火◾️夜の街
何十分かかったか分からないけどやっと階段の終わりが見えた
【火焔】
「・・・はぁ・・・はぁ」
その頃には完全に僕の息は上がっていた
【火焔】
「・・・・・ふぅ」
少し息をととのえ階段の終わりに設置された扉を開けた
そこには月明かりに照らされ綺麗に輝く花壇ががあった
・・・どうやらここは中庭のようだ
しっかりと手入れされた広い中庭の草花は心地よさそうに夜の風に吹かれている
【火焔】
「・・・そう言えば僕は何を買いに来たんだろう?」
改めて天地さんからのメモを見て買う物を確認した
【火焔】
「・・・・・・?」
でも、それは僕の知らない物の名前だった
・・・困ったな
・・・何なのか分からないから何処のお店で買えば良いのか分からない
【火焔】
「・・・・・・・」
でも、またあの階段をのぼって天地さんに聞きに行く体力は無い
・・・その前に、そんな事をすれば天地さんに叩かれてしまうだろう
【火焔】
「・・・・・はぁ」
・・・お店の人に尋ねれば何とかなるだろう
そう思い中庭を抜け足早に街へと向かった
【火焔】
「・・・・・・・」
・・・そう言えば、一人でこの街をちゃんと歩くのは初めてだな
闇の都市ヴィザール
この地域では最大の闇の大都市
【火焔】
「・・・・・・・」
・・・大通りの道
【火焔】
「・・・・・・・」
・・・この場所は
【火焔】
「・・・・・父さん」
・・・家族で並んで歩いた場所
思い出すと胸が苦しくなって一気に体温が上がり
【火焔】
「・・・・・母さん」
涙が出そうになった
【火焔】
「・・・・・っ」
それを必死にこらえた
僕が泣いたら父さんと母さんが心配するから
二人には頑張ってる僕を見ててほしいから
【火焔】
「・・・・・よしっ!」
自分で自分に気合を入れるように声を発し
【火焔】
「すみません!」
近くにあった花屋の店員さんであろう女の人に声をかけた
【花屋さん】
「どうしたの?」
女の人は優しげな笑顔で聞き返してくれた
【火焔】
「あの、買い物を頼まれたんですけど、何処に売っているのか分からなくて・・・コンドームって何処に売っているのか分かりませんか?」
女の人に負けないくらいの笑顔で訪ねた
【花屋さん】
「・・・・・・・・」
が、何故か女の人の表情が少し強ばった気がした
【花屋さん】
「・・・・・・向こうのお店だと思うよ」
そう言って少し先にあるお店を指差し
足早にお店の奥へと入って行ってしまった
【火焔】
「・・・僕、なにか間違えたかな?」
そんな女の人に少し不審さを感じながら教えてもらったお店へと向かった
【火焔】
「すみません!」
お店に入り男の店員さんに声をかけた
【火焔】
「あの、コンドーム売ってますか?」
ニコッと笑顔で訪ねてみた
【店員さん】
「あーあるよ、ちょっと待っててね」
男の人は少し笑いながら奥の棚へと向かい
小さめの箱を持って僕のところへと戻ってきた
【店員さん】
「・・・これさ、君が使うの?」
少し苦笑いで尋ねられた
・・・そう聞かれても僕はこれを何に使うのか分からない
【火焔】
「えっと・・・僕じゃないです、多分」
とりあえず少し首をかしげながら答えた
【店員さん】
「そうだよね、さすがにね・・・お金ある?」
そう言われ天地さんから預かった財布の中を確認した
【火焔】
「・・・・・・・」
その財布の中には・・・これでもか!と言うほどにお札が入っていた
それを見て僕を送り出す時の天地さんの言葉を理解した
天地さんがどんな風に僕の事を見ているのか分からないけど
・・・僕はお金には全然興味ない
さっさと買い物を済ませて、真っ直ぐに住居を目指した




