そうぞう世界と目の前の世界
この世界の滅亡まであと10年…。
この〇〇大陸にはある言い伝えがある。
「ゾヒエド帝国時代を懐かしむものには頭がなく、メリア合州国しか知らぬものには目しかない」
この〇〇大陸に住むものなら誰もが知る言葉の1つだ。
ゾヒエド帝国とは、かつてこの大陸に存在していた世界屈指の大国の1つだった。が、今は存在していない。
約30年前に崩壊した。その後継国であったローアン連邦も先日、1人の独裁者の死をきっかけに大きな混乱に巻き込
まれっている。
そして、今、この世界の支配的な立場となっているのがメリア合州国だ。いくつもの州が肩を寄せ合うことによっ
て成立している。また、大陸から少し離れた位置に存在していたこともあり、この世界で起こってきたいくつもの戦
争のなかで、ほとんど国内を戦場とすることなく生き残ってきた。
メリア合州国は数十年前まで圧倒的な支配力を保持していたが、現在はその勢力を交代させている。その影響もあ
ってか現在この世界では争いが絶えない。それは大陸の中央に位置するこの〇〇においても例外ではない。
……。
「はぁ、今日はここまでにするか。」パソコンから手を離し、ベットに入る。
暇な大学生生活の中で楽しみはネットに自分を書いた小説を投稿するだけ。現実に自分の居場所がなく、ネットの世界や異世界に自分の居場所を求める。
これがこの世界の|普通から外れた人間が許される暇潰し。
一つ質問に答えて欲しい。
キミには他の人に誇れるような才能があるか?
なんでこんなことを聞くんだって。
高校・大学と受験があった。きっと社会人になってからも過酷な競争が待っている。
そんな競争の中でも特に周りの人間の目を引く人間がいる。
たった1人で周囲を圧倒し、周りの人間を「その他大勢」に落としてしまう才能を持つ。
この世界はごく一部の天才たちにょって支配されており、その他大勢が口を挟むスペースなんてない。
だから、今の自分が生きているのか、存在する意味はあるのか。そんなことを証明してくれるのは小説の世界だけ。
自分には才能がないと分かっている。でも、諦められない。
そんなことを考えながら今日をベッドの上で目を閉じる。