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小品

まどろみの国

作者: 星野☆明美

ふっと目覚めた。

となりでユウがううーん、と言って寝返りをうつ。

私、生きてる。

両手をしげしげとみつめる。

いつからかこの世界ではみんな眠りに支配されて、ごくたまに目が覚める。

眠ったまま安らかな死を迎えるのが通例になっていて、目覚めた私は途方に暮れる。

ユウを起こそうと試みるが、失敗。

起きている間にできることをしなくちゃ。

寝室のカーテンが風に揺れてる。そっと覗いたら窓が開いていて、かなりの高さに目がくらむ。

太陽が眩しい。

起きたら読んで、と書かれたノートを発見。ユウの文字が踊ってる。

「今度目覚めたら海に行こう」

「冷たいミルクとフレンチトースト」

「大笑いしてちょっとだけ泣こう」

「僕が死んだら、おわかれのキスをして」

「生きろ!」

「ずっとそばにいるよ」

お腹は空いてないけれど、フレンチトーストの味を思い出そうとしてみる。

食糧は部屋のドアから差し入れられる。ほとんど手つかずのまま下げられる。

どうして?こんなに眠いのだろう?

生活さえままならないくらい眠って過ごしている。

ユウ。

涙がこぼれてしばし泣きじゃくる。

ノートに「大好きよ!」と書いて、睡魔に襲われる。

今度生まれ変わったら、みんなと一緒に起きて幸せに暮らそう。

「おやすみなさい」

ユウのとなりでまどろむ。

「おやすみ、いい夢を」

白いもやの向こうでユウの声が聞こえた気がした。


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