お前に1つ聞きたいことがある」


真剣な表情で僕に顔を向けた


【天地】

「・・・お前はなんで強くなりたいんだ?」


【火焔】

「・・・・・・・・・」


そんな天地さんの問いに僕は何も答えなかった


【天地】

「・・・答えろ、でなければ今すぐにお前を追い出す」


その言葉は脅しでないと分かる程に威圧的で怖かった


【火焔】

「・・・・・強くなりたいからです」


天地さんに目を向けることなく、うつむきながら答えた


【火焔】

「・・・誰にも負けないくらい強くなって」


・・・僕は

・・・強くなって


【火焔】

「・・・父さんのようなヒーローになりたいんです」


その言葉を発した瞬間


自分でもびっくりするくらいに涙が溢れた


【天地】

「・・・はぁ・・・めんどくせぇ」


そんな僕を見て天地さんは大げさなくらいため息をついた


【天地】

「・・・お前について俺はもう詮索しない

 ただし、ここでの情報を外に漏らすような真似はするな、そうなった時はお前の命を保証しない」


睨みつけるような天地さんの目はとても怖かった


【天地】

「・・・わかったか?」


【火焔】

「・・・・・・・・・」


天地さんの問いに僕は涙を拭きながら黙ってうなづいた


【天地】

「以上!解散!」


そう言って僕に背を向けて部屋に戻り始めた


【天地】

「あ~・・・」


が、すぐに僕に目をむけ


【天地】

「逃げたくなったらいつでも逃げろよ~?

 外に出る方法は教えただろ?」


からかうように笑って部屋へと入って行く


【火焔】

「・・・逃げませんよ」


そんな天地さんの背中に言葉を返した


【火焔】

「・・・僕・・・絶対に逃げませんから」


真っ直ぐに天地さんに目をむけ断言した


【天地】

「・・・・・・・・」


そんな僕を少し笑い

天地さんは部屋の中へと入って行った


【火焔】

「・・・・・・・」


一人残された僕も自分の部屋に向かって歩き始めた


【火焔】

「・・・・・・・」


・・・嘘なんてついてない

・・・偽りなんかじゃない

・・・僕は

・・・火焔なんだから


【火焔】

「・・・・・・?」


暗い廊下を一人進んでいると

一つの部屋のドアが少し開いていた


・・・その部屋は

・・・さっき魔境さんがドアの前に立っていた部屋


【火焔】

「・・・・・・・」


そして、僕が昼間のぞき見た部屋だった


【火焔】

「・・・・・・・」


少し怖かったけど再び中を覗いてみた


【火焔】

「・・・・・・・」


が、やはり部屋の中には誰もいない


・・・別に怖くないけど、すぐに部屋を覗くのを止めた


【火焔】

「・・・・・・・」


別に怖くないけど、足早に自分の部屋に戻った


【火焔】

「・・・おやすみなさい!」


別に怖くないけど、布団にもぐってさっさと寝る事にした


別に怖くないけど


・・・この家の夜は静かすぎると思った




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