第5話 ネーシャパパの人探し ~ ナーシャの「探し物 眼『鏡』」で必ず見つけてみせますわ
北極に住む白いキツネたちの間には、こんな伝説があります。
冬の夜に流れる星に祈ると願い事が叶う
流れるお星さまは、今日も、キツネたちの願いをかなえてくれるのでしょうか?
★彡
ナーシャは、探し物が得意なホッキョクギツネ。今日も、ナーシャの元に探し物に困ったキツネさんが、やって来ました。
「ニーシャが居なくなった。
お願いだ。あの子を見つけてくれ。」
飛び込んできたのは、ニーシャのお父さん、ネーシャパパ。
なんでも、夜遅くに婚約者の巣穴に出かけると言うので、パパが送って行くことにしたそうです。
ところが、巣穴に近くで 目を離したスキに、ニーシャの姿を見失ったとのこと。
偶然 近くに居た (株)シロクマ警備 のノークマンさんに助けてもらいながら 捜索したものの、発見できず、困り果てて ナーシャの元を訪れたのです。
「まずは、婚約者さんの巣穴の近くまで出かけましょう。」
そこでは、心優しいシロクマのノークマンさんが、いまだニーシャを探してくれていました。
「ノークマンさん ありがとう。」
礼をいうネーシャパパの隣で、ナーシャは、おばあさんキツネから受け継いだ、探し物眼鏡を取り出します。
ナーシャが、眼鏡をかけた途端、その隅に赤く光るものが見えました。
あぁ、見つかった。ニーシャだわっ。
そう思ったナーシャは、光の先を凝視します。
そこには、白いクマが居ました。ノークマンさんです。
心優しいシロクマのノークマンさんのお腹で、赤い光が点滅しています。
ナーシャと、ノークマンさんの目が合いました。
ノークマンさんは、ナーシャに向かって、優しくグルルルと唸り声を上げます。
空気の読めるナーシャは、うなずき、ネーシャパパに告げました。
「眼鏡では、ニーシャを見つけるのは難しいようです。」
「なんてことだ。ナーシャの眼鏡でも見つけられないなんて。」
絶望したネーシャパパが空を見上げたその時、お星さまが、ピューッと流れるのが見えました。
☆彡 あっ、流れ星っ。
3人は、同時に両手の指を顔の前で組みました。
ネーシャパパは、流れる星に祈ります。
ニーシャが無事見つかりますように
ナーシャも、流れる星に祈ります。
クマに食べられませんように
シロクマさんも、流れる星に祈ります。
グルルルル
★彡
北極に住む白いキツネたちの間には、こんな伝説があります。
冬の夜に流れる星に祈ると願い事が叶う
空には、今日も星が流れます。そして、地上では、白クマの喉が 小さな音を立てました。
げっぷっ
文字数(空白・改行含まない):1000字
こちらは『冬の童話祭2022』用、超短編小説です。
くわえて、こちらは『第3回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』用、超短編小説です。