火◾️お風呂
【火焔】
「・・・・・・・・・」
自分の部屋でベッドに横になりながら
あの子の事を考えた
【火焔】
「・・・・・・・・・」
でも、また僕は
あの子の事を思い出す事が出来ない
あの子がどんな子だったのか
髪はどんな風だったか
男か女か
服はどんな服を着ていたのか
【火焔】
「・・・・・・・・・」
なにも思い出せない
・・・でも
キッチンで僕を見る怯えたような目線
そして手を繋いだ時の温もりは覚えている気がした
【火焔】
「・・・・分かんない」
・・・本当に訳が分からない
・・・でも、さっきの天地さんの様子だと聞いても答えてくれないだろうな
【火焔】
「・・・・・・・」
・・・天地さんはどうしてあの子を知らないのだろう?
・・・いや、知らないと言うより
・・・認識してない?・・・見えていない?
・・・全く存在を感じてないような感じだった
【火焔】
「・・・なんでだろう?」
天地さんはちょっと酷くて意地悪だけど
基本的は明るくて誰にでも分け隔てなく話しそうな人なのに
・・・そう言えば魔境さんもあの子になにも言わない
・・・まぁ、魔境さんは天地さんとは違って気さくに喋る事はないだろうけど
【火焔】
「・・・・ん~」
・・・いくら考えても僕には答えが見つけられそうに無かった
【火焔】
「・・・やめた」
考えても分からない事を考えてても仕方ない
考える事をやめて気分を変える為にお風呂に入る事にした
・
・
・
廊下に出て真っ直ぐにお風呂を目指す
【火焔】
「・・・・・・・」
真っ暗で物音もしない広過ぎる廊下
【火焔】
「・・・・・・・」
・・・あの子はお化けじゃないけど
・・・本物のお化けがいても不思議じゃない気がした
ドアを開けて脱衣所に入った
そして、早々に上着を脱ぎシャツを脱いだ
・・・別にお化けが怖い訳じゃない
・・・でも、なんとなく早くしたいと焦りが出た
【火焔】
「っ!?」
突然ドアが開く音が聞こえ慌てて全身を使って振り返った
【天地】
「・・・・・・」
そこには真っ直ぐに僕を見つめる天地さんがいた
【天地】
「・・・随分、慌てるんだな?
俺に見られたく無いものでもあったのか?」
意味深な言葉を向ける天地さんは少し笑っているように見えた
【火焔】
「・・・いえ・・・別にありません」
そんな天地さんと視線を合わせないように言葉を返した
【天地】
「・・・まぁいい、風呂から上がったら俺の部屋に来い」
そう言い残し天地さんは脱衣所から出ていった
【火焔】
「・・・・・・・」
・・・もしかしたら天地さんには
・・・僕を知ってるかもしれない
・・・そう思うと急に不安が襲ってきた
【火焔】
「・・・・・・・っ」
襲って来る恐怖を抑えるように目を閉じた
【火焔】
「・・・・・・・っ」
母さんの温もりを思い出す為に自分の体を抱きしめた
【火焔】
「・・・・・・・っ」
父さんの強さを思い出す為に自分で自分の頭を撫でた
【火焔】
「・・・・・・僕はっ」
・・・僕は
・・・僕は僕は
・・・僕は僕は僕は僕は僕は僕は
【火焔】
「・・・・かえん」
・・・そうだ
・・・僕は・・・火焔だ
・・・怖がる必要なんてない




